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ふたりにとってのしあわせな日常
星空に映る愛しい影
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「ねえ、ヴァレリオ、少し過保護すぎると思わない?」セラフィーナは苦笑いを浮かべながら、ヴァレリオに手を預けていた。彼はいつものように爪やすりを片手に、彼女の指先を丁寧に整えている最中だった。
「そうかい?僕は君の美しい指先が少しでも傷つくのが耐えられないだけさ」ヴァレリオはまったく悪びれた様子もなく、真剣な顔で答えた。
「でも、これ以上きれいにしようがないくらい、もう十分だと思うんだけど……」セラフィーナは軽くため息をつきつつも、彼の手が触れるたびに心が落ち着いていくのを感じた。
「それは君が自分の美しさを過小評価しているからだよ」彼は小さく微笑み、整えたばかりの爪を一瞬だけ満足そうに眺めた。「僕にはまだまだやるべきことがある」
「やるべきことって……そんなに私の手が気になる?」
「もちろんだとも」ヴァレリオは即答し、今度はネイルオイルを手に取った。「君の手は、僕がこれまで見てきたどんな宝石よりも価値があるんだ。それを大切にするのは当然だろう?」
彼の真剣な言葉に、セラフィーナは顔を赤くして目を逸らした。「そんな大げさな……」
けれど、内心ではその言葉がじんわりと心に沁みていた。ヴァレリオの言葉が少し不器用ながらも彼なりの愛情表現であることを、彼女はもう十分理解していた。そしてその行動に見え隠れする繊細な優しさに、反発しきれない自分がいるのもわかっていた。
「でも、毎日こうされるとちょっと落ち着かないかも」セラフィーナは軽い文句を言いながらも、彼の手に委ねる自分に気づいていた。
「そうかい?なら、今日はこれで最後にしておこう」ヴァレリオは満足そうに微笑み、彼女の手の甲にそっと唇を触れさせた。「だが、君がどれだけ嫌がろうと、僕はこの美しさを守る責務があると思っているよ」
「……嫌だなんて言ってないよ」セラフィーナは照れくさそうに顔を伏せた。
その後も、彼女は何度か「やりすぎじゃない?」と軽く抗議をしてみたものの、ヴァレリオの熱心な態度に押される形で、次第に彼の手入れを受け入れるようになった。
そしてふと気づくと、彼に触れられる時間が少し楽しみになっている自分がいることを、セラフィーナは否定できなかった。大切に扱われ、まるで宝物のように扱われる時間。それは彼女にとって少し照れくさくも、どこか嬉しいものだった。
「ねえ、ヴァレリオ」セラフィーナはある日の手入れの途中で、彼に問いかけた。「もし私が手荒れとか、ひどい状態になっても、ちゃんと一緒にいてくれる?」
ヴァレリオはその問いに一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。「セラフィーナ、君がどんな姿になろうと、僕は君を手放さない。それだけは約束しよう」
その言葉を聞いた瞬間、セラフィーナの胸の中に温かい何かが広がった。
セラフィーナが愛用しているティーカップは、小ぶりで淡い花模様が描かれたものだった。それを彼女が手に取るたび、ヴァレリオは心の奥が温かくなるのを感じていた。彼女の笑顔とそのカップは、切り離せない存在のように思えていたからだ。けれど、ある日。そのカップが欠けた音を立てて、テーブルの上で倒れていた。
「ごめんね、気をつけてたんだけど……」
セラフィーナが申し訳なさそうに破片を拾い集める。彼女が傷ついていないことにまず安堵しながらも、ヴァレリオの胸には小さな痛みが広がった。彼女が大切にしていたものが壊れる瞬間を見るのは、耐えがたいことだった。
「君の手は汚さなくていいよ。僕が片付ける」
そう言って、彼は優しく破片を取り上げた。けれど、セラフィーナは笑って首を振る。
「大丈夫よ。ただのカップだもの。それより、あなたの指を気をつけてね」
ただのカップ――そう言い切る彼女にヴァレリオはわずかに眉をひそめた。彼女が大切にしていたことを、彼は知っている。たった一つの物に込められた思いを、彼女がどれだけ大事にするかも知っているのだ。
彼女がそのまま新しいカップを手にするのは耐えられない。彼女にふさわしい「代わり」を見つけなくてはならないと、彼の心は密かに決意を固めていた。
次の日から、ヴァレリオは目に見えて忙しくなった。街に出てはティーカップを見て回り、セラフィーナの愛用していたものに似たデザインを探す。しかし、どれも完璧とは言いがたい。形が違う、模様が違う、色合いが微妙に違う――彼の細かな目がそれらを全て却下していった。
やがて彼の部屋はティーカップの山で埋め尽くされることになった。
「ヴァレリオ、最近どこへ出かけてるの?」
セラフィーナが不思議そうに問いかけるが、彼は穏やかに微笑むだけだった。
「少しね、君に似合うものを探しているんだ」
「私に? それって何?」
「そのうちわかるよ」
彼の部屋に増え続けるカップのことを彼女が知るのは、もう少し先のことになる。
最終的に、ヴァレリオがたどり着いたのは、彼女の壊れたカップそのものを修繕するという結論だった。どれだけ美しい代用品を用意しても、それが彼女にとって最善だとは限らない。あの日、彼女が見せた優しい笑顔と、カップを手にした仕草。それを取り戻せるのは、唯一、元の形だった。
彼は繊細な指先でひび割れを埋め、欠けた部分を足していく。魔法のように美しく修繕されたカップを、セラフィーナの目の前に差し出したとき、彼女は驚きの声を上げた。
「これ……直したの?」
「君のためにね」
ヴァレリオの声は、どこか誇らしげだった。
セラフィーナはそのカップを両手で包み込み、涙ぐみながら微笑んだ。
「ありがとう、ヴァレリオ。これ、もっと好きになっちゃった」
その笑顔に、ヴァレリオは心底満足そうに頷いた。彼の執念深い努力は、ただその一瞬のためにあるのだと、彼自身も確信したのだった。
「そうかい?僕は君の美しい指先が少しでも傷つくのが耐えられないだけさ」ヴァレリオはまったく悪びれた様子もなく、真剣な顔で答えた。
「でも、これ以上きれいにしようがないくらい、もう十分だと思うんだけど……」セラフィーナは軽くため息をつきつつも、彼の手が触れるたびに心が落ち着いていくのを感じた。
「それは君が自分の美しさを過小評価しているからだよ」彼は小さく微笑み、整えたばかりの爪を一瞬だけ満足そうに眺めた。「僕にはまだまだやるべきことがある」
「やるべきことって……そんなに私の手が気になる?」
「もちろんだとも」ヴァレリオは即答し、今度はネイルオイルを手に取った。「君の手は、僕がこれまで見てきたどんな宝石よりも価値があるんだ。それを大切にするのは当然だろう?」
彼の真剣な言葉に、セラフィーナは顔を赤くして目を逸らした。「そんな大げさな……」
けれど、内心ではその言葉がじんわりと心に沁みていた。ヴァレリオの言葉が少し不器用ながらも彼なりの愛情表現であることを、彼女はもう十分理解していた。そしてその行動に見え隠れする繊細な優しさに、反発しきれない自分がいるのもわかっていた。
「でも、毎日こうされるとちょっと落ち着かないかも」セラフィーナは軽い文句を言いながらも、彼の手に委ねる自分に気づいていた。
「そうかい?なら、今日はこれで最後にしておこう」ヴァレリオは満足そうに微笑み、彼女の手の甲にそっと唇を触れさせた。「だが、君がどれだけ嫌がろうと、僕はこの美しさを守る責務があると思っているよ」
「……嫌だなんて言ってないよ」セラフィーナは照れくさそうに顔を伏せた。
その後も、彼女は何度か「やりすぎじゃない?」と軽く抗議をしてみたものの、ヴァレリオの熱心な態度に押される形で、次第に彼の手入れを受け入れるようになった。
そしてふと気づくと、彼に触れられる時間が少し楽しみになっている自分がいることを、セラフィーナは否定できなかった。大切に扱われ、まるで宝物のように扱われる時間。それは彼女にとって少し照れくさくも、どこか嬉しいものだった。
「ねえ、ヴァレリオ」セラフィーナはある日の手入れの途中で、彼に問いかけた。「もし私が手荒れとか、ひどい状態になっても、ちゃんと一緒にいてくれる?」
ヴァレリオはその問いに一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。「セラフィーナ、君がどんな姿になろうと、僕は君を手放さない。それだけは約束しよう」
その言葉を聞いた瞬間、セラフィーナの胸の中に温かい何かが広がった。
セラフィーナが愛用しているティーカップは、小ぶりで淡い花模様が描かれたものだった。それを彼女が手に取るたび、ヴァレリオは心の奥が温かくなるのを感じていた。彼女の笑顔とそのカップは、切り離せない存在のように思えていたからだ。けれど、ある日。そのカップが欠けた音を立てて、テーブルの上で倒れていた。
「ごめんね、気をつけてたんだけど……」
セラフィーナが申し訳なさそうに破片を拾い集める。彼女が傷ついていないことにまず安堵しながらも、ヴァレリオの胸には小さな痛みが広がった。彼女が大切にしていたものが壊れる瞬間を見るのは、耐えがたいことだった。
「君の手は汚さなくていいよ。僕が片付ける」
そう言って、彼は優しく破片を取り上げた。けれど、セラフィーナは笑って首を振る。
「大丈夫よ。ただのカップだもの。それより、あなたの指を気をつけてね」
ただのカップ――そう言い切る彼女にヴァレリオはわずかに眉をひそめた。彼女が大切にしていたことを、彼は知っている。たった一つの物に込められた思いを、彼女がどれだけ大事にするかも知っているのだ。
彼女がそのまま新しいカップを手にするのは耐えられない。彼女にふさわしい「代わり」を見つけなくてはならないと、彼の心は密かに決意を固めていた。
次の日から、ヴァレリオは目に見えて忙しくなった。街に出てはティーカップを見て回り、セラフィーナの愛用していたものに似たデザインを探す。しかし、どれも完璧とは言いがたい。形が違う、模様が違う、色合いが微妙に違う――彼の細かな目がそれらを全て却下していった。
やがて彼の部屋はティーカップの山で埋め尽くされることになった。
「ヴァレリオ、最近どこへ出かけてるの?」
セラフィーナが不思議そうに問いかけるが、彼は穏やかに微笑むだけだった。
「少しね、君に似合うものを探しているんだ」
「私に? それって何?」
「そのうちわかるよ」
彼の部屋に増え続けるカップのことを彼女が知るのは、もう少し先のことになる。
最終的に、ヴァレリオがたどり着いたのは、彼女の壊れたカップそのものを修繕するという結論だった。どれだけ美しい代用品を用意しても、それが彼女にとって最善だとは限らない。あの日、彼女が見せた優しい笑顔と、カップを手にした仕草。それを取り戻せるのは、唯一、元の形だった。
彼は繊細な指先でひび割れを埋め、欠けた部分を足していく。魔法のように美しく修繕されたカップを、セラフィーナの目の前に差し出したとき、彼女は驚きの声を上げた。
「これ……直したの?」
「君のためにね」
ヴァレリオの声は、どこか誇らしげだった。
セラフィーナはそのカップを両手で包み込み、涙ぐみながら微笑んだ。
「ありがとう、ヴァレリオ。これ、もっと好きになっちゃった」
その笑顔に、ヴァレリオは心底満足そうに頷いた。彼の執念深い努力は、ただその一瞬のためにあるのだと、彼自身も確信したのだった。
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