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1章
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しおりを挟む放課後、子どもたちは普段の様子とは少し違った気合いで学校を飛び出した。先生の異変や、大人たちの隠し事がますます気になり、何かを掴もうと意気込んでいたのだ。
「よし、今日は島中をくまなく探してみよう!」
海斗が拳を上げると、七海が「絶対に何か見つけるんだから!」と応えた。
「でも、本当に見つかるかな…」
陽菜は少し不安げな顔をしていたが、颯太が「見つけるよ!僕たちならできる!」と明るく笑う。悠人は少し後ろを歩きながら、静かに周囲を観察していた。
子どもたちは、島の小道や港、森の入り口など、思いつく場所を次々に歩き回ったが、特に異常は見つからなかった。
「何もないじゃん…」
七海が溜め息をついたとき、颯太が急に立ち止まった。
「あれ、あの人誰?」
彼が指を差した先には、見慣れない大人の後ろ姿があった。黒っぽいシャツにパンツを履いた男性で、リュックを背負っている。顔は見えなかったが、どこかよそよそしい雰囲気が漂っている。
「知らない人だね。島の人じゃないよ」
陽菜が小声で言った。
「つけてみよう」
海斗が即断すると、七海が驚いた顔で「え、尾行するの?」と聞き返した。
「だって怪しいじゃん。こんな小さい島で知らない大人がうろついてるなんてさ」
「たしかに…」
悠人も頷き、全員でその男を遠巻きに追いかけることにした。
男は人気のない小道を選んで進んでいった。子どもたちは距離を保ちながらついていくが、男は振り返ることもなく、どんどん進んでいく。
やがて、男が向かった先は、あの滝だった。祭りの日に禊を行った、島で神聖な場所とされる川だ。
「なんで滝に…?」
七海が小声で言うと、陽菜が「禊するには遅すぎるよね」と首をかしげる。
男は滝壺のそばにしゃがみ込み、リュックからいくつかのフラスコを取り出した。それを水に浸し、中の水を慎重にすくい取っているようだった。
「何してるの…?」
颯太が小声で呟いた。
「水を取ってるみたいだけど…普通じゃないよね」
海斗は眉をひそめて男の動きを観察していた。
フラスコに水を詰め終えた男は、リュックにそれをしまい、周囲を一度見回した後、再び来た道を戻り始めた。
「隠れて!」
七海が小声で叫び、全員が近くの茂みに身を隠す。男は子どもたちには気づかず、足早に立ち去っていった。
男がいなくなると、子どもたちは滝壺のそばに集まった。
「これ、絶対おかしいよね」
七海が滝の水を覗き込みながら言う。
「何でわざわざここで水を取るんだろう」
陽菜が不思議そうに言うと、悠人が静かに答えた。
「普通に考えたら、調べるためとかじゃないかな。この水に何かがあるんだよ」
「でも、水なんてただの水だろ?」
海斗が川に手を浸しながら言うと、七海が「でも、神聖な場所とか言われてるし、何か特別な意味があるんじゃない?」と返した。
「これ、先生に言うべきかな…」
陽菜が迷うように言ったが、海斗は首を横に振った。
「先生はもう信用できない。あの様子じゃ、何も教えてくれないよ」
「じゃあ、どうするの?」
七海が尋ねると、海斗は真剣な顔で言った。
「俺たちでこの水が何なのか調べるしかない。島のどこかに手がかりがあるはずだ」
その言葉に全員が頷き、子どもたちは再び動き出した。
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