FREEDOM〜自由の世界へ〜

第三章 もうひとりのリク

１

＊



 （だめだ…全然眠れない…）



その晩、リクはなかなか寝付くことが出来ませんでした。
 目を瞑り、羊の数を数えたり、何度も寝返りを打ったりしましたが、まるで効果はありません。
 眠ることを諦めたリクは、庭でも少し散歩でもしようかと思い、ランプを手に部屋を出ました。
 屋敷の中は真っ暗で、しんと静まり返っています。
ところが、外はあいにくの雨でした。



 （ツイてないな…）



リクは部屋に引き返そうとしましたが、ふとあることを思い付きました。
それは、屋根裏部屋に行くことでした。
リクが子供の頃、屋根裏に行くことはちょっとした探検気分でした。
そこには使われなくなったがらくたが置いてあるだけで、特に面白い場所ではないということがわかる年になってからは行くこともなくなりましたが、屋根裏には小さな窓があります。
そこから外の様子でも見てみようと、ふと考えついたのです。



 「は、は、はくしゅん！」



 部屋に入るなり、リクは突然くしゃみをしました。
ランプの明かりで照らし出されるその場所には、埃がうずたかく積もっています。
 埃がリクの鼻をくすぐったのでしょう。



がらくたの間を通り抜ける時、リクの体が当たって大きな箱の蓋が動きました。
ふと見ると、その箱にはドレスが入っていました。
リクは興味をひかれ、ランプを傍らに置いて箱の中をのぞきこみました。