36 / 304
第五章 反抗と恋心
12
しおりを挟む
✳︎
その日から、リクはウィリアムと一緒に行動するようになりました。
お昼ごはんは一緒に食べ、休み時間にはウィリアムの席へ行って楽しくおしゃべりをしました。
それは、リクにとっては最高に幸せな時間でした。
ウィリアムは、一緒にいると安心できるし、自分の正体を詮索しようともしない。
それに、おしゃべりも楽しくて……リクは、ウィリアムと話している時には嫌なことや悲しいことを忘れることができたのです。
ウィリアムは女子からは凄く人気がある代わりに、男子からは疎まれていました。
だから、彼にとっても、リクは唯一打ち解けて話せる親友でした。
側から見るととびきりの美少年同士の二人が仲良くなっていくことで、より女子からの人気も高まっていきました。
ただ一人……ミクを除いては。
ミクは、リクがウィリアムと仲良くなればなるほど、刺すような冷たい目でリクを睨むようになっていたのです。
「なぁ、リク」
いつもの食堂で向かい合って食べていたウィリアムは、心配そうな様子でリクに話しかけました。
「僕がここに来る前、あの子……ミクと、何かあった?」
「え、いや……何も」
リクは、慌てて誤魔化します。
「そうか。ならいいんだけど……あの子の君を見る目、おかしいから。なぁ、リク。あの子には気をつけた方がいいぞ」
「え、そう?」
ウィリアムは、頷きました。
「ミクは、ルームル家なんだろ。ルームル家は、バリーニャ国の名高い貴族だけど……ハーレンスト家の領土を乗っ取って、実権を握ろうとしてるって噂があるんだ。
まぁ、単なる噂かも知れないけど。
リクを自分のものにしようとするか……それが無理なら、君を陥れようとするかも」
「ま、まさか。考えすぎだよ、ウィリアム」
そう言いながらも、リクは動揺していました。
ミクを拒んでからの、彼女がリクを見る目。
それは、ダンスパーティー以降、そして、リクがウィリアムと仲良くなってから、日に日に冷たくなっていたのです。
今ではリクは、ミクの目を見ると背筋が凍るほどでした。
それに、ミクが流した噂を聞いた時にジクルが言った
「ミクがお前を陥れたんだ」
という言葉も思い出します。
(でも……大丈夫。
今では、ミクは何も話してこないし、きっと私のことなんて諦めてる)
リクはそう、自分に言い聞かせ、無理矢理に心を落ち着かせるのでした。
その日から、リクはウィリアムと一緒に行動するようになりました。
お昼ごはんは一緒に食べ、休み時間にはウィリアムの席へ行って楽しくおしゃべりをしました。
それは、リクにとっては最高に幸せな時間でした。
ウィリアムは、一緒にいると安心できるし、自分の正体を詮索しようともしない。
それに、おしゃべりも楽しくて……リクは、ウィリアムと話している時には嫌なことや悲しいことを忘れることができたのです。
ウィリアムは女子からは凄く人気がある代わりに、男子からは疎まれていました。
だから、彼にとっても、リクは唯一打ち解けて話せる親友でした。
側から見るととびきりの美少年同士の二人が仲良くなっていくことで、より女子からの人気も高まっていきました。
ただ一人……ミクを除いては。
ミクは、リクがウィリアムと仲良くなればなるほど、刺すような冷たい目でリクを睨むようになっていたのです。
「なぁ、リク」
いつもの食堂で向かい合って食べていたウィリアムは、心配そうな様子でリクに話しかけました。
「僕がここに来る前、あの子……ミクと、何かあった?」
「え、いや……何も」
リクは、慌てて誤魔化します。
「そうか。ならいいんだけど……あの子の君を見る目、おかしいから。なぁ、リク。あの子には気をつけた方がいいぞ」
「え、そう?」
ウィリアムは、頷きました。
「ミクは、ルームル家なんだろ。ルームル家は、バリーニャ国の名高い貴族だけど……ハーレンスト家の領土を乗っ取って、実権を握ろうとしてるって噂があるんだ。
まぁ、単なる噂かも知れないけど。
リクを自分のものにしようとするか……それが無理なら、君を陥れようとするかも」
「ま、まさか。考えすぎだよ、ウィリアム」
そう言いながらも、リクは動揺していました。
ミクを拒んでからの、彼女がリクを見る目。
それは、ダンスパーティー以降、そして、リクがウィリアムと仲良くなってから、日に日に冷たくなっていたのです。
今ではリクは、ミクの目を見ると背筋が凍るほどでした。
それに、ミクが流した噂を聞いた時にジクルが言った
「ミクがお前を陥れたんだ」
という言葉も思い出します。
(でも……大丈夫。
今では、ミクは何も話してこないし、きっと私のことなんて諦めてる)
リクはそう、自分に言い聞かせ、無理矢理に心を落ち着かせるのでした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる