FREEDOM〜自由の世界へ〜

第八章 秘密

１

（ごめん、リク……）



 去って行くリクの後姿を見ながら、ウィリアムは心の中で詫びました。



 （だけど…今はこうするしかないんだ…）



ミクが本気で付き合ってるわけではないことに、ウィリアムは気付いていました。



 （ミクが僕に近付いたことにはきっとなんらかの理由があるはず。
 今はミクを油断させて、証拠を掴まなくてはいけない。
 敵を欺くにはまずは味方から…だ。）



 「ウィリアム…私達、もうこのクラスでは公認の仲よね。
 私…早くあなたのご両親にもご挨拶したいわ。
そして、私達がつきあってることを認めてほしいの。」

 「そうだね、その気持ちは僕も同じだよ。
でも、残念ながら、今、両親はライモンドの親類の所に旅行中でね。
もうしばらくは帰って来ないんだ…」

 「そうなの…それは本当に残念だわ。」

 一刻も早くウィリアムと婚約したいと考えていたミクは、がっかりした表情で肩を落としました。



 家に遊びに行きたいと言うならともかく、両親に挨拶をしたいと言ったミクに、ウィリアムはさらに疑いを深めました。



 （やっぱり、ミクは何かを企てている…
なんとかその証拠をみつけないと…！）