FREEDOM〜自由の世界へ〜

神師月一瑠

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第十三章 誤算

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「あ、あれは…!」

 放送室のすぐ傍で、ウィリアムとリクは逃げ去る二人の姿を見ました。



 「ウィリアム、今の…見たかい?」

 「あぁ、見た!あれはミクだ!
 男の方は…」

 「ハンスじゃないかな?」

 「ハンス?…そういえば、確かに似てた…ハンスかもしれないな!」

 「……あ!ウィリアム…見て!」

 放送室の窓越しに、男子生徒が倒れているのが見えました。
 二人は、慌てて扉を開けました。
 部屋の中には、数名の生徒が倒れていました。



 「しっかり!しっかりするんだ!」

 「う、うぅん……」

ウィリアムが男子生徒を揺り起こしました。



 「……あれ…僕は一体…」

 男子生徒は、ぼんやりとした顔であたりをみつめます。



 「どうしたんだ?何があった?」

 「何がって……
いつも通りに朝の放送をするため、放送室に来て…
そこで、珍しくハンスが紅茶をいれてくれて…それを飲んだら急に眠くなって…」

 「なんだって!?」

ウィリアムとリクは顔を見合わせました。
まだ全貌は掴めてはいませんでしたが、ハンスが何事かを企てたということを二人は確信しました。



 「それで…ハンスは一人だった?
 他に誰かいなかった?」

 「さぁ、僕はすっかり眠ってたから…」



 他の生徒たちも、皆、同じ状態でした。
 誰も、何も覚えてはいませんでした。
この件にミクが関わっているかどうかははっきりしませんでしたが、二人はミクの関与を確信していました。
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