FREEDOM〜自由の世界へ〜

第十七章 真実を探しに

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 （もしも、また笛を習えるようになったら…）



カイルは、甘い想像に心を躍らせました。



また思いっきり笛を吹けることになったら…
これから先、まだ知らない旋律をたくさん学べたら…



そう思うと、カイルの心に暖かい日差しが差し込むようでした。



 （一番辛かったのは、笛を吹けないことだった…）



カイルは、刑務所での生活を思い起こしていました。
あの生活の中で、自分にとって笛というものがどれほど大切なものかを思い知ったのです。
でも、あんなことをやらかしてしまった以上、フルートに戻ることは諦めていました。



ですが、今日のウィリアムとの話で、カイルの心に大きな希望が宿ったのです。



 今は、使用人しかいない広い屋敷で、カイルはひさしぶりに明るい気持ちを感じていました。
カイルの両親はカイルの罪を恥じ、今は遠く離れた場所に屋敷を構え、二人で暮らしています。
カイルは捨てられたのです。
 一応、暮らしていくのに不自由のないお金は与えてくれていますが、カイルには居場所さえ伝えられてはいません。
ピエールが、刑務所に一度だけ面会に来た時に、カイルに言いました。



 「今後、私のことは父親とは思うな。
 私も、息子は死んだと思う。」



と……
カイルは、本当にひとりぼっちになってしまったのです。