FREEDOM〜自由の世界へ〜

神師月一瑠

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第十九章 レインボー・エンジェル

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 「う…ん……」


カイルは、ふかふかとしたベッドの上で目を覚ましました。


 「ここは……?」


 全く見覚えのない部屋に寝かされていたのです。


 (どういうことだ? どうして、俺は生きている?)


カイルは起き上がろうとしましたが、体中が刺すように痛み、いうことを聞きませんでした。

しかし、その時……


「よかったぁ。気がついたのね」


カイルは無邪気な少女の声が聞こえた方を向き……
目を見開き驚きました。


 「リク……」


 金色の髪に茶色く澄んだ瞳。
カイルもそれまで見たことのないほど美しい少女……

美しい衣服に身を包んでいましたが、その少女はリクと瓜二つだったのです。


 「リクって、誰? あなたの彼女?
……って言っても、男の名前よね」


そう言ってにっこり笑う少女に、カイルは思わず赤くなってしまいました。


 「私は、ジョセフィーヌ。あなたは?」


 「俺は……カイル」


 「そっか。カイル、あなたは三日前、ここ……タラルの海辺の砂浜で気を失っていたのよ」


 「タラル!?」


カイルは、またしても仰天しました。
タラルといえば、ライモンド大陸、スジャーラとレジットの間に位置する小国でした。

まさか、自分がライモンド大陸にまで流されていただなんて……。



しかし、次の瞬間には、驚きで一度吹き飛んだ絶望感がまたしてもカイルを襲いました。

カイルは下を向きます。


 「俺……どうして助かってしまったんだ?」

 「えっ?」

 「俺、死にたかった。できれば、海に飲み込まれたまま……」


そんなカイルの手を、ジョセフィーヌの温かい手がそっと包み込みました。


 「私……分かるよ。あなたの気持ち」

 「えっ?」

 「私も、ずっと思ってた。どうして、助かったんだろう、どうして、『あの時』死ねなかったんだろうって。でも……」


ジョセフィーヌは、カイルを見て優しく微笑みました。


 「生きていれば、きっと……『あの人』にまた会える。きっと、幸せになれる……そう信じて、私も生きてるんだ」


ジョセフィーヌが向ける純粋な笑顔は、リクを見ているみたいで……
カイルの心は幾分救われて、僅かですが温かさを取り戻したのでした。 
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