FREEDOM〜自由の世界へ〜

第十九章 レインボー・エンジェル

３３

「ハーレンスト様…お腹立ちはごもっともですが、ミクとミュルスさんのあのことは私達だけの秘密ということにしませんか？
……死者を鞭打つようなことはしたくないのです。」

バルローが、静かに話しかけました。



 「そのことなら私も同意見だ。
 二人とも亡くなってしまった以上、私ももう誰にも何も言う気はない。
リクやウィリアムにも、もちろん釘を刺しておこう。」

 「ありがとうございます。
ショックな出来事ではありましたが、これからは、リクやウィリアムも気持ちを新たにまた勉学に勤しむことが出来そうですね。」

 「そうだな…カイルもミクもいなくなった今、あの子たちも心配事がなくなっただろう。」

ミルトンは、小さく頷き、遠い目で窓の外をみつめました。



 「カイルのことでは、とても落ち込んでいましたが…」

 「大丈夫だ。
リクもウィリアムは、ああ見えて芯はしっかりとしている。
ところで…カイルは、フルートに復学したいと言っていたが…ミクとミュルスのことを知って、あんなことをしでかしてしまったのだろうか？」

 「おそらく、そうでしょう。
うちのウィリアムも、ミクの家に泊めてもらった時に、たまたま二人の関係を目撃した…
カイルもウィリアムと同じような状況だったのではないでしょうか？」

 「だとすれば、カイルも気の毒なことだな…」

 「そうですね…」

 二人は、静かにお茶をすすりました。