FREEDOM〜自由の世界へ〜

神師月一瑠

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第二十二章 スジャーラの内乱

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「ドルト……」


ミクの瞳は感激の涙に濡れました。

こんなに真っ直ぐに愛を打ち明けられたことは、幼い頃にカイルに告白されて以来のことでした。


 幼い頃には何不自由ない生活をしていたミクは、カイルの想いを何とも思いませんでした。

しかし、今……醜い兵士達に汚され、過酷な運命に翻弄され、身も心もボロボロになっていた今では、ミクの心にドルトの真っ直ぐな想いが染み渡っていったのでした。



 「ドルト。でも、私……あなたの思っているような女性じゃない。汚くて、醜くて……」


ミクの脳内に今までの記憶が蘇ります。

 父親との禁じられた関係、フルートで働いた数々の悪事、そして、ここに来る前もマルクと関係を持ち、数え切れないほどの兵士達に汚され……
自分は人に愛される資格がない。

ミクがそう言おうとした時でした。


 「それ以上、言わなくていい」


ドルトは真っ直ぐにミクを見つめました。


 「僕が守るから」

 「えっ……」

 「過去に何があったとしても、僕は君が本当は純粋で……透き通った海のような心を持っているって知っている。あまりいい暮らしをさせられないと思うけど……でも、僕がミクも、ミクのお腹の赤ちゃんも絶対に守ってみせる」


ドルトの真っ直ぐな瞳にミクの心はドクンと跳ね上がり、今までに感じたことのない感情が湧き上がりました。


 「ミク……僕と、結婚しよう」

 「ドルト……」


ミクはドルトの胸に顔を押し付け……溢れ出る涙を抑えることができませんでした。

それは、ミクが何年ぶりかに流す、嘘も偽りもない『本当の』涙だったのでした。 
 
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