FREEDOM〜自由の世界へ〜

第二十五章 交換条件

３

「じゃあね、ウィリアム。また明日！」

 「ああ、リク。明日は遅刻すんなよ」

 「あ、ひどい。今日はたまたまだって」

 「はは！ じゃあな」


いつもの分かれ道でリクと別れたウィリアムは、自分の家へ向かって歩き始めました。
しばらく歩いた時…前方から一人の男性が歩いてくるのに気付きました。


 「誰だ？」


ウィリアムは、そっとその手をポケットの笛に忍ばせました。

すると、その男性は礼儀正しくウィリアムにお辞儀をしました。


 「ウィリアム・バルロー様。
お初にお目にかかります。私はデュークと申す者です。
 旧レジット国にて、王の側近としてお仕えしていた者です」

 「レジット国で？」


ウィリアムはデュークをまじまじと見つめました。


 （悪い奴では……なさそうだな）


ウィリアムは、自らの手で握っていた笛をそっと放しました。



 「実は…ウィリアム様に会ってお話がしたい者がおりまして」

 「僕に？」

デュークはうなずきました。

 「旧レジット国で実質的に政権を握っておられた、マルク様という者にございます。
どうか、お会いしてもらえないでしょうか」

 「マルク……」


ウィリアムは、その名に覚えがありました。

あの時……旅行中にミクの家族を助けた時。
 救い出した者の中にいた、瀕死の男の名前だったのです。



 「分かった。僕を、案内してくれ」

 「はい！ ありがとうございます」

ウィリアムはデュークに付いて、マルクの元へ向かいました。