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5.加速
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「ね、巫女くんいつもゆっくり車走らせてるけど、もっとスピード出してもいいよ」
ギャルちゃんが無邪気にリクエストした。しかし直線でもない今の道を速度超過して走っていると、警察にとっ捕まって罰金払って点数加算という羽目になるということを巫女は説明し始めた。
「制限速度っていうものがありましてね……ほら、あそこ。青地に赤枠の丸い看板。50って書いてあるでしょ? ここは制限速度50キロだから、50キロまでしか出しちゃいけないんだよね」
ギャルちゃんは分かったような分かっていないような顔をして頷いた。
「ざーんねん。本当は何キロまで出せるの?」
「カタログスペックよりずいぶん落ちてるからなあ……250キロくらい出ればいい方だと思う」
この車は驚異の21万キロ走行だ。それでも天井は垂れ下がってこないし、ボタンが有り得ない場所にあるわけでもないし、注入したそばからエンジンオイルが漏れ始めるわけでもない。
それでも何度も修理しているし、性能も下がっているのでなんともいえなかった。
「250キロっていうと……5倍速いんだ」
「ギャルちゃん、重要なのは速度そのものよりも加速度。徐行から加速すれば速く感じるかも」
地雷ちゃんが煙草に火を付けながら口を挟んだ。
父親が車好きなお嬢ならともかく、地雷ちゃんが車の話をするとは思わず、巫女くんは少しばかり驚いた。
「地雷ちゃん、車詳しいの? なんか意外」
「あー……元彼がバイク乗ってて。それで」
言い淀んだのでそれ以上は追及しないことにした巫女だったが、地雷ちゃんが車に詳しい理由には納得がいった。バイクの加速力は、パワーウェイトレシオの関係で車を大きく凌ぐ。加速時の爽快感は車の比ではないだろう。
「他に車いないし、直線入ったし、ここ鼠取りエリアじゃないからいいよ。徐行から一気に90キロまで加速するから。ギャルちゃん、頭出してると死んじゃう」
ギャルちゃんが慌てて頭を引っ込めたのと、巫女くんがアクセルを強く踏んだのはほぼ同時だった。
勢いよく加速し、風が四人の周りに吹き荒れる。
旧車特有の派手な排気音を響かせ、メーターの針がが10キロから制限速度の60キロを超え、70、80、そして90キロに到達した。
しかし、直線もそう長くは続かない。まもなく徐々に減速し、カーブに入る。
「けっこー速いね! もっと長いことできないのかな」
「まあ良い子は真似するなってこと。スピード出したい、そう思ったならサーキットへ。あ、ギャルちゃんまだ高一か」
車界隈になんとか引き摺り込もうと画策する巫女くんと、そうとも知らず純粋にスピードへの興味を示すギャルちゃんだった。
ギャルちゃんが無邪気にリクエストした。しかし直線でもない今の道を速度超過して走っていると、警察にとっ捕まって罰金払って点数加算という羽目になるということを巫女は説明し始めた。
「制限速度っていうものがありましてね……ほら、あそこ。青地に赤枠の丸い看板。50って書いてあるでしょ? ここは制限速度50キロだから、50キロまでしか出しちゃいけないんだよね」
ギャルちゃんは分かったような分かっていないような顔をして頷いた。
「ざーんねん。本当は何キロまで出せるの?」
「カタログスペックよりずいぶん落ちてるからなあ……250キロくらい出ればいい方だと思う」
この車は驚異の21万キロ走行だ。それでも天井は垂れ下がってこないし、ボタンが有り得ない場所にあるわけでもないし、注入したそばからエンジンオイルが漏れ始めるわけでもない。
それでも何度も修理しているし、性能も下がっているのでなんともいえなかった。
「250キロっていうと……5倍速いんだ」
「ギャルちゃん、重要なのは速度そのものよりも加速度。徐行から加速すれば速く感じるかも」
地雷ちゃんが煙草に火を付けながら口を挟んだ。
父親が車好きなお嬢ならともかく、地雷ちゃんが車の話をするとは思わず、巫女くんは少しばかり驚いた。
「地雷ちゃん、車詳しいの? なんか意外」
「あー……元彼がバイク乗ってて。それで」
言い淀んだのでそれ以上は追及しないことにした巫女だったが、地雷ちゃんが車に詳しい理由には納得がいった。バイクの加速力は、パワーウェイトレシオの関係で車を大きく凌ぐ。加速時の爽快感は車の比ではないだろう。
「他に車いないし、直線入ったし、ここ鼠取りエリアじゃないからいいよ。徐行から一気に90キロまで加速するから。ギャルちゃん、頭出してると死んじゃう」
ギャルちゃんが慌てて頭を引っ込めたのと、巫女くんがアクセルを強く踏んだのはほぼ同時だった。
勢いよく加速し、風が四人の周りに吹き荒れる。
旧車特有の派手な排気音を響かせ、メーターの針がが10キロから制限速度の60キロを超え、70、80、そして90キロに到達した。
しかし、直線もそう長くは続かない。まもなく徐々に減速し、カーブに入る。
「けっこー速いね! もっと長いことできないのかな」
「まあ良い子は真似するなってこと。スピード出したい、そう思ったならサーキットへ。あ、ギャルちゃんまだ高一か」
車界隈になんとか引き摺り込もうと画策する巫女くんと、そうとも知らず純粋にスピードへの興味を示すギャルちゃんだった。
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