10 / 15
10.夏の始まりは
しおりを挟む
夜のドライブは、風が気持ち良い。
特に初夏、それも海沿いなら尚のこと。
波に反射する灯台の灯に照らされつつ、四人は海に来ていた。昼間から集合してファミレスでとりとめのない会話を楽しみ、夕方に出発して一時間半くらいで海が見えた。
「大人って感じする」
「酒でも飲みながら、ゆっくりと夜の景色を眺めるのが大人なのさ……知らないけど」
「巫女くん成人してるよね?」
まあそうだ、と曖昧に頷きながら巫女は路傍の駐車場に駐車させる。有料駐車場の値段が思ったよりも割高なことに心の中で溜息をついた。
四人は車を降りると、堤防の下の砂浜を踏んだ。
サンダルで来ていたギャルちゃんが「うわっ」と声をあげていた。指の間に砂が入ったようだ。
先客はちらほらいたが、昼間の人のごった返し方に比べれば取るに足らないほどだ。
「ここ人いないよ。テトラポッドも遠いから」
地雷ちゃんが手頃な場所を見つけ、てきぱきと花火の準備を進める。トランクに雑に積んであったバケツに海水を汲んで水を張り、行きのコンビニで買った花火セットの袋をバリッと開けた。
地雷ちゃんはポケットから煙草のライターを出して一つ目の花火に火を点ける。
「誰が持つ? 誰が持つ?」
体の前で忙しなく手を動かすギャルちゃんに最初の一つは手渡された。地雷ちゃんは手慣れた手つきで次々に点火し、全員に線香花火が行き渡る。
バケツの周りに四人で集まり、パチパチと音を立てて燃える花火を見つめていた。華やかさはないが、これでも充分おもしろい。
「線香花火ってさ……いつ玉が落ちるかって考えていると下に手をやりたくなるよね」
巫女くんが不意に花火の下に手をスッと差し入れたので、お嬢がすばやくその手を引き剥がした。
「巫女くんって時々すごい行動に出るけど、やめてね」
「これは失礼。好奇心が恐怖心に勝っちゃって」
謎のスイッチが入った巫女くんから線香花火を没収すると、ギャルちゃんは片手に一つずつ花火を持った。
「なんか、夏がもう終わっちゃうみたいな感じする」
「実際にはまだ夏休みにすらなっていないんだけどね」
どこか夏の終わりのような雰囲気にさせる、夜の海と線香花火をぼうっと眺め、ギャルちゃんは呟いた。確かに夏の初めは打ち上げ花火で、終わりは線香花火のイメージがあると三人も頷いた。
「それって、まだ遊べるってこと?」
「まだまだ。夏は始まったばっかりなんで」
「じゃ、また計画立ててどっか行こう」
「計画立ててる間に夏休み終わらないようにね」
特に初夏、それも海沿いなら尚のこと。
波に反射する灯台の灯に照らされつつ、四人は海に来ていた。昼間から集合してファミレスでとりとめのない会話を楽しみ、夕方に出発して一時間半くらいで海が見えた。
「大人って感じする」
「酒でも飲みながら、ゆっくりと夜の景色を眺めるのが大人なのさ……知らないけど」
「巫女くん成人してるよね?」
まあそうだ、と曖昧に頷きながら巫女は路傍の駐車場に駐車させる。有料駐車場の値段が思ったよりも割高なことに心の中で溜息をついた。
四人は車を降りると、堤防の下の砂浜を踏んだ。
サンダルで来ていたギャルちゃんが「うわっ」と声をあげていた。指の間に砂が入ったようだ。
先客はちらほらいたが、昼間の人のごった返し方に比べれば取るに足らないほどだ。
「ここ人いないよ。テトラポッドも遠いから」
地雷ちゃんが手頃な場所を見つけ、てきぱきと花火の準備を進める。トランクに雑に積んであったバケツに海水を汲んで水を張り、行きのコンビニで買った花火セットの袋をバリッと開けた。
地雷ちゃんはポケットから煙草のライターを出して一つ目の花火に火を点ける。
「誰が持つ? 誰が持つ?」
体の前で忙しなく手を動かすギャルちゃんに最初の一つは手渡された。地雷ちゃんは手慣れた手つきで次々に点火し、全員に線香花火が行き渡る。
バケツの周りに四人で集まり、パチパチと音を立てて燃える花火を見つめていた。華やかさはないが、これでも充分おもしろい。
「線香花火ってさ……いつ玉が落ちるかって考えていると下に手をやりたくなるよね」
巫女くんが不意に花火の下に手をスッと差し入れたので、お嬢がすばやくその手を引き剥がした。
「巫女くんって時々すごい行動に出るけど、やめてね」
「これは失礼。好奇心が恐怖心に勝っちゃって」
謎のスイッチが入った巫女くんから線香花火を没収すると、ギャルちゃんは片手に一つずつ花火を持った。
「なんか、夏がもう終わっちゃうみたいな感じする」
「実際にはまだ夏休みにすらなっていないんだけどね」
どこか夏の終わりのような雰囲気にさせる、夜の海と線香花火をぼうっと眺め、ギャルちゃんは呟いた。確かに夏の初めは打ち上げ花火で、終わりは線香花火のイメージがあると三人も頷いた。
「それって、まだ遊べるってこと?」
「まだまだ。夏は始まったばっかりなんで」
「じゃ、また計画立ててどっか行こう」
「計画立ててる間に夏休み終わらないようにね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる