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第一章 アルバ大森林での修行編

第15話 我慢

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 新堂あさひの肉体は眠った。

 そして俺の精神なのか魂なのかはわからないが、また【ルーム】にきた。

【ルーム】に造った家に入るとシーンとしてる。
 あっ、やっぱユヅキ寝てるんだな。

 今の状態はどういう状態なんだろう?俺の精神だか魂だか分からないが、今後は精神として考えよう。
 新堂あさひの肉体は眠っている。でも精神は起きている。外の世界を見ようと思うが真っ暗な状態でわからない。多分肉体が眠っているからだろう。
 フッ。俺にこんな難しいことがわかる訳ないか。思考加速先生がいるとはいえ、考えてるのは所詮俺。今度ユヅキに聞いてみよう。

 今はとりあえず、新堂あさひは眠ってはいるが、眠りの浅い状態。とでも考えておくか。今起きている俺。俺の精神とユヅキの精神が眠った時、本当の熟睡。こんな感じで考えをまとめた。
 それで合ってるのかって?いや、それは俺には分からんよ。俺は学者さんじゃない。こういう事は偉い学者先生達に任せよう。

 こんな事調べてる先生はいないと思うが………

 明日の訓練に備えて、今日は俺も寝よう。俺はさっき寝てた自分の部屋へ向かう。ドアを開けると、そこは俺が寝てた部屋とは随分雰囲気が変わっていた。

 ピンクを基調とした色合いの部屋でベッドはクイーンサイズに変わっている。

 そこには下着姿で仰向けになって、寝ているユヅキがいた。毛布も剥いで丸見えだ。

 な、な、な、なんてセクシーなっ。
 や、やばい。ムラムラする。そういえば、俺もけっこう溜まってた。日本では塞ぎ込んでたし、こっちに来てからはユヅキとステラさんという超絶美女に囲まれる日々。
 溜まらない方がおかしい。
 そんな事を考えていると寝返りをうってこちらを向いて横向きになって寝ているユヅキ。

 た、谷間が………なんて暴力的で柔らかそうな胸。パンツもセクシーすぎませんか、ユヅキさん。

 ごくりっ。唾を飲み込む俺。
 ダ、ダメだ。寝込みを襲うなんて。ユヅキとの信頼関係は絶対に失っちゃいけない。そう思いながらも俺の目線はユヅキに釘付けだ。
 隣の部屋で寝よう。こんなの我慢できん。

 しかし、ここは俺の部屋だ。そう。俺が最初に寝ていた。誰が何と言おうと俺の部屋だ。いや、違う単純にユヅキの隣で寝たいだけだ。

『うーん、むにゃむにゃ』

 ユヅキがなんか寝言みたいなのを言いながら気持ち良さそうに寝ている。

 くっ、かわいすぎるだろ、ユヅキ。なんて綺麗な体なんだ。出るところは出て、締まるところはしまっている。こ、このくびれ。たまらんっ。
 完全記憶師匠はまた完璧な仕事をしてしまっている。師匠働きすぎだぜ。でもいつもありがとうございます。

 ベッドは大きくてユヅキの隣には、まだ俺が隣に寝れるスペースがある。

 よし、隣で寝よう。ここは俺の部屋だし。襲わなければ大丈夫だろう。いや、ユヅキの隣で寝たいんだ。

 俺はユヅキの隣で静かに起こさないよう横になる。

 ふう。

 ユヅキの方を見る。ち、近い。
 このぷるんとした唇。吸い込まれそう。そして、な、なんて柔らかそうで暴力的な胸。色白の透き通るような綺麗肌。さ、触りたい。触りたい。触りたい。でも我慢だ。俺は必死に我慢する。も、もう限界。その時、

『むにゃ、むにゃ、あさひ……明日も頑張ろうね………』
 聞き取りづらい小さな声でユヅキが寝言を言う。そして俺の手を繋いできて、寝ている。

 ユヅキの柔らかい温かい手の温もりを感じる。

 日本では塞ぎ込んでいた俺。正直人生どうでもいいやって思った事は何度もある。そしていきなり異世界に来て、もし俺が一人だったら。考えただけでも恐ろしい。

 俺がこの世界に来てこんな前向きで、楽しくいられるのはユヅキのおかげだ。心穏やかでいられるのもユヅキのおかげだ。いや、今は心穏やかではないが。心臓バクバクだ。

 ありがとうユヅキ、俺頑張るよ………

 よし、寝よう。俺は無理矢理目を瞑る。
 いや、もう一回だけ拝ませてもらって。
 俺はもう一度目を開けてユヅキを上から下まで眺める。

 す、凄い。またゴクリと唾を飲む。
 だ、ダメだ。寝よう。これ以上は我慢できない。
 俺は目をつぶる。目を瞑っても完全記憶師匠が仕事をして俺の眠りを妨げる。

 煩悩退散。煩悩退散。煩悩退散。

 俺は悪霊を払うがの如く念じる。

 その後、どのくらい時間が経っただろうか。師匠との激しい戦いの末、俺は無事に眠ることができた。

 完全記憶師匠、あんた強すぎるぜ……Zzzzzz




 目を覚ますと窓から朝日が差し込んでいる。

 あ、起きたのか。
 昨日は完全記憶師匠が邪魔してなかなか眠らせてくれなかった。寝起き早々にまたユヅキの寝姿を思い出してしまう。

『あ、あさひ、おはよう』
 ユヅキの声がする。

『ユ、ユ、ユヅキ。おはよう』
 焦りまくって返事する俺。

『あ、あの。あさひ昨日は私の隣で寝てたんだね。たくさん私のこと見てたみたいで…………』
 な、なんだか凄くかわいく色っぽい声のユヅキ。

『あ、ああ。そ、そのユヅキ凄く綺麗で。本当に綺麗で。なかなか寝れなかったんだけど、お、襲わなかったから。我慢したから。あそこは俺の部屋だし隣で寝た………』
 訳の分からない言い訳をする俺。

『う、うん。いいよ。ありがとう。で、でもあさひ。ス、ステラさんもいるし、えっと、今日からは私も別の部屋で寝るね………』

『ご、ごめん。ユヅキに気を使わせちゃって、俺も気をつけるから………』

『い、いいの。一緒に寝ても、べ、別にいいんだけど、そういうのは我慢してね』

 そうだ。俺はユヅキとの信頼関係を壊してはいけない。ちゃんと我慢する。俺は賢者あさひだ。仙人になるんだ。雑念を払ってみせる。

 そんな事を思っていると、食堂の方からトントントンとステラさんが食事の準備している音とスープの良いにおいがしてくる。

『あっ、俺起きてステラさんのところに行くから。ユヅキ、そのなんかごめん。俺のせいで』
 俺は必死に気持ちを立て直す。

『きっ、気にしないで。剣術の訓練だし、お互い気持ち切り替えよっ』

 そうだ。ちゃんとしなくてはっ!俺はこの世界で生きていかなくては!

 俺は自分の頬っぺたをパンパン叩いてステラさんに挨拶しに行った。


 食後、いよいよ剣術の訓練が始まった。しゅ、集中しなくては!
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