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第一章 アルバ大森林での修行編
第22話 闘気
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訓練9日目 午前の部
ステラさんはいつもと変わらない様子だった。
「あさひ様、素振りかなり上達しましたね」
「ありがとうございます。ステラさんの指導のお陰です。」
俺(ユヅキ)は答える。剣術の訓練はユヅキが肉体を使ってることが多い。
「ステラさん、闘気って使えますか?」
「はい。使えます。あさひ様は闘気を知っているのでしょうか?」
「はい。家にある書物を読みまして、そこに書いてありました。もし良かったら、教えてください」
「闘気は本来何年、何十年と修行した者がやっと使える領域のものです。しかしあさひ様ならもしかしたら。わかりました。今からやりますので見ていてください」
そう言ってステラさんは大きな岩の前に立つ。
「はい、よろしくお願いします」
俺(ユヅキ)は【創造眼】を使ってステラさんを見る。
俺も【創造眼】で見る。絶対見逃さないように、意識を極限まで集中する。
ステラさんは集中しているようだ。
すると、ステラさんの身体から白くて薄い膜のような物が出てくる。これはオーラか………
その膜は均一にステラさんの身体を覆う。そして、持っている木剣も同じように覆われる。
その後、少し木剣に多めにオーラが漂う。
次の瞬間
シュンッ
「『は、速い!』」
スパーーーーーーーンッ!!!!!!
大岩が真っ二つに割れる。
「す、凄い!ステラさん」
ユヅキは興奮している。
やばい、凄すぎる。一瞬の踏込み。【創造眼】ですら、速過ぎて動きを捉えることができなかった。【創造眼】が無ければ全く追えない。
そして、あの威力…………一撃で簡単に死ねる。
この世界の達人はこんなに強いのか…………
これはやばい。中途半端な修行ではすぐに死ぬ。
「いえ、久しぶりに闘気を使いましたが、かなり鈍っていますね。私は修行を怠け過ぎていました。あさひ様を見習いこれからはまた真剣に精進しようと思います」
ステラさんは涼しい顔をしていう。
うそーん、ステラさん。あれで鈍ってるって…………
「ステラさん、いやステラ師匠!これからもたくさん教えてください。よろしくお願いします!」
「あさひ様、えっ、いえ、師匠などとご冗談はおやめください。わ、私など。まだまだです。そんな、師匠なんて、は、はじめて言われました。いえ、私など…………」
おいおい、ステラさんがめっちゃ照れてるぞ。顔が真っ赤になって、なんかニコニコしてるぞ。
ユヅキのテンションも爆上がり。
ユヅキがステラさんのことを師匠とか言い出した。
俺にはもうすでに完全記憶師匠がいる。師匠が二人になってしまう。まあ、ステラさんならいいか。
などとバカな事を考えていると、
『あさひ、さっきの闘気分かった?』
『なんとなくだけど。体から白い膜、オーラ?みたいなのが出てきて、あれがきっと闘気だよな?出し方は分からないけど』
『だよね。やっぱそうだよね。でも私なんかできる気がする』
えっ?嘘まじか、ユヅキ。俺にはさっぱり分からないぞ。
「ステラ師匠」
また、ユヅキがステラさんに向かって言い出した。
「は、はい♪い、いえ私が師匠なんて…………」
嬉しそうにするステラさん。しかし即座に自分で否定する。なんかステラさんめっちゃかわいいぞ。
「いえ、師匠です!」
「は、はい♪い、いえ、やめてください。あさひ様」
ステラさんの顔が真っ赤になり照れている。
ユヅキさん、ステラさんで遊んでませんかっ?
ユヅキの思考を読む………
めっちゃ真面目だ。
そうだ、ユヅキは剣術に関しては真剣だ。
こ、これが俺との差か。勝てないのが分かった………
「ステラ師匠、私もちょっと試していいですか」
や、やばい。ユヅキ周り見えてない。
『ユヅキー、私って言っちゃってるぞ!』
無視。無視されました。
ユヅキは岩の前に立つ。
もの凄い集中だ。こ、これは俺も見なくてはいけない。感じろ。ユヅキの思考を魔力の流れを。
ユヅキが集中する。
こ、これが体内の気?これが闘気?
俺ははじめての感覚を感じる。
魔法がMPを使うなら、闘気はHPを使う感じ。
生命のエネルギーを燃やしていくような感覚。
お、おお。凄い。俺の身体にもぼんやりとオーラが漂う。
ステラさん程では無い。しかし。確かにオーラが漂い、木剣を覆う。
ユヅキはかなり集中しているが、木剣にオーラを多く張ることはまだできないようだ。
それにステラさんのようにオーラが綺麗に圧縮されていない気がする。
その時、ユヅキが踏み込む。
今までとは段違いの速度で動く。
バカーーーンッ
木剣は岩にぶち当たり、途中まで破壊して止まり、木剣は真っ二つに折れた。
「ふう。ステラ師匠のようには上手くできませんでした。木剣を壊してしまってごめんなさい。」
ユヅキは悔しがり、頭を下げる。
いや、ユヅキ。お前天才だよ。なんでそんな事すぐできるんだ?俺はただただ驚嘆した。
「い、いえ。お、お見事です。たった一度見ただけで。これほどとは……」
ステラさんは真剣な表情で俺(ユヅキ)を見る。額に一筋の汗が流れている。
「ステラ師匠のように上手くできるようにもっと訓練しますね!」
俺(ユヅキ)はステラさんに向かって深々と頭を下げる。
「明日から、魔物との実戦をしましょう。今のあさひ様なら十分戦えます。もしも、危険があっても私が必ずお守りします」
「師匠、よろしくお願いします」
もうステラさんはすっかりユヅキの師匠になったようだ。
「あさひ様、し、師匠なんて、おやめください。そ、そんな私なんかが」
また照れ始めるステラさん。本当かわいい人だなと思う俺だった。
その後ユヅキは素振りと闘気の練習を繰り返した。
俺も【ルーム】で闘気の練習をした。
ユヅキ程上手くできないようだ。
全身に闘気を纏うのは難しい。特に木剣に流してステラさんのように剣自体を強化するのがとても難しい。
自分の体じゃない部分に自分の闘気を纏わす難易度。
これはもっと訓練を続けていかないと難しいかもしれない。
ここで俺はある事を思いつく。
よし、試してみよう。
全身に闘気を纏わせた後、さらに右手に集中的にオーラを纏わす。
そしてその右手に土魔法で土を出し、球状に形作り固める、さらに固める。強度を岩よりも遥かに硬くするイメージ。それと同時に闘気のオーラを練り込む。とてつもなく固くて頑丈な物。そして飛ばす。
『アースボールっ』
つい叫んでしまった。ちょっと恥ずかしい。
ピュンッ
物凄い速さでアースボールが飛んでった。まるで弾丸だ。
剣などの自分では無い物の一部に混ぜるよりも、自分の魔力に混ぜる事の方が俺にはやりやすかった。イメージしやすかった。魔力操作のレベルが上がっているのと思考加速先生のおかげかもしれない。
えっ、これ、す、凄そう。今は球状にイメージしたけど、先を尖らせたら、とんでもない威力になりそう…………
闘気は飛ばせそうもないので、カメ◯メ派は無理だったけど、ちょっと似てるかも。
ふふふふふふふふふっ。
闘気と魔法の合体。
これやばいんじゃない?興奮がおさえられない。
ふふふふふっ。
『わははははっ、俺様は無敵だーーーーー』
俺は思わず、叫んでしまった。
『アースボール?俺様は無敵?どした?あさひ、頭おかしくなった?』
ユヅキが聞いていた。
『あっ、い、い、いや。なんでもないんだ、ユヅキ君。訓練の邪魔して悪かったね。ごめんごめん。僕なんかに構わず訓練を続けてくれたまえ。あははっ。ははっ』
調子に乗って独り言を聞かれる恥ずかしさ…………
『あ、さ、ひ君っ、またユヅキちゃんに隠れて【ルーム】でなんか企んでるわね。お姉さんにあとで教えなさいよ。うふふっ』
『はい、午後にやるつもりだったので見せます』
こうして【闘気】を覚えて、午前中の訓練は終了した。
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「あさひ様、素振りかなり上達しましたね」
「ありがとうございます。ステラさんの指導のお陰です。」
俺(ユヅキ)は答える。剣術の訓練はユヅキが肉体を使ってることが多い。
「ステラさん、闘気って使えますか?」
「はい。使えます。あさひ様は闘気を知っているのでしょうか?」
「はい。家にある書物を読みまして、そこに書いてありました。もし良かったら、教えてください」
「闘気は本来何年、何十年と修行した者がやっと使える領域のものです。しかしあさひ様ならもしかしたら。わかりました。今からやりますので見ていてください」
そう言ってステラさんは大きな岩の前に立つ。
「はい、よろしくお願いします」
俺(ユヅキ)は【創造眼】を使ってステラさんを見る。
俺も【創造眼】で見る。絶対見逃さないように、意識を極限まで集中する。
ステラさんは集中しているようだ。
すると、ステラさんの身体から白くて薄い膜のような物が出てくる。これはオーラか………
その膜は均一にステラさんの身体を覆う。そして、持っている木剣も同じように覆われる。
その後、少し木剣に多めにオーラが漂う。
次の瞬間
シュンッ
「『は、速い!』」
スパーーーーーーーンッ!!!!!!
大岩が真っ二つに割れる。
「す、凄い!ステラさん」
ユヅキは興奮している。
やばい、凄すぎる。一瞬の踏込み。【創造眼】ですら、速過ぎて動きを捉えることができなかった。【創造眼】が無ければ全く追えない。
そして、あの威力…………一撃で簡単に死ねる。
この世界の達人はこんなに強いのか…………
これはやばい。中途半端な修行ではすぐに死ぬ。
「いえ、久しぶりに闘気を使いましたが、かなり鈍っていますね。私は修行を怠け過ぎていました。あさひ様を見習いこれからはまた真剣に精進しようと思います」
ステラさんは涼しい顔をしていう。
うそーん、ステラさん。あれで鈍ってるって…………
「ステラさん、いやステラ師匠!これからもたくさん教えてください。よろしくお願いします!」
「あさひ様、えっ、いえ、師匠などとご冗談はおやめください。わ、私など。まだまだです。そんな、師匠なんて、は、はじめて言われました。いえ、私など…………」
おいおい、ステラさんがめっちゃ照れてるぞ。顔が真っ赤になって、なんかニコニコしてるぞ。
ユヅキのテンションも爆上がり。
ユヅキがステラさんのことを師匠とか言い出した。
俺にはもうすでに完全記憶師匠がいる。師匠が二人になってしまう。まあ、ステラさんならいいか。
などとバカな事を考えていると、
『あさひ、さっきの闘気分かった?』
『なんとなくだけど。体から白い膜、オーラ?みたいなのが出てきて、あれがきっと闘気だよな?出し方は分からないけど』
『だよね。やっぱそうだよね。でも私なんかできる気がする』
えっ?嘘まじか、ユヅキ。俺にはさっぱり分からないぞ。
「ステラ師匠」
また、ユヅキがステラさんに向かって言い出した。
「は、はい♪い、いえ私が師匠なんて…………」
嬉しそうにするステラさん。しかし即座に自分で否定する。なんかステラさんめっちゃかわいいぞ。
「いえ、師匠です!」
「は、はい♪い、いえ、やめてください。あさひ様」
ステラさんの顔が真っ赤になり照れている。
ユヅキさん、ステラさんで遊んでませんかっ?
ユヅキの思考を読む………
めっちゃ真面目だ。
そうだ、ユヅキは剣術に関しては真剣だ。
こ、これが俺との差か。勝てないのが分かった………
「ステラ師匠、私もちょっと試していいですか」
や、やばい。ユヅキ周り見えてない。
『ユヅキー、私って言っちゃってるぞ!』
無視。無視されました。
ユヅキは岩の前に立つ。
もの凄い集中だ。こ、これは俺も見なくてはいけない。感じろ。ユヅキの思考を魔力の流れを。
ユヅキが集中する。
こ、これが体内の気?これが闘気?
俺ははじめての感覚を感じる。
魔法がMPを使うなら、闘気はHPを使う感じ。
生命のエネルギーを燃やしていくような感覚。
お、おお。凄い。俺の身体にもぼんやりとオーラが漂う。
ステラさん程では無い。しかし。確かにオーラが漂い、木剣を覆う。
ユヅキはかなり集中しているが、木剣にオーラを多く張ることはまだできないようだ。
それにステラさんのようにオーラが綺麗に圧縮されていない気がする。
その時、ユヅキが踏み込む。
今までとは段違いの速度で動く。
バカーーーンッ
木剣は岩にぶち当たり、途中まで破壊して止まり、木剣は真っ二つに折れた。
「ふう。ステラ師匠のようには上手くできませんでした。木剣を壊してしまってごめんなさい。」
ユヅキは悔しがり、頭を下げる。
いや、ユヅキ。お前天才だよ。なんでそんな事すぐできるんだ?俺はただただ驚嘆した。
「い、いえ。お、お見事です。たった一度見ただけで。これほどとは……」
ステラさんは真剣な表情で俺(ユヅキ)を見る。額に一筋の汗が流れている。
「ステラ師匠のように上手くできるようにもっと訓練しますね!」
俺(ユヅキ)はステラさんに向かって深々と頭を下げる。
「明日から、魔物との実戦をしましょう。今のあさひ様なら十分戦えます。もしも、危険があっても私が必ずお守りします」
「師匠、よろしくお願いします」
もうステラさんはすっかりユヅキの師匠になったようだ。
「あさひ様、し、師匠なんて、おやめください。そ、そんな私なんかが」
また照れ始めるステラさん。本当かわいい人だなと思う俺だった。
その後ユヅキは素振りと闘気の練習を繰り返した。
俺も【ルーム】で闘気の練習をした。
ユヅキ程上手くできないようだ。
全身に闘気を纏うのは難しい。特に木剣に流してステラさんのように剣自体を強化するのがとても難しい。
自分の体じゃない部分に自分の闘気を纏わす難易度。
これはもっと訓練を続けていかないと難しいかもしれない。
ここで俺はある事を思いつく。
よし、試してみよう。
全身に闘気を纏わせた後、さらに右手に集中的にオーラを纏わす。
そしてその右手に土魔法で土を出し、球状に形作り固める、さらに固める。強度を岩よりも遥かに硬くするイメージ。それと同時に闘気のオーラを練り込む。とてつもなく固くて頑丈な物。そして飛ばす。
『アースボールっ』
つい叫んでしまった。ちょっと恥ずかしい。
ピュンッ
物凄い速さでアースボールが飛んでった。まるで弾丸だ。
剣などの自分では無い物の一部に混ぜるよりも、自分の魔力に混ぜる事の方が俺にはやりやすかった。イメージしやすかった。魔力操作のレベルが上がっているのと思考加速先生のおかげかもしれない。
えっ、これ、す、凄そう。今は球状にイメージしたけど、先を尖らせたら、とんでもない威力になりそう…………
闘気は飛ばせそうもないので、カメ◯メ派は無理だったけど、ちょっと似てるかも。
ふふふふふふふふふっ。
闘気と魔法の合体。
これやばいんじゃない?興奮がおさえられない。
ふふふふふっ。
『わははははっ、俺様は無敵だーーーーー』
俺は思わず、叫んでしまった。
『アースボール?俺様は無敵?どした?あさひ、頭おかしくなった?』
ユヅキが聞いていた。
『あっ、い、い、いや。なんでもないんだ、ユヅキ君。訓練の邪魔して悪かったね。ごめんごめん。僕なんかに構わず訓練を続けてくれたまえ。あははっ。ははっ』
調子に乗って独り言を聞かれる恥ずかしさ…………
『あ、さ、ひ君っ、またユヅキちゃんに隠れて【ルーム】でなんか企んでるわね。お姉さんにあとで教えなさいよ。うふふっ』
『はい、午後にやるつもりだったので見せます』
こうして【闘気】を覚えて、午前中の訓練は終了した。
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