創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第二章 旅立ち編

第58話 竜騎士オスカーとの手合せ

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【第一王子ルイス視点】


 部屋の中から父上の大きな笑い声が聞こえる。あの父上がここまで楽しそうに笑っているのは珍しい。やはりステラ様との久々の再会は余程嬉しいのだろう。


「父上、母上、お呼びでしょうか」

「おお、ルイス!待っておったぞ!今日は一緒に飲むぞ!ぐわはははっ、愉快愉快」

「はい。分かりました。父上、楽しそうですね!」

「わかるか?久々にステラと飲む酒は格別だ!」
 父上、よっぽど嬉しいのだろう。

「はぁ……オスカーはさっきからずっとこの調子よ。あなた達も座りなさい」

 母上が溜息をついている。

 席順は父上の隣に母上が座っている。オレは父上の隣に座った。父上の正面にあさひ殿、母上の正面にステラ様。ルーシーはオレの正面、つまりあさひ殿の隣に座った。
 ほう、ルーシーめっ、しっかりあさひ殿の隣を確保しているな。おっ、鋭い母上もルーシーの様子になんとなく気づいたな。

 俺達は改めて乾杯をした。最初に言葉を発したのは母上だった。

「それでルーシー。旅はどうだったの?良い経験になった?」

「はい、お母様!この任務にわたしが参加することを賛成して頂いたこと感謝しています。わたしはこの任務で多くの事を学ぶ事ができました」

「そう!それは良かったわ。旅に危険は付き物だけど、学ぶ事は多いわよね。わたしもオスカーやステラと旅した事を今でもよく思い出すわ。ねえ、あなた!?」

「おう、そうだな!特にステラの飯は美味かった!またいつか食べたいもんだ。ぐわははっ」

「ありがとうございます。私もオスカー様やアメリア様との旅はとても良い経験になりました」

 ステラ様は料理も上手いのか。あっ、そうだ。ぜひ王宮にいる間、手合せをお願いしよう。こんなチャンス滅多にない。

「ステラ様は料理もお上手なんですね。あっ、王宮にいる間ぜひ一度手合せ。ご指導よろしくお願いします。伝説の剣士と呼ばれたステラ様の技術。勉強させてください」

 オレはステラ様に手合せのお願いをすると、ルーシーがかわりに答えてきた。

「そうなのよっ!ステラお姉様の料理は美味し過ぎるわ。わたしもカレンも初めて食べた時は我を忘れて食べてしまったのよ」

「ほう?あのカレンが!?オレもぜひ食べたいものだ」

「それとお兄様、ステラお姉様と手合せなんてしても無駄よ。流石のお兄様も一瞬でボコボコにされるわ。もちろんあさひにも敵わないわよ」

 ほうっ。妹よ。兄は少しカチンときたぞ。ステラ様は別格として、あさひ殿にも俺が敵わないと?

「あさひ殿もそれ程の腕とは。ぜひお手合せお願いします。ルーシーが惚れた男の実力。兄として試さないわけにはいきません」

 あっ。やべ言っちゃった。あさひ殿が驚いた顔をしている。あっ、不味い。母上がニヤッとした。

「ちょっ!お兄様!何言ってるのよ!」

「あーら、いいじゃない。ルーシー。隠さなくてもいいのよ!私も何となく気付いてたわ。ところで、ルーシーとあさひ君は………どこまで進んでるの?まさか?もう最後まで?うふふ。若いって素晴らしいわね」
 母上がここぞとばかりに突っ込んでくる。はっ、不味い。父上の血管が切れそうだ。父上はルーシーを溺愛してるから………こうなったら、止められん、俺は知らん。

「お、お、お母様!や、や、やめてください。最後までなんて。ま、まだわたし達は………ゴニョゴニョ………」

 真っ赤な顔をしたルーシーは乙女の顔になってる。ルーシーもあんな顔するんだな。

「そ、そうです!アメリア様、俺とルーシーはそんな関係では無いです!」

 あさひ殿は慌てて否定している。

 その時、恐ろしいまでの威圧がオレの横から感じられる。ピキピキッって音が聞こえてくるぞ………

「ルーシーだと。呼び捨てか。関係無いだと。俺様の可愛い娘に手を出しておいて関係無いとはどういうことだ。よし、あさひ。お前は一回殺しておこう。そう。それがいい。ルーシーに手を出す奴は一回殺そう。その後、生き返った奴だけ認めることにしよう。よーし、あさひ!表へ出ろ!お前がルーシーに相応しいか俺様が試してやろう!」

 や、やばい。父上のドスの効いた低くて恐ろしい声が………すまん、あさひ殿。
 ルーシーは慌てて止めようとしている。母上はニヤニヤと楽しそうにしている。母上、きっとこの状態を狙ってたな。父上はいつも母上の手の平で転がされている。

 ステラ様はちょっと不機嫌そうにそっぽを向いている。止める気はないようだ。

 あさひ殿は焦っているな。

「オスカー様!ご、誤解です!俺達は本当にそんな関係じゃなくて!ス、ステラさん止めてください」

「あさひ様、私はあさひ様とルーシー様のご関係は知りませんよ。プイッ」

「ほう、そうなのか?ルーシー!本当にあさひとは何も関係ないんだな!?」

「キ、キ、キスだけよ。それもわたしからしたから、あさひは関係無いわっ。わ、わたしがあさひとキ、キ、キスしたかったから、しただけよ。フンっ」

 な、なんだと!ルーシーからだと!可愛い妹からだと!あさひ、すまんがとりあえず一回父上に殺されてくれ!

「貴様ー!許せんっ!!よしっ!あさひ表へ出ろ!俺様が一回殺してやる!訓練場へ行くぞ!」

「訓練場はダメよ。目立つわ。このまま上に上がって屋上にしなさい」

 母上は完全に楽しんでるな………

「わ、わかりました………」

 あさひ殿も観念したようだ。すまん。あさひ殿、俺の余計な一言で。でも妹の唇を奪ったんだ。そのぐらいの罰は必要だな。それとあさひ殿の実力を見る良い機会だ。

 俺達は屋上へ上がった。ここなら誰にも見られない。屋上の入口はエイダンが誰も入らないように監視してくれている。

 父上とあさひ殿は距離を取り向き合っている。

「ぐわはははっ、あさひ!剣を抜いても良いぞ!」

「い、いえ。体術の方がどちらかというと得意なので体術でお願いします」

 そう言ってあさひ殿は剣をステラ様に渡す。馬鹿な、父上と体術だと?敵うはずがない。

 母上はニコニコ、いや、ニヤニヤ見ている。ルーシーはあたふたしながらあさひ殿を心配している。

「あさひ、お父様は本当に強いから、怪我しないでね!危なくなったら、逃げてね。すぐに降参して!」

「わ、わかったよ。そうする。ルーシーの父上、オスカー王は本当の化物だよ………」

「よーし!いい度胸だ。俺様相手に体術とは。なら、俺様も体術で相手してやろう!手加減はしてやる!でもルーシーを弄んだ罪は大きい!一回死んでこい!いくぞ!」

 父上が高速で踏み込みあさひに殴り掛かる。あっ、やばい、あの速さ。槍も使わず手加減してるとはいえ、世界最強の竜騎士と言われた父上の拳。

「喰らえーーー!これが父の拳だっ!」

 ヒュンッ


 えっ?


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