創造眼〜異世界転移で神の目を授かり無双する。勇者は神眼、魔王は魔眼だと?強くなる為に努力は必須のようだ〜

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第三章 地下迷宮挑戦編

第92話 地下迷宮12 忠誠の指輪

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 メイド達が前に出る。

 準備はしっかりしていたようだ。また魔法組が魔法を一斉に放つ!

 

 ビッグアントの群れに炸裂し、数十匹倒す。

 その後、槍を持つダリア、大ハンマーを持つマイテ、両手短剣持ちのココとミミが前に出る。

 おっ、犬耳のココと猫耳のネネが速い!なかなかのスピードだ。

 4人は次々とビッグアントを倒していく。

 凄いな。これが初戦か?

 魔法組も仲間に当たらないようにしながら援護している。

『いいよー!みんなー♪』
 ユヅキが皆を褒める。

『ココ、ミミ、少し下がって!前に出すぎ!』

((了解!))

 ミア、アイナもしっかり指揮をしている。

 これは凄いんじゃないか?

 ステラもうんうん頷いて見ている。

 俺はびっくりしている。

 あれよあれよという間に戦闘は終わった。

 俺とユヅキとステラは全く何もしていない。


「はあ、はあ、はあ、はあ」
 メイド達の息が上がっている。初戦で極度の緊張の中の戦いだ。疲労は半端ないだろう。

パチパチパチパチッ

 俺は拍手をした。

「みんな凄かったぞ!おめでとう!訓練頑張ったんだな!」

 俺はメイド達を労った。恐らく毎日本当に頑張ったんだろう。ステータスがアップしただけではこんな風には戦えない。

 毎日必死に訓練し、仲間内で何度もミーティングしたんだろう。うん。素晴らしい。俺は誇らしかった。

「「「ご、ご主人様!ありがとうございます!」」」

 メイド達が俺を見る。涙している者もいた。

(みんな!すっごい良かった!100点!)

(皆さん良かったです。訓練の成果がしっかり出てました)

 ユヅキとステラが微笑んで、メイド達を労う。


 メイド達は泣きながら、抱き合い、喜んでいた。

「「ご主人様、ユヅキ様、ステラ様ありがとうございます。これからもご指導よろしくお願い致します」」

 メイド達が一列に並び一斉に頭を下げた。

 それを俺達は微笑ましく眺めた。

 おっ、みんなかなりレベルが上がってる!【経験値倍化】の影響もあるだろう。このレベリングはやはりかなり使えそうだ。

 あっ、宝箱だ!

「宝箱出たぞ!ミア、代表で開けな!ユヅキ我慢しろよ」

「うっ、あさひ。そうだね。今回は譲る…………」

 ユヅキ、開けるつもりだったのか…………

「はい!」
 ミアが返事をする。

 エルフのミア。メイド長。ユヅキやステラに引けを取らない程のとんでもない美女。年齢以上に若く見える。緑色のサラサラな髪、なぜこんな子が奴隷に?この子には精霊魔法の事も聞きたいと思っていた。

 今度お近づきになろう。やましい気持ちはない。精霊魔法の事を聞きたいだけだ。

 美女だからお近づきになりたいんだろ?いや、違う。精霊魔法のことが聞きたいんだ。

(ダーリン、ミアのこと見過ぎよ)

 はっ、またバレてる。俺の美人秘書ユヅキさんは優秀過ぎる。俺の気持ちを全て分かって先回りしてくる。

(誰が秘書よ?)

 嘘だろ?ユヅキ絶対俺の頭の中見えてるとしか思えない。

(なんとなくわかるのよ。テヘヘ)

 そ、そうなのか…………俺のやっと獲得できたと思ったプライバシーが………… 
  
 まあ、ユヅキならいいか…………

 おっと、ミアが緊張した表情で宝箱を開ける。


(……指輪です。ご主人様)

 ミアが俺に指輪を差し出す。

 俺は一旦受け取り【鑑定】をする。これは回復の指輪!

 回復の指輪
 装備した者の体力が継続的に小回復

 おお、凄い!またレアアイテムだ!

 さて、どうしよう。俺としてはこれはメイド達にあげたい。やっぱりご褒美というか、報酬は大事だ。頑張ったら報酬を貰うべきだ。彼女達は命を掛けて戦っていた。

 俺はユヅキ、ステラ、ルーシー、ルイスに回復の指輪をメイド達にあげたい事を念話で伝える。

 ユヅキ、ステラは即答で賛成した。ルーシーとルイスは驚いていたが、ユヅキ、ステラの賛成に従った。

 やはり貴重な物を奴隷であるメイドにあげるという事に驚いたんだろう。

「これはみんなにあげる。売ってみんなのお小遣いにしても良いし、必要な人がその時々に使って欲しい。ミア、みんなで相談して使ってくれ」

 俺は指輪をミアに渡す。

 メイド達が驚いた顔をしている。

「い、いただけません。このような貴重で高価な物。ご主人様がお使いください」

「いいんだ!頑張ったら良い事がある!俺はそういうのが好きなんだ。この指輪はみんなが頑張ったご褒美だ」

「し、しかし…………」

 ミアがメイド達の顔を見渡す。全員が貰えないとばかりにブルブル首を横に振る。

「ほらっ!ミア、貰って!あさひの言う事に私達も賛成よ」

 ステラ、ルイス、ルーシーも頷いている。

「じゃないと~!ユヅキちゃんがこの指輪捨てちゃうわよ~!!!!」

 ユヅキがニヤッとして、ミアの指輪を取ろうとする振りをする。

「ユ、ユヅキ様!い、いただきます!この指輪、私達がいただきます」

 ミアが慌てて指輪を隠す。そしてメイド達の方を見る。何やら念話でメイド達が相談しているようだ。


 ミアを中心にメイド達が一列に整列し、俺達の前に跪く。

「この指輪は私達の象徴とさせていただきます。私達全員はこの指輪に誓って、ご主人様に生涯ついていくことをここに誓います!」

 俺に向かってメイド達全員が肩膝を付き、一斉に頭を下げた。

「ありがとう。みんな」

 俺は言葉少なくお礼だけを言った。心に響いた。

 複雑な気持ちだった。日本人としての感覚が染み付いている俺には奴隷という制度にかなり抵抗ができてしまった。アレクの時ならなんとも思わなかったかもしれない。

 この世界には奴隷制度が必要である事も分かっている。

 しかし今の俺は正直、忠誠と言われてもピンと来ないのだ。人は自由に楽しく生きるのが一番だ。そりゃ生きてれば辛い事も悲しい事もある。俺はアレクの時もあさひの時もけっこう自由に楽しく生きてきた。辛いことはもちろんあった。でも、たくさんの人に頼り頼られ、守られ、守って生きてきた。

 みんなの首輪を取ってあげたいな…………奴隷を象徴するこの首輪が最初から気になっていた。ぼんやり俺はそんな事を思っていた。

 奴隷契約を解除する事はここまで準備してくれたカレンやアメリアに失礼な事になってしまうのだろうか?

「よし、一旦拠点に戻ろう!」

 俺はどこかモヤモヤした気持ちを持ちながら、皆を連れて拠点に戻った。


 後日聞いた事だが、回復の指輪は毎日交代でメイド達が付けていたそうだ。順番を決めるジャンケンは白熱したそうだ。最初に指輪をした子はニヤニヤ、ニマニマ指輪を眺めている時間が多かったそうだ。

 メイド達10人の中ではこの指輪を【忠誠の指輪】と名付け、生涯大切に扱われたそうだ。

喜んで貰えて良かった…………
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