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彼女の謎
しおりを挟む…とりあえず家に帰って、カメの言葉をゆっくり考えよう。
立ち上がって私はそこで気付いた。
「…私の家どこだっけ…?」
自分で言って自分の言葉に恐怖する。
あれっ、カメが来てから…いや来る前までも今まで私この河原から家に帰ってたっけ?
…記憶にない。
気付いたらこの河原にいて、カメと水平思考のゲームをしていた。
カメが1日1回来てから次の日また来るまでの記憶がない!
「…わ、私の名前はっ…」
愕然とした。
分からない、自分の名前さえも分からないのだ。
カメの先程の言葉が幻聴で聞こえた。
『貴女様の謎は貴女様ご自身が解かなくてはなりません。』
「…私の謎って私の記憶の事なの?」
私の疑問に答えてくれる存在は、ここにはいない。
『ワタクシから出せるヒントは全部出したという事です。
答えはその『ノート』の中にございます。』
先程のカメの言葉を思い出して、私は胸に抱きしめたままの大学ノートを最初から見返した。
話の中に何か共通点はないか?
私の記憶に関するヒントはないのか?
…何度も何度も『ウミガメのスープ』から先程の『腕を送る男』まで目を通したが、何の手掛かりもなかった。
登場人物も男性だったり女性だったり、赤ちゃんだった事もあったなぁ。
見事にバラバラ。
赤ちゃんの名前が問題のタイトルだったよね。
確か名前は『樹』。
最後の問題は太郎に和夫に学だったのに、この問題は『樹』だ。
私の名前は『樹』なの?
………違う気がする。
それなら10問も問題はいらないはずだ。
でも、何でこの名前にしたんだろう?
簡単に『太郎』でも問題に影響はなかったはずなのに?
ーー私は今まで中身だけを見ていて、問題のタイトルまではきちんと見ていなかった事に気付いた。
そこで幾つかのタイトルに不自然さを感じる。
具体的には
4 樹の退院
5 選ぶはどちら?
9 牢にいた喜ぶ囚人
の、3つ。
4は赤ちゃんの名前で、5と9はタイトルの語順だった。
5は『どちらを選ぶ?』の方がしっくり来るし、9は『喜ぶ囚人』だけの方がシンプルだ。
ーーその瞬間、私の頭の中にインターネットの某大手掲示板が過ぎる!
時々、相手を馬鹿にする言葉
『コレ、どこを縦読みすんの?』
ー縦読みだ!!
縦読みしてほしかったから、このタイトルでなければ駄目だったんだ!
私は最初の『ウミガメのスープ』から、タイトルだけを順に読む。
1 ウミガメのスープ
2 札束を焼く強盗
3 銀行に来た男
4 樹の退院
5 選ぶはどちら?
6 庭に埋めた銃
7 森の中の死体
8 ドライブ中の死
9 牢にいた喜ぶ囚人
10 腕を送る男
各タイトルの最初の文字だけを拾ってみた。
「う・さ・ぎ・い・え・に・も・ど・ろ・う…」
ウサギ、家に戻ろう…
「あぁぁぁっっっ!!!」
私は稲妻に打たれたように全てを思い出した!
自分の名前も、家はどこなのか、どうしてずっと河原にいたのかも。
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