誕生石物語・Ⅱ

水田 みる

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アメジストの章

少女・ラベンダー

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 10年前、ラベンダーであった彼女は知らなかった。

それは恐らく自分が平民だからで、貴族なら誰でも知っていた常識だったそうな。





☆☆☆☆☆

 ラベンダーは帝都ジューラからすぐ北西のチュブ領、『ササダン街』の出身である。

彼女の生家は花屋を生業としていて、ラベンダーも幼い頃から両親を手伝っていた。

裕福度はごくごく平凡で贅沢はなかなかできないが、食うに困るといった貧しさを経験した事はなかった。

そして両親の花屋の隣には食堂があった。

そこでは一人息子のペリデというラベンダーより一つ年上の少年が、両親の食堂を手伝っていた。

年も近く幼馴染で成長してからはお互いに好意を持ち、二人は将来の結婚の約束をした。


「オイラが大人になったらもっと頑張って、父ちゃんと母ちゃんの食堂をもっともっと繁盛させてみせる!

ーだからラベンダーはその時はオイラの嫁になって、一緒に食堂で働いてくれないか?」


ペリデからのプロポーズにラベンダーはニッコリ笑って答える。


「うん!私も一緒に頑張る!!」


ペリデが14才、ラベンダーが13才の時に交わした約束。

この約束の一週間後、あんな事が起きるとは誰も予測していなかった。



 一週間後の朝、異変は突然起こった。

ラベンダーはいつも通りに起きて、身支度をする為に顔を洗いに洗面所に向かう。

洗面台の鏡に映る己の姿を見て悲鳴を上げた。


「キャアアアーーー!!!」


ラベンダーの両親は娘の唯ならぬ悲鳴に慌てて洗面台に駆け込んだ。


「ラベンダー、何があった!?」
「ラベンダー…っキャアアー!!」


母親まで悲鳴を上げたので洗面所は大パニック状態である。


「何で、何で、何で!?

私の髪が紫色になってる!眼だっていつもより濃い気がする…」


ラベンダーはパニックになりながら母親に泣き縋った。


「とっ、とりあえず二人とも落ち着け!

我が家が殺人現場になったみたいに、ご近所さんに誤解されるぞ!」


父親が二人をそう宥めた時だった。


ードン ドン ドン ドン ドン

誰かが玄関のドアをノックする音が響いた。


「…ほら、言わんこっちゃない。

とりあえず事情を説明して謝ってくる。」


父親は近所の誰かと思い頭をポリポリと掻きながら玄関に向かう。


「朝から大きな声出して、すんませんねぇ!」


苦笑いでドアを開けて父親は固まった。

そこに立っていたのは近所の誰でもなかった。


ーいや全く知らない他人、しかも皇宮から来た騎士団一行であった。

騎士団の先頭の隊長らしき男が口を開く。


アメジストの『祝福』を受けられたラベンダー様のお家は、こちらでしょうか?」












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