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アメジストの章
アメジストの見解①
しおりを挟む隊長がアメジストの部屋へ戻ってきた時、彼女は隊長差し入れのチョコレートを頬張っていた。
「お帰りなさい隊長、お疲れ様でしたぁ。
隊長もいかがですかぁ?」
「頂きます。」
隊長はアメジストが差し出したチョコが詰められている箱から一つ摘む。
アメジストは隊長から先程の取り調べの紙を受け取り、チョコを食べながらじっくりと読み始めた。
最後まで目を通した後、彼女は隊長に尋ねる。
「隊長、今日の三人の取り調べで嘘を吐いてそうな人はいましたか?
貴方の直感で構いません。」
隊長は口の中のチョコを飲み込んでから答えた。
「いいえ、私の直感では三名とも事実を述べていた様に思います。」
「そうですね、取り調べの内容に矛盾はないですし私もそう思います。
ーだからこそ気味が悪い。」
「気味が悪い?」
アメジストは書類に視線を落としたまま返答する。
「…なんというか上手く言えないんですけど、この3つの内容すべてに見えざる手が介入してる様な気がするんです。」
「どういう意味でしょうか?」
アメジストが言っている事が理解できない隊長は素直に聞きなおした。
彼女も自身が感じる薄気味悪さをどう伝えるか考える。
「ーまずパール様はいつどこで魔物達の大暴走を知ったんでしょうか?
冒険者ギルドに登録してるなら兎も角、彼女は登録してません。」
「想像でしかありませんがギルドの近くで偶々聞こえたとかでは?」
「国外逃亡という大罪を犯すのに、そんな偶然を待ってたんですか?
スタンピードはいつどこで起きるかなんて誰にも分かりません。
ーまるでスタンピードが起きる事をあらかじめ分かってたような気すらします。」
隊長は副ギルドマスターの話を聞いていた時は疑問に思わなかった事柄に冷や汗が流れた。
そしてアメジストは「二つ目は」と続ける。
「養子縁組書の日付と提出先です。」
「何か不自然な点がございますか?」
「ありまくりですよ。
日付はスタンピードの少し前ですよね?
それならその時点でネーハダ街はまだ大混乱の状態ではありません。
少なくとも誰が提出したのか分かる筈です。」
「ならば何者かがスタンピードの時に提出したのでは?」
アメジストは一呼吸の間を置いた。
「わざわざスタンピードで大混乱の時に?
よりにもよって最前線のネーハダ街で?
皇弟殿下の管轄はジューラなのに?」
アメジストが突きつける不自然さに隊長は喉の奥が「ヒュッ」と鳴る。
アメジストも冷や汗が流れた。
「最後にパール様の逃亡と殿下の養子縁組が発覚したタイミングです。
スタンピードが終息して落ち着いたタイミングで同時に発覚。
『スタンピード』という出来事ありきで全てが組み合わされてて、偶然にしては出来すぎだと思いませんか?」
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