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ダイヤモンドの章
日記帳②
しおりを挟む私を遠ざけてまでしていた話し合いの内容を聞きだそうとする。
夫もそのつもりで、この日記帳を私にみせたのだろう。
夫は小心者だ。
だからこそ義弟の秘密を自分一人で受け止められない。
夫は渋りながらも語り始めた。
☆☆☆☆☆
人払いの済んだ皇帝の私室にグラネイトと二人きりになる。
「手紙にあった『アレキサンダーについての重要な品が手に入った』とは誠か?」
「はい、論より証拠でございます。
先ずはこちらをご覧ください。」
そう伝えてグラネイトは何の変哲もない日記帳を両手で皇帝に差し出した。
皇帝も受け取り中を検める。
ー皇帝にとってそれは可愛がっていた弟の重大な裏切りだった。
彼の顔から血の気が引いていく。
「…グ、グラネイト、お主はこの中身を見たのか?」
「はい、申し訳ございません。
ですが入手した経緯が経緯でございましたので…」
「…その経緯を申してみよ!」
グラネイトは一つ間を置いて話し始めた。
「ーつい、先日の事です。
私の隠居先の『ササーガ村』に一人の青年がフラリと現れたのです。
フードを目深に被っておりましたので年頃は分かりませんでしたが声は若かったですな。
その青年が渡してきた物がその日記帳だったのです。」
グラネイトはそう言って皇帝が握りしめている日記帳に視線をやる。
「私に心当たりは全くなかったので、その場で確認したのです。
そして驚く私に青年が言ったのです。
『これは複製品で原本は俺が持っている』と。
最初は陛下に対する脅迫かとも思いましたが、どうも違うようで…」
「…自身が原本を持って複製品を作っておきながら違うと申すか!?」
皇帝は目を血走らせながらグラネイトを睨みつけた。
しかしグラネイトは怯える事なく話を続ける。
「はい。原本はお守りだそうです。
どういう経緯で入手したのかは最後まで口を割りませんでしたが、青年の身に『もしも』が起きた場合に原本が新聞社に行く手筈になっている、と。
青年は内容が内容なので陛下のお耳には入れておいた方が良い、と思ったそうです。
そして陛下との橋渡し役に何故か私が選ばれたと、そういった次第でございます。」
皇帝は口惜しげに歯軋りをした。
その様子を見てグラネイトは宥めるように伝える。
「複製品はそちらだけですので、どうか御安心を。
話は終わりましたので私はこれにて御前を失礼致します。」
そしてグラネイトは皇帝に一礼をして皇宮を去っていった。
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