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サファイアの章
ターコイズの祝福者
しおりを挟むサファイアの「外で遊んでみたい」発言から3日後の『神託の間』。
彼女と女神ジュエルの目の前に不機嫌な顔をした少女が立っていた。
まだ年若い筈なのに威圧感もある。
そして、少女の髪と眼の色はターコイズブルーなので、一目でターコイズの祝福者と分かった。
「…どーもぉ、初めまして。ターコイズの祝福者のイズンっす。
で、キュッシュ領で避寒してたのになんの用っすかね?」
季節は真冬で、ここ帝都も雪が積もっている。
しかし、南方のキュッシュ領は冬でもそこそこ暖かいと知識でサファイアは知っていた。
そしてサファイアは、いきなり寒い所に呼び出されて不機嫌なのか、と予測する。
「…は、初めまして、イズン様。
わたくしはサファイアの祝福者のサファイアと申します。
突然、寒いこちらにお呼び立てして申し訳ございません!」
サファイアはイズンに深々と頭を下げた。
そして、それを見たイズンは軽く目を見開く。
「…えーと、サファイア様?
オレは貴女には怒ってないっすよ?
オレが怒ってんのは理由もなしにいきなり呼び出した女神様と、呼び出したクセに夫をここにはいれない神官達に怒ってるっす。」
イズンは実体化している女神に一睨みした。
「アンタも神なら神官の躾ぐらい、ちゃんとしとけよな。」
サファイアも女神に対してかなりフランクな態度であるが、イズンはそれを越して不遜ともいえる。
サファイアは若干青ざめながら二人を交互に見た。
ーだが、イズンに対して女神は苦笑いする。
「確かにそうじゃな!その点は悪かったのう!」
女神があっさり謝ったので、ひとまずイズンも怒りを引っ込めた。
ハァと軽く溜め息を吐いている。
「ーで、もっかい聞くけど用件は?」
「単刀直入に依頼じゃ。サファイアの護衛を頼みたい。」
「護衛?それなら直属の騎士団がいるだろ?」
女神はチラリと優しい眼差しでサファイアを見つめた。
「サファイアはな十になるんじゃが立場のせいで外の世界を知らんのだ。
世間一般ではまだまだ子供なのに遊んだ事もないこの娘が不憫でな。
じゃから妾の『神託』という体で、サファイアをジューラの街で遊ばせてやってくれんかの?」
イズンは女神の依頼をしばし考えて無言になる。
「ーつまりサファイア様を私的に外出させたいから騎士団を護衛にできないって事か…
女神様、オレとディズは冒険者だぞ?
タダ働きはできねーな。」
イズンは共に呼び出された夫の名も出した。
彼女達にはS級冒険者としての矜持がある。
依頼ならば女神であれ誰であれ無料で引き受ける事はしない。
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