神様自学

天ノ谷 霙

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指先 花火

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「いっ…た…っ!?」
指先から赤い液体がぷつぷつと流れ出す。どうやら、今しがた開いた本の間のページにカッターの刃が挟まっていたらしい。カッターの刃先に私の指と同じ赤い液体が付いていた。
またか。
私はもうそんなことしか思わなかった。扇様の部屋にシクラメンの花を生けてから、ずっと似たような現象が起こっていた。今日で7日目。そろそろシクラメンの花を生け替えようかと考えていたため、油断した。
似たようなことは、経験がある。私のロッカーが荒らされていたり、更衣室にあるはずの私のバッグが水浸しになっていたり、同じように本の間にカッターの刃が挟まれていたり、だ。これらを経験したのは、今よりも精神的に幼かった時だった。私もムキになって他の人に冷たくしていた。片倉くんに髪を直して貰ったのもその時だった。認めたくはないけれど、あれから私も心を入れ替えて少しずつ他の使用人たちとも話すようになった。だから今は大丈夫だと思っていたのだけど、どうやらそうでもないらしい。1週間、この状況が続いていた。
そろそろ何とかしないとな、と思いながら、誰に相談するか考えるのも面倒だという思いがある。結局根本では変われていない。人に頼るのは面倒だと思ってしまう。
「…ん…花火さん」
「あっ」
急に名前を呼ばれて、我に返る。慌てて右手を服の後ろに隠し、呼ばれた方を向く。そこにいたのはキースだった。
「な、何です…?」
「ぼーっとしていらしたので…どうかされたのかと…」
「あ、ごめんなさい。何でもないですわ」
「そうですか?あ、えっと、お嬢様の新しいお召し物が到着したそうです。それを報告しに来ました」
「分かりました。私もすぐ行きますので、先に行っていて下さい」
「分かりました」
キースがお辞儀をして部屋から出て行く。ぱたん、と扉が閉まったのを見届けてからため息をつく。右手の指先から未だ流れ続ける血をハンカチで拭い、水道の方へ向かう。放っといたせいで、少し手の平まで垂れてきていた。このまま自然治癒が私としては望ましいが、血が固まりそうにないので仕方なく絆創膏を貼る。絆創膏を貼ると、お嬢様…扇様に心配されてしまうのが心苦しい。
その日は何も言われずに仕事を終え、帰宅した。扇様が気付いていなかったのかは分からないが、私は少しホッとした。帰宅途中、絆創膏を貼った指を見つめながら、どうしようかと考える。
明日は学校行くし、その間に考えよう。
私はそのままぼーっと電車に揺られて帰った。
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