神様自学

天ノ谷 霙

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11月2日 保健医ストップ

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「…というわけで、夕音が気付いてくれたから夕音に相談したというわけよ」
「あれ、いつの間にか相談相手に選ばれてる?」
私の言葉に少しだけ笑う花火。その顔には乾いた涙の跡があった。
「うん…キースが頑張ってるのは分かるんだけど…なんか私が教えた意味というか…メイド長は成長したって言ってくれたけど、正直庭仕事に一生懸命で、他の仕事はまだ失敗多いし…」
はぁ、とため息をついて悲しげに眉を下げる花火。
「片倉くんとキースが一緒にいるの見ると変な感じするし、疲れが取れないし、前と同じようなことが起こるし…もう…きつい…」
花火の弱音。いつも毅然とした態度で学校生活と仕事を両立している花火は、心のどこかで疲れや苦しみも抑えてしまっていたのかもしれない。それを私達は何も思わずに「花火だから大丈夫」と安心していたところがあるかもしれない。私達と何の変わりもない女の子なのに、勝手に大丈夫だと決めつけていたかもしれない。私は、それを反省しなくてはならない。
「…花火」
花火の指先や手に貼られた絆創膏は、そんな嫌がらせがいくつも重なって出来た傷なのだろう。隈も出来ていて、疲れが顔に出ている。
「花火、しばらく仕事お休み出来ない…?精神も身体も、限界に近いでしょう」
「それは…難しいわ…」
花火の表情が曇る。苦しそうに息をする。私は花火の背中をさすって、落ち着くまで待った。
「…ありがとう。…私だって休みたいわ。けど、キースの指導もあるし、お嬢様に心配かけるのは嫌なの。あの人、口では無茶言ったり命令口調だったりするんだけど、顔に心配って書いてあるの。ツンデレみたいな感じなのかしら?分からないけど、心配して下さるお嬢様に、これ以上迷惑かけたくないわ」
そう言って笑う花火。無理してるのがよく分かった。
「学校も、仕事とはいえ出席日数足りないだろうし。出れる日は出なきゃ…」
「それは駄目よー」
カーテンがシャッと開いて、保健の先生が入ってきた。私と花火はびっくりして、目を丸くしていた。
「稲峰さん、手出してもらえる?」
「は、はい…」
花火の手を先生が取る。不安そうな花火に、保健の先生は苦笑いをする。
「やっぱり。手の震えがあるわ。最近食事は取ってる?」
「…忙してくて…抜いたり、栄養食だけの日もありました…」
「夜、すぐ寝付ける?」
「…あまり眠れないです。寝るのを諦めて、ぼーっとネットニュースを見たりしてます」
「ストレス過多の症状が出てるね。これは保健医としてストップだ」
「えっ…あの…?」
「お仕事と学校、強制的に休み。拒否権はないわよ~」
そう言って先生は、花火が言い訳する暇も与えずにどこかへ行ってしまった。
「えっ…えぇ…どうしよう…」
「とりあえず、先生が戻ってくるまでお話してようか」
戸惑っている花火の背中をさすって、私はそう言った。
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