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11月24日 鼓動の早さ
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鼻歌交じりに楽しそうに歩く羅樹。その隣で、やりきったせいか恥ずかしいのか顔を真っ赤にしている私。
「でも、珍しいね。夕音が何でもないのに『ありがとう』って言うなんて」
「…全然、言えなかったし。言う勇気を貰ったから」
「そうなの?嬉しいなぁ。夕音の本音が聞けて。僕も感謝してるよ!ありがとう!」
「…それはいつも聞いてるから…いい…」
「え?そうだっけ?」
紙袋を大事そうに抱えて、羅樹は笑う。私の心臓がずっと鳴りっぱなしで、羅樹の顔を見ることが出来ない。
このまま、好き、と言えたらなぁ。
出来もしないことを想像して、恥ずかしくなってかき消す。
「早く家に帰って、中身見たいなぁ。楽しみ」
「そんな楽しみにされても…普通のものだし」
「でも夕音から貰ったものだよ。何でも嬉しいし楽しみだよ!」
羅樹の言葉に、また胸がドキドキする。こういう言葉をさらっと言うのがずるい。私ばっかりドキドキして、私ばっかり不安で、私ばっかり好きに振り回されている。
「…ほら、早く帰ろう。中身見たいんでしょ」
「うん。寒いし、ちょっと早く歩こうか」
やりきった後の羅樹の言葉の追い討ちで、私はもう持たない。一刻も早く1人になりたい。氷水に顔を付けたいぐらいに頬が熱い。実際にやったら寒さで凍えてしまうんだろうけど。
駅に着いて、電車に乗って、最寄駅に着く。
まだ早い時間だからか、空いた電車の中で隣に座る。触れ合いそうな右肩が熱かった。羅樹はずっとご機嫌で、歌い出しそうなのを何度か注意した。羅樹の家に着いて、にこにこしたまま羅樹は家の扉を開ける。
「ありがとう夕音。また明日ね」
「うん、また明日」
私はそこから30秒もしないで自分の家に着く。羅樹はもう家の中に入ってしまっている。私は誰もいないのを確認して、ため息を1つついて家の中に入った。
「おかえりー」
専業主婦のお母さんの声が聞こえて、私はただいま、と返事をする。その後すぐに自分の部屋にこもって、今日のことを思い出す。
考えれば考えるほど、自分のしたことが照れくさい。それでも、お礼が言えて良かったと思う。お礼がちゃんと言えたことは、自分を褒めて良いと思う。
今頃羅樹は包みを開けて中身を見ているのだろうか。羅樹の好きなオレンジのパウンドケーキを入れてみた。
喜んでくれると良いなぁ。
私は羅樹との他の会話を思い出し、嬉しかったことを何度も頭の中で繰り返す。胸がまたドキドキしてきて、恋の感覚が全身を駆け巡る。
やがて、ドキドキし疲れた私は眠りについていた。
「でも、珍しいね。夕音が何でもないのに『ありがとう』って言うなんて」
「…全然、言えなかったし。言う勇気を貰ったから」
「そうなの?嬉しいなぁ。夕音の本音が聞けて。僕も感謝してるよ!ありがとう!」
「…それはいつも聞いてるから…いい…」
「え?そうだっけ?」
紙袋を大事そうに抱えて、羅樹は笑う。私の心臓がずっと鳴りっぱなしで、羅樹の顔を見ることが出来ない。
このまま、好き、と言えたらなぁ。
出来もしないことを想像して、恥ずかしくなってかき消す。
「早く家に帰って、中身見たいなぁ。楽しみ」
「そんな楽しみにされても…普通のものだし」
「でも夕音から貰ったものだよ。何でも嬉しいし楽しみだよ!」
羅樹の言葉に、また胸がドキドキする。こういう言葉をさらっと言うのがずるい。私ばっかりドキドキして、私ばっかり不安で、私ばっかり好きに振り回されている。
「…ほら、早く帰ろう。中身見たいんでしょ」
「うん。寒いし、ちょっと早く歩こうか」
やりきった後の羅樹の言葉の追い討ちで、私はもう持たない。一刻も早く1人になりたい。氷水に顔を付けたいぐらいに頬が熱い。実際にやったら寒さで凍えてしまうんだろうけど。
駅に着いて、電車に乗って、最寄駅に着く。
まだ早い時間だからか、空いた電車の中で隣に座る。触れ合いそうな右肩が熱かった。羅樹はずっとご機嫌で、歌い出しそうなのを何度か注意した。羅樹の家に着いて、にこにこしたまま羅樹は家の扉を開ける。
「ありがとう夕音。また明日ね」
「うん、また明日」
私はそこから30秒もしないで自分の家に着く。羅樹はもう家の中に入ってしまっている。私は誰もいないのを確認して、ため息を1つついて家の中に入った。
「おかえりー」
専業主婦のお母さんの声が聞こえて、私はただいま、と返事をする。その後すぐに自分の部屋にこもって、今日のことを思い出す。
考えれば考えるほど、自分のしたことが照れくさい。それでも、お礼が言えて良かったと思う。お礼がちゃんと言えたことは、自分を褒めて良いと思う。
今頃羅樹は包みを開けて中身を見ているのだろうか。羅樹の好きなオレンジのパウンドケーキを入れてみた。
喜んでくれると良いなぁ。
私は羅樹との他の会話を思い出し、嬉しかったことを何度も頭の中で繰り返す。胸がまたドキドキしてきて、恋の感覚が全身を駆け巡る。
やがて、ドキドキし疲れた私は眠りについていた。
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