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再会memorial 淑乃
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高校へ入学して、自己紹介。さりげなく眼帯さんを探してみる。
「初めまして、高松淑乃です。宜しくお願いします」
眼帯さんはいなかった。やはり、会えないのだろうか。
「宜しくね、高松さん!」
休み時間、話しかけてくれたのは学級委員に推薦された空原さんだった。
「は、はい…。あの!」
私は思い切ってみた。
「は、半年前くらいに眼帯をした、男の子…知りませんか?」
必死な様子に、空原さんはきょとんとしてしまった。
「え?何の話??」
「あ…ご、ごめんなさい!変な事を聞いてしまって…」
恥ずかしい。会えるかなんてわからないのに。そんな、夢みたいな事、ある筈無いのに…。
「えーと、どうしてその子に会いたいのか聞かせてほしいな!そしたら思い出すかもしれないし」
「あ、えっと…」
優しく微笑む空原さん。私は安心して話す。何故か、会えるような気がして。
「助けて貰ったんです。ストーカーみたいなことされてて、一度、人気のないところに連れ込まれそうになって…その時、助けてくれたんです。左目に眼帯をした、眼帯というよりは包帯かな?紺碧の髪がとても印象に残る、綺麗な男の子だったんです」
「うーん…包帯っぽい眼帯…。中学の秋頃、いたけどなぁ…でも女だし…」
空原さんが呟いた。私はそれに食いついた。
「そ、それって…」
「えっとね、心当たりはあるんだけど…」
「おーい!由芽ー!!」
「あ、霙!」
空原さんを呼んだのは、ほとんどの人が知らない人を相手に緊張している中、廊下で大声を出せる女の子。
「やっほー。あれ、その子は?」
「あ、は、初めまして!!高松淑乃です!」
背が高めの、女の子だった。青い髪を二つで結んでいる。
どこか、見覚えのあるような…。
「初めまして。霜月霙です。宜しくね!」
にこやかに笑う霜月さん。手を差し出されて思わず両手で掴む。
「あれ?高松さん、もしかして…」
「え?」
「去年、ストーカー被害にあった?」
「えっ、あっ、は、はいっ。あいました…けど…?」
混乱して頭が追いつかない。あんなに遠くにいた霜月さんが聞こえるはずがないし、なんでだろう…?
「覚えてないかな?私、去年会ったと思うんだけど…」
自分を指差す霜月さん。ストーカー被害にあった私を知っている。それに、声を聞いたことのあるような…。
「も、しかして……眼帯さん!?」
「あー、してたね眼帯。あと男装」
詳しく話していると、やっぱり眼帯さんだった。格好良く、強い、男の子みたいな女の子だったようだ。
「また会えたね」
笑顔で私を迎えてくれる眼帯さん。
「あの時はありがとう。眼帯さん。」
「「眼帯さん?」」
再会出来ただけで嬉しすぎて、自然に言葉が出ていた。空原さんと霜月さんは首を傾げていたけれど、嬉しすぎて、フォローができなかった。
私は、眼帯さんへの恋心を自覚した気もするが、同時に仲良くしたいとも思った。
記憶の中の眼帯さんに恋をして、霜月さんとは仲良くしたい。
そんなことを思った、桜の舞い散る春の出来事だった。
「初めまして、高松淑乃です。宜しくお願いします」
眼帯さんはいなかった。やはり、会えないのだろうか。
「宜しくね、高松さん!」
休み時間、話しかけてくれたのは学級委員に推薦された空原さんだった。
「は、はい…。あの!」
私は思い切ってみた。
「は、半年前くらいに眼帯をした、男の子…知りませんか?」
必死な様子に、空原さんはきょとんとしてしまった。
「え?何の話??」
「あ…ご、ごめんなさい!変な事を聞いてしまって…」
恥ずかしい。会えるかなんてわからないのに。そんな、夢みたいな事、ある筈無いのに…。
「えーと、どうしてその子に会いたいのか聞かせてほしいな!そしたら思い出すかもしれないし」
「あ、えっと…」
優しく微笑む空原さん。私は安心して話す。何故か、会えるような気がして。
「助けて貰ったんです。ストーカーみたいなことされてて、一度、人気のないところに連れ込まれそうになって…その時、助けてくれたんです。左目に眼帯をした、眼帯というよりは包帯かな?紺碧の髪がとても印象に残る、綺麗な男の子だったんです」
「うーん…包帯っぽい眼帯…。中学の秋頃、いたけどなぁ…でも女だし…」
空原さんが呟いた。私はそれに食いついた。
「そ、それって…」
「えっとね、心当たりはあるんだけど…」
「おーい!由芽ー!!」
「あ、霙!」
空原さんを呼んだのは、ほとんどの人が知らない人を相手に緊張している中、廊下で大声を出せる女の子。
「やっほー。あれ、その子は?」
「あ、は、初めまして!!高松淑乃です!」
背が高めの、女の子だった。青い髪を二つで結んでいる。
どこか、見覚えのあるような…。
「初めまして。霜月霙です。宜しくね!」
にこやかに笑う霜月さん。手を差し出されて思わず両手で掴む。
「あれ?高松さん、もしかして…」
「え?」
「去年、ストーカー被害にあった?」
「えっ、あっ、は、はいっ。あいました…けど…?」
混乱して頭が追いつかない。あんなに遠くにいた霜月さんが聞こえるはずがないし、なんでだろう…?
「覚えてないかな?私、去年会ったと思うんだけど…」
自分を指差す霜月さん。ストーカー被害にあった私を知っている。それに、声を聞いたことのあるような…。
「も、しかして……眼帯さん!?」
「あー、してたね眼帯。あと男装」
詳しく話していると、やっぱり眼帯さんだった。格好良く、強い、男の子みたいな女の子だったようだ。
「また会えたね」
笑顔で私を迎えてくれる眼帯さん。
「あの時はありがとう。眼帯さん。」
「「眼帯さん?」」
再会出来ただけで嬉しすぎて、自然に言葉が出ていた。空原さんと霜月さんは首を傾げていたけれど、嬉しすぎて、フォローができなかった。
私は、眼帯さんへの恋心を自覚した気もするが、同時に仲良くしたいとも思った。
記憶の中の眼帯さんに恋をして、霜月さんとは仲良くしたい。
そんなことを思った、桜の舞い散る春の出来事だった。
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