神様自学

12月25日 アトラクション

次はバイキングだ。船型のブランコに乗り、振り子のように揺られるアトラクションである。振られれば振られるほど高いところまで上がっていく感覚は、何とも言えない楽しさを覚える。私の長い髪が風に煽られて青い空を彩るのが、とても綺麗で嬉しかった。
降りた後、近くで空いていたメリーゴーランドに乗った。羅樹と隣の馬に乗ったが、内側と外側で動くスピードが違ったようで乗り終えた時には半周くらい場所が変わっていた。回るだけでなく上下にも動くので、下がる時のふわっと宙に浮くような感覚が楽しかった。
「楽しかったねー！次はどこ行く？」
「一旦お昼食べない？もう1時だし」
「えっ本当？早いね」
「まぁ結構乗ったからね。何食べる？」
「うーん…あ、あそこの店は？」
羅樹が指差したのは、海辺のレストランだった。看板に貼られているメニューは写真と相まってとても美味しそうで、値段もお手頃だった。混むギリギリのところで入れたので、すぐに席に案内してもらえた。
「運が良かったね」
「名前が効いてるんじゃない？」
私がそう返すと、羅樹は目を丸くした後ふふっと笑った。急なリアクションに首を傾げると、羅樹は嬉しそうに説明し始めた。
「昔言ったこと、覚えててくれたんだね」
「えっ？」
「僕の名前の由来、ラッキーなことがたくさんありますようにってやつ」
「…あ」
完全に無意識だった。確かにそんな話を聞いた覚えはあるし、その割にはあんまり幸運なことが起こってるイメージがないなと疑問に思っていた時期もある。ただの軽口のつもりで言ったことを拾われ、頬にカッと熱くなる。
「別に…ちょっと思い出しただけよ」
「そっかー」
恥ずかしさを誤魔化すようにつっけんどんな態度を取っても、羅樹の頬は締まらない。私はメニューで顔を隠すようにして、思考を切り替えた。私はホットドッグとオレンジジュース、羅樹はチーズバーガーとメロンソーダを頼み、フライドポテトをシェアして食べる。ファストフード店より少し太めに揚げられたポテトは口の中でほろほろと溶け、絶妙な塩加減がたまらない。ホットドッグはケチャップの酸味とマスタードの辛味がウィンナーの肉汁と混ざり合い、ジューシーだ。新鮮なレタスのシャキシャキ感は噛み応えがあって良かった。向かいの羅樹はチーズバーガーにかぶりつき、その美味しさに目を瞬かせている。
「美味しいね！」
「うん、美味しい」
自然と笑顔になる。オレンジジュースは酸味が効いていて、ちょっと頬を窄めたくなった。
お腹もいっぱいになり満足したところで店も混んできたので、さっさと出ることにした。
「食べてすぐ絶叫は危ないから…お店でも見る？」
「うーん…あ、お化け屋敷あるよ！」
「本当だ。行く？」
「行ってみたい！」
見た目は他の建物とあまり変わらない、看板だけがお化け屋敷だと示しているアトラクションに向かうのだった。