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Merry Christmas! 2020 菜古
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昨日、終業式の後に憧れの先輩に告白した。前まで私とあの人はライバルだった。けれどどちらも行動することが出来なかった。あの人は友人という立場から、私は先輩後輩という立場から抜け出すことが出来なかった。関係を壊すことが怖くて。それに怯えるあの人が、全然進んでくれないから。いつの間にか変わっていた恋心を、受け入れることも拒絶することもしてくれない曖昧な態度を示されて、我慢ならなかった。つい平手打ちをしてしまったが、やっと私の言葉が響いたらしい。私と真っ直ぐ向き合ってくれた。そして今日は、私が先輩を振り向かせるための第1歩。話が終わった後でクリスマスデートの約束を取り付けた。赤を基調とした全力のお洒落で、五十嵐先輩をメロメロにするんだ。
「それなのにっ…!」
意気込んだは良いものの、今日はやられっぱなしである。おかしい。こんな筈じゃなかった。開口一番お洒落を褒めて「似合ってるよ」と言われた。先輩、と呼ぶと「春で良いよ、菜古ちゃん」と笑顔を向けられた。流石に呼び捨ては難しいので恥ずかしいのを我慢して「春さん」と呼ぶと、「何だか夫婦みたいだね」と返された。水族館でははぐれないようにと手を繋ぐことになった。水槽を見つめているその瞳が綺麗で見惚れていたら、ふいに目が合った。ご飯を食べる時も一口分けてあげる、と手ずから差し出してくれた。その後ショッピングモールに寄って、夜のイルミネーションが点灯するまでの時間を潰している。私は春さんから少し離れて、アクセサリーを見ながら今日のことを振り返っていた。
おかしい。どうにもおかしい。
ずっとドキドキさせられっぱなしなのだ。私が仕掛ける予定だったのに、春さんの一挙手一投足、言動全てに心臓は限界を訴えている。私は明日死ぬのだろうか、そう思っても仕方ないくらいの展開だった。
「菜古ちゃん」
「ひわぁっ!?あ、な、何ですか!?」
「そろそろイルミネーション観に行かない?」
「え、あっもうそんな時間…?い、行きます!」
気付いたら相当な時間が経っていたらしい。持っていただけできちんと見られていなかった商品を置き、私は春さんの隣に並ぶ。さりげなく手を取られて、私の心臓はばくばくと大きな音を立てていた。
外に出ると、大型ショッピングモールなだけあって飾られている、大きなクリスマスツリーが煌びやかな光を放っていた。ここだけ別世界であるかのように、美しく彩られている。
「凄い…綺麗…」
「そうだね」
私が携帯を取り出すと、写真を撮りにくいと考えたのか手を離してくれた。私の手は小さいので、写真を撮るためには両手を使わなければならない。名残惜しさを感じながらも、この綺麗な景色を思い出として納めておきたかった。
「せっかくだし、一緒に撮る?」
「ぅえっ!?い、いいんですか!?」
「いいよ、ボクで良いなら」
「お、お願いします…!」
綺麗なクリスマスツリーを背景に、写真を撮ろうと四苦八苦する。身長差のせいで上手く入らない。精一杯腕を伸ばしても見切れてしまう。焦って操作が上手くいかない。戸惑っていると、春さんが私から携帯を受け取って、屈んで身長を合わせてくれて、写真を撮ってくれた。私は驚いて硬直してしまったけれど、ちゃんと笑うのを待ってくれて。最高の1枚が保存された。
もう少し見て回ろう、と言われたので素直に従う。
「…あの、春さん」
「ん?」
「今日、どうしてそんなに…私を、ドキドキさせるんですか…?」
ポツリと、ずっと疑問に思っていたことを呟いてしまった。しかもストレートに言ってしまった。慌てて取り繕うと顔を上げると、少し赤く染まった顔が目に飛び込んできた。
「菜古ちゃんが昨日言ってたように、菜古ちゃんが離れないように努力しなきゃと思って…どうすれば良いのか分からなかったから、色々調べて…」
どうやら、今日の行動はネットで得た知識をもとに構築した最善策のつもりだったとのこと。
「それは、えぇっと…つまり」
顔に、一気に熱が集中する。春さんも赤く染まった顔を背けていた。
「それに、ドキドキしてるのは菜古ちゃんだけじゃないよ」
「え?」
ポツリと呟かれた言葉に驚いて顔を上げる。振り向いた春さんは微笑むだけで、真意は教えてくれない。
「それじゃあ行こうか」
「えっ、ちょっ、あのっ」
私の戸惑いはよそに、くすくすと笑う春さん。その笑顔にさえときめいてしまって、敗北感に項垂れる。それでも、隣に居られるだけで嬉しいのは、惚れた弱みだろうか。
「それなのにっ…!」
意気込んだは良いものの、今日はやられっぱなしである。おかしい。こんな筈じゃなかった。開口一番お洒落を褒めて「似合ってるよ」と言われた。先輩、と呼ぶと「春で良いよ、菜古ちゃん」と笑顔を向けられた。流石に呼び捨ては難しいので恥ずかしいのを我慢して「春さん」と呼ぶと、「何だか夫婦みたいだね」と返された。水族館でははぐれないようにと手を繋ぐことになった。水槽を見つめているその瞳が綺麗で見惚れていたら、ふいに目が合った。ご飯を食べる時も一口分けてあげる、と手ずから差し出してくれた。その後ショッピングモールに寄って、夜のイルミネーションが点灯するまでの時間を潰している。私は春さんから少し離れて、アクセサリーを見ながら今日のことを振り返っていた。
おかしい。どうにもおかしい。
ずっとドキドキさせられっぱなしなのだ。私が仕掛ける予定だったのに、春さんの一挙手一投足、言動全てに心臓は限界を訴えている。私は明日死ぬのだろうか、そう思っても仕方ないくらいの展開だった。
「菜古ちゃん」
「ひわぁっ!?あ、な、何ですか!?」
「そろそろイルミネーション観に行かない?」
「え、あっもうそんな時間…?い、行きます!」
気付いたら相当な時間が経っていたらしい。持っていただけできちんと見られていなかった商品を置き、私は春さんの隣に並ぶ。さりげなく手を取られて、私の心臓はばくばくと大きな音を立てていた。
外に出ると、大型ショッピングモールなだけあって飾られている、大きなクリスマスツリーが煌びやかな光を放っていた。ここだけ別世界であるかのように、美しく彩られている。
「凄い…綺麗…」
「そうだね」
私が携帯を取り出すと、写真を撮りにくいと考えたのか手を離してくれた。私の手は小さいので、写真を撮るためには両手を使わなければならない。名残惜しさを感じながらも、この綺麗な景色を思い出として納めておきたかった。
「せっかくだし、一緒に撮る?」
「ぅえっ!?い、いいんですか!?」
「いいよ、ボクで良いなら」
「お、お願いします…!」
綺麗なクリスマスツリーを背景に、写真を撮ろうと四苦八苦する。身長差のせいで上手く入らない。精一杯腕を伸ばしても見切れてしまう。焦って操作が上手くいかない。戸惑っていると、春さんが私から携帯を受け取って、屈んで身長を合わせてくれて、写真を撮ってくれた。私は驚いて硬直してしまったけれど、ちゃんと笑うのを待ってくれて。最高の1枚が保存された。
もう少し見て回ろう、と言われたので素直に従う。
「…あの、春さん」
「ん?」
「今日、どうしてそんなに…私を、ドキドキさせるんですか…?」
ポツリと、ずっと疑問に思っていたことを呟いてしまった。しかもストレートに言ってしまった。慌てて取り繕うと顔を上げると、少し赤く染まった顔が目に飛び込んできた。
「菜古ちゃんが昨日言ってたように、菜古ちゃんが離れないように努力しなきゃと思って…どうすれば良いのか分からなかったから、色々調べて…」
どうやら、今日の行動はネットで得た知識をもとに構築した最善策のつもりだったとのこと。
「それは、えぇっと…つまり」
顔に、一気に熱が集中する。春さんも赤く染まった顔を背けていた。
「それに、ドキドキしてるのは菜古ちゃんだけじゃないよ」
「え?」
ポツリと呟かれた言葉に驚いて顔を上げる。振り向いた春さんは微笑むだけで、真意は教えてくれない。
「それじゃあ行こうか」
「えっ、ちょっ、あのっ」
私の戸惑いはよそに、くすくすと笑う春さん。その笑顔にさえときめいてしまって、敗北感に項垂れる。それでも、隣に居られるだけで嬉しいのは、惚れた弱みだろうか。
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