神様自学

天ノ谷 霙

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1月20日 溢れた言葉

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放課後、教室で待っていると羅樹が現れた。私が大人しく席に座っているのを見つけると、ぱぁっと顔を輝かせる。まるで主人に駆け寄る犬のような姿に、罪悪感が込み上げてくる。
「夕音、帰ろう!」
誘いに頷く。周りの視線が優しく見守るようなものばかりで辛い。足早に昇降口まで向かい、他人の視線を振り切る。部活のない生徒は少ないもので、駅への道はほとんど2人きりになっていた。
「ねぇ羅樹。何度も言ったけど、私に合わせて帰りを急がなくても良いんだよ?」
「え?うん。大丈夫だよ?」
きょとんとした顔で返す羅樹に、私の意図が伝わっていないことを察する。どう言い換えたものかと思案していると、羅樹がポツリと呟いた。
「いなくなるのだけは、嫌だな」
「え?」
今度は私が聞き返すと、羅樹は声に出していたつもりはなかったようでハッとした顔になり、誤魔化すように笑った。私は眉をひそめて、その機嫌の悪さを隠すように前を向いた。羅樹は、大事なことを隠す癖がある。きっと私をお母さんと重ねてしまったのだろう。だから入院中取り乱したのだろうし、起きなかった私に不安を抱いた。それは理解できるのだが、私が同じだと思われるのはちょっと納得がいかない。まるで私が離れていくようではないか。いや実際に離れたことがあるのであまり強くは言えないが。
「私はいなくならないよ。羅樹が望むなら側にいる」
少しキザになってしまった台詞に気付き、恥ずかしくて顔を背ける。しかし羅樹からは安堵したような様子が伺えて、何も言えなかった。チラリと視線だけで振り向けば、羅樹は泣きそうな嬉しそうな顔をしていた。驚いてバッと顔を向けると、羅樹は安心しきった顔で微笑む。
「それなら、ずっと側にいてね」
「…はっ!?え、…なっ…」
意味を分かって言ってるのか、そう問い掛けたくなる羅樹の言葉に、頬が熱を帯びていく。だって、それではプロポーズみたいではないか。付き合ってもいないのに将来の約束をしているみたいではないか。何も分からない子供では無いのだ。発言には責任を持って欲しい。こんなこと考えているのは私だけなのだろうが。その事実が余計に悔しく感じた。
「夕音…?」
きっと、羅樹にそんな意図はない。幼馴染として側にいて欲しいとしか考えていない。いつまでもこの関係を変えることなく側に居るものだと、信じて疑っていない。私はいつも不安なのに、羅樹はそこまで考えてくれない。幼馴染はいつまでも側に居ることを許される関係ではないことに、きっと他の誰かを好きになったら簡単に奪われてしまう場所であることに、羅樹は気付いてくれない。
やるせない。私ばっかり。
「…羅樹」
「何?」
「好き」
私ばっかり好きなのが、我慢出来なかった。
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