神様自学

天ノ谷 霙

文字の大きさ
552 / 812

2月13日 お菓子作り再開

しおりを挟む
デコレーションの準備がてら、携帯で参考画像をいろいろ探してみた。すると可愛らしいデザインが多く出てきて、アレもコレも試してみたいと2人で盛り上がり、いつの間にか1時間が過ぎていた。明のクッキー生地を寝かせる時間も、私のケーキが炊ける時間も過ぎている。慌てて取り出しに行くと、綺麗にふっくらと焼き上がったケーキ生地が出来ていた。
「凄い、本当に綺麗に焼けてる!」
「竹串か何かで、焼けてるか…確認」
「あっ、そうだね」
慌てて竹串を用意し、真ん中のあたりを刺す。しっかり中まで火が通っているようで、生地が竹串に付くことはなかった。安心して大きな丸皿に取り出す。
「明は型抜きと焼く作業が先だね」
「うん。夕音も、少し覚ましてからの方がデコレーションしやすい、かも」
「あ、確かに。焼き立ては美味しそうだけど、ちょっと我慢だね」
粗熱を取る間、生クリームの準備をする。明がパレットナイフを持って来てくれたので、綺麗に飾り付けることが出来そうだ。ただ、初めてやることなので凄く緊張する。
「…夕音、あの」
「うん?」
「…クッキーの型抜き、お願いしていい?私が、代わりにクリーム塗るから」
明はオーブン用の天板に半分ほどクッキーを並べたところで、問い掛けて来た。生クリームを泡立て終え、ケーキも切り分け終えた私はきょとんとした後に明の意図に気付く。
「ありがとう!じゃあ、お願いしようかな」
1人で全部作ったという事実も良いものだが、私は明と2人で使っているのだ。得意なことは互いに任せて、協力して作るのも楽しい。楽しく作れば作っただけ、気持ちもこもるだろう。無理に苦手なことをする必要はない。
私と明は場所を交代して、互いの作業を進める。明はプロのように生クリームを広げていき、滑らかに表面を整えていく。私は素早く型抜きを終えて、明から聞いた通りの時間に設定して焼く。勿論生地を冷蔵庫から取り出した時に予熱はしておいた。
「ありがとう!凄い綺麗…!」
「こちら、こそ。夕音は丁寧で、早いね」
作業の邪魔になるから、と私が型抜きしたクッキーはキッチンペーパーに並べ別の机に移動させておいた。その分が2つと半分。その残り半分のキッチンペーパーに、型抜きしたクッキーを乗せていく明。一つずつ丁寧に取っているため、少々時間が掛かるようだ。それでも明の想いがこもっていることがよく伝わって来るため、微笑ましい気分になる。
「それじゃあ、私も」
切り分けたケーキ1つ1つに、キューブ型のチョコやアラザン、チョコスプレーなどを乗せてデコレーションをしていく。中腰で行うのは少々大変であったが、楽しくて。明と共に集中して作業を進めていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...