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私は一体何者なのか。青海川くんの問い掛けが、ぐるぐると頭の中を回る。嫌な予感がしてから覚悟していた質問なのに、私の中を巡るその言葉への最適解は導き出せない。
あれ。
どうして、こんなに不安になるのだろう。
はたっと辿り着いた疑問に、感情と理性がせめぎ合う。私は他人には見えない向こう側の世界が見える。神様や良くないモノ、それらを目に写すことが出来る。心の奥底で鳴り響く音が聞こえて、稲荷様の"恋使"。そして初代"恋使"である恋音さんがこの身に宿っている。他人と違うことはたくさんある。それが一般にはあり得ないことばかりで、恐怖される対象であることも理解している。知っている。青海川くんに前世記憶があることも、扇様や深沙ちゃんにも同様の記憶があることも、紺様から記憶を引っ張り出してしまったことも、全部知っている。澪愛の女に宿る不思議な力も、それを取り戻したのも知っている。たくさんの裏側を、記憶という形で知って記録した。"他人と違う"はたくさんある。隠してることもたくさんある。
けれど、それは他の人も同じなのではないだろうか。
現に青海川くんが前世の記憶を持つことは、扇様と深沙ちゃんと再会する前から持っていたことは知らなかった。私が今まで見て来た恋心も、隠れた想いも、音が聞こえなかったら知らなかったものばかり。私はそれらを知る手段があるけれど、知りたいと思ったことを知ることが出来るわけではない。流れて来た想いを辿って、記録して、花で送り出すだけだ。望もうと望ままいと、私の意思には関係なく情報はやって来る。知りたくなかったことだってある。気付きたくなかったことだってある。逆に知りたくても見えなかったことだってあるし、分かりたくても聞こえなかったことだってある。
じゃあ、私と他人の違いは何処にあるのだろう。
羅樹を手離すことは出来ない。だからといって"恋使"として育んだ絆も失いたくない。泥臭くても、馬鹿みたいでも、両方を失わない道筋を探したい。そう決意したのは、誰でもない私だ。
「私は稲森 夕音。それ以外の誰でも、何でもないよ」
青海川くんが目を僅かに見開いたのを見て、私はホッと息を吐く。青海川くんだって、前世の記憶があるなんて信じてもらえなかったと言っていた。唯一信じてくれたのが親友である片倉さんだったと、話していた。ならばきっと、私が信じない可能性だって考えている筈。それなのに私に明け透けに話したということは、何か解決したいことがあるのだろう。私の存在が訝しいというだけの理由では、ここまで自分の弱みを晒さない筈だから。
「だから、信じるよ」
「え?」
「青海川くんに前世の記憶があるかどうかを信じるのは、私の勝手でしょう?だから、信じるよ。それで、その話をした理由を教えてほしい」
笑われる可能性も、気味悪がられる可能性も考え尽くした上で、私に話した理由を。真剣に見つめ返せば、青海川くんは呆然とした顔をしていた。
あれ。
どうして、こんなに不安になるのだろう。
はたっと辿り着いた疑問に、感情と理性がせめぎ合う。私は他人には見えない向こう側の世界が見える。神様や良くないモノ、それらを目に写すことが出来る。心の奥底で鳴り響く音が聞こえて、稲荷様の"恋使"。そして初代"恋使"である恋音さんがこの身に宿っている。他人と違うことはたくさんある。それが一般にはあり得ないことばかりで、恐怖される対象であることも理解している。知っている。青海川くんに前世記憶があることも、扇様や深沙ちゃんにも同様の記憶があることも、紺様から記憶を引っ張り出してしまったことも、全部知っている。澪愛の女に宿る不思議な力も、それを取り戻したのも知っている。たくさんの裏側を、記憶という形で知って記録した。"他人と違う"はたくさんある。隠してることもたくさんある。
けれど、それは他の人も同じなのではないだろうか。
現に青海川くんが前世の記憶を持つことは、扇様と深沙ちゃんと再会する前から持っていたことは知らなかった。私が今まで見て来た恋心も、隠れた想いも、音が聞こえなかったら知らなかったものばかり。私はそれらを知る手段があるけれど、知りたいと思ったことを知ることが出来るわけではない。流れて来た想いを辿って、記録して、花で送り出すだけだ。望もうと望ままいと、私の意思には関係なく情報はやって来る。知りたくなかったことだってある。気付きたくなかったことだってある。逆に知りたくても見えなかったことだってあるし、分かりたくても聞こえなかったことだってある。
じゃあ、私と他人の違いは何処にあるのだろう。
羅樹を手離すことは出来ない。だからといって"恋使"として育んだ絆も失いたくない。泥臭くても、馬鹿みたいでも、両方を失わない道筋を探したい。そう決意したのは、誰でもない私だ。
「私は稲森 夕音。それ以外の誰でも、何でもないよ」
青海川くんが目を僅かに見開いたのを見て、私はホッと息を吐く。青海川くんだって、前世の記憶があるなんて信じてもらえなかったと言っていた。唯一信じてくれたのが親友である片倉さんだったと、話していた。ならばきっと、私が信じない可能性だって考えている筈。それなのに私に明け透けに話したということは、何か解決したいことがあるのだろう。私の存在が訝しいというだけの理由では、ここまで自分の弱みを晒さない筈だから。
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「え?」
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