666 / 812
3月10日 カフェランチ
しおりを挟む
海老グラタンとカレードリアが運ばれて来る。出来立て熱々なようで、皿の上では湯気がふわりと揺れ、蕩けたチーズが踊っているように見えた。ごくり、と喉が鳴る。
「いただきます」
「いただきます」
手を合わせて挨拶をした後で、スプーンを入れる。表面に薄く引かれたチーズがパリッと割れて、その下からとろとろしたホワイトソースとマカロニが顔を出す。掬い上げればチーズが糸を引き、その熱さを訴えるように視界が湯気で覆われた。ふーっと少し冷ましてから口に運ぶと、熱々のホワイトソースの中からぷりぷりの海老のむき身が現れる。噛み切るたびにじゅわっと旨味が舌の上に広がり、海鮮独特の甘さというべき味が、香りと共に鼻に抜けていく。思ったより海老が大きい。お得感に喜んでいると、シャキッとした食感が歯の先を包んだ。何かと思えば玉ねぎである。辛味はなく、それどころか甘い。熱によって蕩けるような食感になっているところと、シャキッと歯応えのある場所とで分かれており、2通りの楽しみ方が出来るようになっている。マカロニも柔らかく弾力があり、舌を火傷しそうなほどに熱いがそれが良い。はふはふと口内を冷ましながら飲み込むと、早く次を口に含みたくなるような、病みつきになる味だ。
「美味しい!」
「そう?良かった」
「うん、爽のおすすめにして良かったよ~!」
「美味しいよね、それ」
「うん!あ、1口いる?久々なんでしょ?」
「え、あ…じゃあ」
「はい」
皿を差し出すと、爽は少し躊躇った後で自分のスプーンを差し込んだ。カレーがついてしまったと謝るが、全然気にしていない。
「あ、変わってない…美味しい」
「昔からこの味なんだ?凄い美味しいね」
「うん。アタシのも」
「いいの?ありがとう」
爽のカレードリアを1口貰う。食べてすぐにスパイシーな香りが口いっぱいに広がり、舌をピリピリとした辛味が襲う。逃がすように呼吸をすると、カレーの食欲を誘う香りが鼻腔をくすぐった。キーマカレーのように挽肉と細かく切られた野菜を使っているようで、噛めば噛むほど旨味と肉汁がじゅわっと溢れて来る。上に乗っていたチーズも主張をしない優しい味で、カレーの辛味をマイルドにしてくれる。パラパラの米とカレーの相性はやはり最高だ。飲み込むのが惜しいほどに美味である。
「こっちも美味しい!」
私が喜ぶと、爽はふっと表情を緩めた。先程までシリアスな話をしていたのだが、そんな雰囲気は美味しい料理の前では霧散してしまうもの。とりあえず食べ終わるまでは戻れなさそうだな、と心の中で反省するのだった。
「いただきます」
「いただきます」
手を合わせて挨拶をした後で、スプーンを入れる。表面に薄く引かれたチーズがパリッと割れて、その下からとろとろしたホワイトソースとマカロニが顔を出す。掬い上げればチーズが糸を引き、その熱さを訴えるように視界が湯気で覆われた。ふーっと少し冷ましてから口に運ぶと、熱々のホワイトソースの中からぷりぷりの海老のむき身が現れる。噛み切るたびにじゅわっと旨味が舌の上に広がり、海鮮独特の甘さというべき味が、香りと共に鼻に抜けていく。思ったより海老が大きい。お得感に喜んでいると、シャキッとした食感が歯の先を包んだ。何かと思えば玉ねぎである。辛味はなく、それどころか甘い。熱によって蕩けるような食感になっているところと、シャキッと歯応えのある場所とで分かれており、2通りの楽しみ方が出来るようになっている。マカロニも柔らかく弾力があり、舌を火傷しそうなほどに熱いがそれが良い。はふはふと口内を冷ましながら飲み込むと、早く次を口に含みたくなるような、病みつきになる味だ。
「美味しい!」
「そう?良かった」
「うん、爽のおすすめにして良かったよ~!」
「美味しいよね、それ」
「うん!あ、1口いる?久々なんでしょ?」
「え、あ…じゃあ」
「はい」
皿を差し出すと、爽は少し躊躇った後で自分のスプーンを差し込んだ。カレーがついてしまったと謝るが、全然気にしていない。
「あ、変わってない…美味しい」
「昔からこの味なんだ?凄い美味しいね」
「うん。アタシのも」
「いいの?ありがとう」
爽のカレードリアを1口貰う。食べてすぐにスパイシーな香りが口いっぱいに広がり、舌をピリピリとした辛味が襲う。逃がすように呼吸をすると、カレーの食欲を誘う香りが鼻腔をくすぐった。キーマカレーのように挽肉と細かく切られた野菜を使っているようで、噛めば噛むほど旨味と肉汁がじゅわっと溢れて来る。上に乗っていたチーズも主張をしない優しい味で、カレーの辛味をマイルドにしてくれる。パラパラの米とカレーの相性はやはり最高だ。飲み込むのが惜しいほどに美味である。
「こっちも美味しい!」
私が喜ぶと、爽はふっと表情を緩めた。先程までシリアスな話をしていたのだが、そんな雰囲気は美味しい料理の前では霧散してしまうもの。とりあえず食べ終わるまでは戻れなさそうだな、と心の中で反省するのだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる