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9月10日 いつかタイムリミット
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あれから3日。蒼くんはまだ行動していないが、ファンの子達が少し異変に気付いている。早くどうにかしなければ、利羽に当たるようになってしまう。いつかはわからないタイムリミットが、刻一刻と迫っているのを感じた。私も謎の焦りを感じてきた、そんな頃だった。
「…ゃん、夕音ちゃん」
「はいっ!?」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、初めて自分が考え事に耽っていたことに気付いた。振り返ると、八千奈ちゃんが心配そうな顔をして立っていた。
「な、何?どうしたの?」
「や、次移動教室やけど、行かへんの?」
「えっ」
慌てて時計と時間割りを確認する。前の授業の教科書類を引き出しに入れて、次の時間のノートなどを抱える。
「ありがとう」
私がお礼を言うと八千奈ちゃんは微笑んで、どういたしまして、と返した。そのまま八千奈ちゃんと生物室に向かう。
「生物なんやろね?」
「実験みたいだよね。先生、楽しみにしてたし」
そんな会話をしながらも、心のどこかで不安と焦りが私を蝕んでいく。
「…どうしよう」
「何が?」
「そろそろ、利羽がいじめられそうだなって」
そこまで言って気付く。八千奈ちゃんも同じ思いをしていたことを思い出す。弁解しようと顔を上げたが、八千奈ちゃんは少し表情を曇らせてしまっていた。焦って何か言おうとしても言葉が出ない。喉の奥から言葉にならない声が空気に溶けていくだけだった。
「夕音ちゃん」
八千奈ちゃんの声が、はっきりと耳に響いた。
「うちは遠回しに言うの苦手やからはっきり言うけど、夕音ちゃんが助けてくれたん、めっちゃ嬉しかったで」
「…え」
そう言って八千奈ちゃんは、私の手をぎゅっと握った。
「夕音ちゃんのお陰で、笑えるようになったんよ。だから、利羽ちゃんも、そのいじめる側になりそうな子も…夕音ちゃんが笑顔にしてあげて。夕音ちゃんなら、きっと出来るよ」
八千奈ちゃんの笑顔に、心が軽くなったような気がした。私が、笑顔にするのは利羽ちゃんだけじゃない。あの3人組や、そのリーダーの子も笑顔にしたいんだ。それに気付かなかったから、私は迷っていたんだ。そのことに気付かせてくれたことも含めて、八千奈ちゃんにお礼を言う。
「…八千奈ちゃん、ありがとう」
「…どういたしまして」
止まって話していたので、もう一度生物室に向かって歩き出す。時計を見ると、1分前。
「わっ!?急ごう!」
八千奈ちゃんと走り出す。なんだか、心と一緒に体も軽くなったような気がした。
「…ゃん、夕音ちゃん」
「はいっ!?」
自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、初めて自分が考え事に耽っていたことに気付いた。振り返ると、八千奈ちゃんが心配そうな顔をして立っていた。
「な、何?どうしたの?」
「や、次移動教室やけど、行かへんの?」
「えっ」
慌てて時計と時間割りを確認する。前の授業の教科書類を引き出しに入れて、次の時間のノートなどを抱える。
「ありがとう」
私がお礼を言うと八千奈ちゃんは微笑んで、どういたしまして、と返した。そのまま八千奈ちゃんと生物室に向かう。
「生物なんやろね?」
「実験みたいだよね。先生、楽しみにしてたし」
そんな会話をしながらも、心のどこかで不安と焦りが私を蝕んでいく。
「…どうしよう」
「何が?」
「そろそろ、利羽がいじめられそうだなって」
そこまで言って気付く。八千奈ちゃんも同じ思いをしていたことを思い出す。弁解しようと顔を上げたが、八千奈ちゃんは少し表情を曇らせてしまっていた。焦って何か言おうとしても言葉が出ない。喉の奥から言葉にならない声が空気に溶けていくだけだった。
「夕音ちゃん」
八千奈ちゃんの声が、はっきりと耳に響いた。
「うちは遠回しに言うの苦手やからはっきり言うけど、夕音ちゃんが助けてくれたん、めっちゃ嬉しかったで」
「…え」
そう言って八千奈ちゃんは、私の手をぎゅっと握った。
「夕音ちゃんのお陰で、笑えるようになったんよ。だから、利羽ちゃんも、そのいじめる側になりそうな子も…夕音ちゃんが笑顔にしてあげて。夕音ちゃんなら、きっと出来るよ」
八千奈ちゃんの笑顔に、心が軽くなったような気がした。私が、笑顔にするのは利羽ちゃんだけじゃない。あの3人組や、そのリーダーの子も笑顔にしたいんだ。それに気付かなかったから、私は迷っていたんだ。そのことに気付かせてくれたことも含めて、八千奈ちゃんにお礼を言う。
「…八千奈ちゃん、ありがとう」
「…どういたしまして」
止まって話していたので、もう一度生物室に向かって歩き出す。時計を見ると、1分前。
「わっ!?急ごう!」
八千奈ちゃんと走り出す。なんだか、心と一緒に体も軽くなったような気がした。
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