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9月10日 放課後の赤い花
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放課後。私は八千奈ちゃんから貰ったヒントを元に、誰もいないところで恋使状態になった。この状態なら、相手から私は見えない。でも私は相手の話を聞くことが出来る。この状態を使って、私はリーダーの子の話を聞くことにした。
盗み聞きのようになってしまうことは分かっている。目的がそれなんだから仕方ない事も分かっている。でも、罪悪感で心がズキズキする。痛い。でも、私が相手の気持ちを理解しないで、自分勝手な行動をして傷付かれる方が痛い。
「…っく…ひっく…」
裏庭で、花壇に座りながら泣いている彼女を見つけた。人目につきにくい場所。私は彼女の目の前にしゃがむ。伝わってくる心を、言葉を、感じ取る。
…蒼くんのこと、誰よりも好きだったのに。いつも一緒にいるあの子達よりも好きだったのに。他の人には渡さないって、絶対に振り向かせてみせるって、思ってたのに。なんで、なんであの子なの。私の方が、ずっと蒼くんのことを好きだったのに。
痛い程に伝わる、彼女の苦しい恋心。他の子に紛れないように努力をしてきた様子も、私に伝わってくる。目の前で見ているかのように、脳裏に浮かぶ。友達と一緒に蒼くんを追いかけて、バレンタインのチョコを渡す。その後、友達と別れた後にもう一度蒼くんに渡しに行く。1人で、自分のことを少しでも覚えてもらえるように。ちょっとずつ1人で印象付けるようなことを重ねていって、覚えて貰った時、どれくらい嬉しかったか。そんなことも伝わってきた。
私は、彼女のことを応援したいと思った。それと同じくらい、利羽に酷いことをして悪役になって欲しくないと思った。
私の思いが反射して、赤い花があたりに咲く。紫がかった雌しべと雄しべの周りだけ白に染まった赤い花。彼女が、溢れるように咲く花に気付いた。花に触れて、見えないはずの私を瞳でとらえた。彼女の瞳がきらきらと揺れた。
「…アネモネの花言葉は、"恋の苦しみ"。赤い花は"君を愛す"。貴方は、想いを伝える前に諦めるの?諦めて、他の人があの人を幸せにするのを邪魔してしまうの?」
彼女の肩がびくりと震えた。そして彼女の瞳が、燃えるような日の光を反射する。震える唇が開く。
「…そんなの、だめ…!絶対、しない…!」
彼女の声が、あたりに響いた。彼女は、握りしめていたハンカチを乱暴にポケットに入れて、この場から走り去った。
…どうして、私の姿が、私の声が、彼女に届いていたのだろう。
赤い花びらが風に乗りながら、きらきらと輝いて消えていった。
盗み聞きのようになってしまうことは分かっている。目的がそれなんだから仕方ない事も分かっている。でも、罪悪感で心がズキズキする。痛い。でも、私が相手の気持ちを理解しないで、自分勝手な行動をして傷付かれる方が痛い。
「…っく…ひっく…」
裏庭で、花壇に座りながら泣いている彼女を見つけた。人目につきにくい場所。私は彼女の目の前にしゃがむ。伝わってくる心を、言葉を、感じ取る。
…蒼くんのこと、誰よりも好きだったのに。いつも一緒にいるあの子達よりも好きだったのに。他の人には渡さないって、絶対に振り向かせてみせるって、思ってたのに。なんで、なんであの子なの。私の方が、ずっと蒼くんのことを好きだったのに。
痛い程に伝わる、彼女の苦しい恋心。他の子に紛れないように努力をしてきた様子も、私に伝わってくる。目の前で見ているかのように、脳裏に浮かぶ。友達と一緒に蒼くんを追いかけて、バレンタインのチョコを渡す。その後、友達と別れた後にもう一度蒼くんに渡しに行く。1人で、自分のことを少しでも覚えてもらえるように。ちょっとずつ1人で印象付けるようなことを重ねていって、覚えて貰った時、どれくらい嬉しかったか。そんなことも伝わってきた。
私は、彼女のことを応援したいと思った。それと同じくらい、利羽に酷いことをして悪役になって欲しくないと思った。
私の思いが反射して、赤い花があたりに咲く。紫がかった雌しべと雄しべの周りだけ白に染まった赤い花。彼女が、溢れるように咲く花に気付いた。花に触れて、見えないはずの私を瞳でとらえた。彼女の瞳がきらきらと揺れた。
「…アネモネの花言葉は、"恋の苦しみ"。赤い花は"君を愛す"。貴方は、想いを伝える前に諦めるの?諦めて、他の人があの人を幸せにするのを邪魔してしまうの?」
彼女の肩がびくりと震えた。そして彼女の瞳が、燃えるような日の光を反射する。震える唇が開く。
「…そんなの、だめ…!絶対、しない…!」
彼女の声が、あたりに響いた。彼女は、握りしめていたハンカチを乱暴にポケットに入れて、この場から走り去った。
…どうして、私の姿が、私の声が、彼女に届いていたのだろう。
赤い花びらが風に乗りながら、きらきらと輝いて消えていった。
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