33 / 47
完食! 激辛海軍カレー
しおりを挟む「ごぢぞゔ――――さまでじた......」
最後の一口を食べ終え、わたしはテーブルに突っ伏した。
死ぬ! 胃も喉も焼きただれるんじゃないのこれ!? っていうか考えた人バカなんじゃないの!?
そう叫んでやりたいほどの辛さで、もう全身が熱い。
「演習で2個機甲連隊を相手した時よりキツかったッス......、まさに怪物級でしたね」
わたしと同じく激烈な艦砲射撃を胃にくらったセリカも、46センチカレーをなんとか完食していた。
辛い物好きにも限度はあるらしい。
「う~ん、もう少しマイルドにした方が良さそうだね。普通の13歳の舌には合わなかったか......」
「店長、そういうのは食べる前に教えてあげては?」
ミーシャが横から店長を小突く。
「まかないで君がペロリと平らげていたから全然足りないと思ってね、今回スパイスを増強したんだが――――どうも比較基準を間違えたようだ」
炎属性魔法を使うだけあって、ミーシャはこれをアッサリ完食していたらしい。
なるほど、それでここまで過剰に香辛料を......。
「クロエ、あんたは大丈夫?」
「だいじょ......ケフッ、ぶだよ」
どうやら相当無理したらしい。ここまで弱ったクロエはなかなか見れないだろう。
彼女のノースリーブや短パンは汗でビショビショになっており、いかに苦戦していたかがよくわかる。
「満身創痍ね、シャーベットとか無料だけど持ってこよっか?」
「おねがいします.......」
テクテクと厨房へアイスを取りに行くミーシャ。
もう当分辛いものはいいや。
そんな中運ばれてきたバニラアイスはキンキンに冷えていて、口に含むと回復魔法に等しい甘みが広がった。
「んむぅ~ッ......!!」
さっきまで死に体だったクロエが復活し、目を輝かせながらかき込んだ。
わたしたちが夢中でアイスにがっついていると、思い出したように店長が口を開く。
「そういえば、王国軍は近いうちに【駐屯地祭】なるものを行うらしいね」
「駐屯地祭......?」
聞き慣れない単語にオウム返ししてしまう。
「アルマのやつから聞いてないのか? なんでも今回初の試みらしいが」
「それわたしも聞きました! アクエリアス事件で王国軍の支持率が上がったので、アルテマ駐屯地で国民のさらなる理解を目的としたお祭りを計画してるみたいッスよ」
報告やら何やらで忙しくて、全然知らなかった。
内容も気になるけど目的も知りたい。
「さらなる理解ってことは、まだ周知が進んでないってことよね?」
「はい、王国軍への志願者層はそのほとんどが冒険者ギルドに取られちゃってるらしくて、昔から冒険者ギルドとは苛烈な広報戦をしてると聞くッス」
まあ軍かギルド、どちらに親しみを感じるかと聞かれればほぼ『ギルド』と答えるだろう。
それだけわたしたち王国軍は、国民にとって堅い組織なのだ。
「いっそのこと冒険者ギルドと仲良くなっちゃえば、そんな苦労せずに済むのにね」
なるほど、確かに人気のギルドとタッグを組めればわたしたちはより身近な存在になる。
長期的に見れば志願者は増えるだろう。
「クロエにしては珍しく良いこと言うわね」
「ホント!? イェーイ!! ティナに褒められたー」
諸手を挙げるクロエ。
この雰囲気......、なんだかよく言い表せないけどとても好きだ。
皆でご飯を食べて談笑する、ずっと続いてほしい平和な時間に思えた。
「っと、そろそろピークが来るぞ。ミーシャ、用意は良いな?」
「了解店長」
でも、楽しい時間ほど無情なまでに早く終わる。
それまで暇そうにしていた店長とミーシャが、慌ただしく動き出したのだ。
「この店は正午になるとお客様で溢れるの、これから激辛マニアたちが行列を作るわよ」
「へー、じゃあそろそろお会計にしましょ」
「オッケー、ごちそうさまでした」
あんまり居座っては回転率に支障をきたすだろう、各々が半額券と一緒に500円を出し、早くも人の殺到し始める激辛料理店を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる