闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

文字の大きさ
239 / 1,010

高鳴る期待に

 祈るしか今の自分に出来ることはない。
 とにかく必死で祈った。

「…まだ来てない」

 けれど返事は来ず…。
 仕方ないので風呂に入り、あとはもう寝るだけとパジャマを着てベッドにインしていた。

「はぁっ…。九条さん何してるんだろう。仕事忙しいのかな?そうだよね…」

 学生の自分と比べれば、社長の九条は想像もつかないほどの忙しさなのだろう。

「もう寝ちゃおうかな…。明日の朝まで待ってダメなら諦めよ…」

 マイナス思考が働いて、いつもより随分早いが夢の中への逃避行を考え始めた矢先、面白いほどのタイミングで着信が入った。

「うわっ?ビックリした~!…あっ、九条さんからだ!!」

 祐羽は勢いよく起き上がると、ベッドの上に正座した。
 メッセージが届いた感動で高揚する気分と、もしかしたらダメかもしれない、という恐ろしい程のドキドキ感に心臓の鼓動を支配されながら指先で画面を開いた。
 するとそこには、簡潔な文が並んでいた。

「九条さん、ちゃんと返事くれたぁ~」

 祐羽はその内容に、安堵と嬉しさと感動から頬が紅潮するのが分かった。
 なんだか目もウルッとしてしまう。

「良かった…良かったよ~!」

 思わず声を上げて喜んで嬉しさから、その勢いでベッドに再び寝転がった。

「はぁ~っ…良かったぁ」

 さっきまで感じていた不安やマイナスの心は何処か遠くへと去っていき、今は嬉しさという名の興奮が全身を支配していた。

 祐羽は落ち着くと瞬きを数回繰り返し、画面を見つめる。
 嬉しくて文章をもう1度読み直した。

【何処で何時からか連絡しろ】

 何の味気もないぶっきらぼうな文章。
 九条らしいといえば、九条らしくて思わずクスッと笑ってしまった。
 簡潔なそれも偉そうな文面だったが、九条からの返事というだけで祐羽にとっては充分だった。

 もしかしたら、わざわざ水族館へ行く時間を開けてくれたのかもしれない。
 これはあくまでも自分の想像に過ぎないが、そう思うと申し訳ないよりも嬉しさに心が温かくなっていった。




※Twitterフォロワー様限定・バレンタイン編プレゼントについてのお知らせを始めました。詳しくは当方Twitterの固定ツイートをご覧ください。
感想 162

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 Rは書こうか悩み中です。本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

人気俳優に拾われてペットにされた件

米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。 そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。 「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。 「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。 これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。