闇の覇王と無垢な花嫁

満姫プユ

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    偵察と言ったもののリビングより遠くなり、トイレに出てきた意味を全くなさなかった。
    しかも男が真後ろに着いて来るので、振り向いて様子を伺うことさえ難しい。
    中瀬はトイレに入ると直ぐにドアを閉めた。
    止められるかと思ったが普通にドアを閉める事は許されて、警戒心の度合いを知ることが出来た。
    今の状況では逃げるのは至難の技で、人質二人を置いて逃げるとは思っていないのだろう。
「…窓がひとつか」
    トイレは入って直ぐ横に洗面台があり、そこから五歩ほど歩いた先に便器があって、普通の家よりは造りは、若干広い。
    その便器の上に小窓があった。
    高さは無いが、窓の大きさ的に自分が通り抜けるのは少し難しいかもしれない。
「ぶっ壊せばいけるか?」
    外の様子はというと暗くてよく見えないが、木々に覆われていることだけはよく分かる。
「ここ、リビングから見えないな」
    脱出するとすれば、監禁されている部屋側とは反対に位置する部屋の窓からが有効だと分かった。
    できれば九条達が上手く交渉なり何なりで迎えに来てくれるのが1番だが、こんな形になればそれも期待出来ないかもしれない。
    中瀬は祐羽が待っていることを思い出し慌てて用を足すと水を流し手を洗う。
   水を止めると、外から虫の音が聴こえてくる。
    何だかとても平和に感じる自分が可笑しい。
    それだけ今は非常だと改めて認識させられた。
    その平和な日常へ祐羽と外崎を無事に帰したい。
    そこにはもちろん自分も居て『三人揃って帰るんだ』と、中瀬は強く思いながらドアを開けた。
    帰り際も建物内部を出来るだけ観察して、大体の間取りを把握予測した。
    しかし予測したところで、丸腰で全く暴力に慣れないひ弱な三人で何が出来るというのか。
    歯向かえば良くて怪我、悪くて殺される可能性だってある。
    何も出来ないもどかしさに、中瀬は敬愛する眞山に心の中で助けを求めるのだった。


「おい、次はお前だ」
    中瀬と入れ違いに外崎の腕が引かれる。
    慌てて祐羽と中瀬が声を上げたが、一瞬でドアが閉めれてしまう。
「外崎さん…っ!」
    不安な声を出す祐羽の肩に手を置いた中瀬が「大丈夫だ」と励ます。
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