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「はぁーっ、良かった」

 緊張から解き放たれて安堵の息を吐き全身の力を抜いた美祐は「よし、退散だ!」と裏口へと向かったが、そこである事に気づいた。

「花のお金、貰ってない…」

 というわけで、美祐は意を決して男の消えた方へと向かった。
 勝手に歩いて怒られるかもしれないが、このまま帰るわけにもいかない。
 あとで連絡しても『店で払った』と言われれば終わり。
 ここは勇気を出してお金を頂戴するしかない。

「ううっ、怖い。帰りたいな」

 美祐がオドオドしながらも薄暗い通路を進んで行と、キラキラと光る明かりが見えてきた。
 同時に軽快な音楽に乗ったホストと思われる男性達の盛り上げる声と女性の嬉しそうにはしゃぐ声がハッキリと聞こえてきた。
 
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