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告白
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よく晴れた日曜日、涌井は珠絵の家を訪ねてきた。
香苗ははしゃいだ。
ドラマのようなプロポーズに父はやはり雷を落とした。
涌井は柔らかな表情で、雷に怯んだ様子はなかった。
香苗の涌井へ向けられた瞳は、八岐大蛇を退治する勇者を見つめるかのようだ。
珠絵は、そんな二人を眩しそうに見ていた。
彼にも、涌井のような度胸があったら、もしかしたら。
あの日とよく似た光景に、たらればを思ってしまう。
珠絵はもう二十五だ。
立派な売れ残りだ。
自分のことは諦めている。
香苗さえ幸せになってくれたら。
「父さん、香苗を送り出してやって。
花嫁の父、やってみたくない?」
父は顔を赤くして立ち上がり、上着を取って出ていった。
行きつけの赤提灯へ向かうのだろう。
困惑する涌井に珠絵は心配ないと説明する。
「上手く云えないけど、根っから反対しているわけではないの。
あなたの為人を知れば、許してくれるわ」
母がいたら、そうとりなしてくれたに違いない。
涌井はホッとした表情を浮かべた。
「なら、珠絵さんにも話があります。
あの日のお弁当、ありがとう」
「あっ」
青くなったのは香苗だ。
「家事が苦手でもいいよ。
お姉さんに仕込まれてるんだろ、今。
どうしても困ったら、うちに来てもらえばいい」
「それも困るぅ」
珠絵は二人のやりとりに破顔する。
この二人は大丈夫。
そんな気がする。
「香苗、おめでとう」
香苗ははしゃいだ。
ドラマのようなプロポーズに父はやはり雷を落とした。
涌井は柔らかな表情で、雷に怯んだ様子はなかった。
香苗の涌井へ向けられた瞳は、八岐大蛇を退治する勇者を見つめるかのようだ。
珠絵は、そんな二人を眩しそうに見ていた。
彼にも、涌井のような度胸があったら、もしかしたら。
あの日とよく似た光景に、たらればを思ってしまう。
珠絵はもう二十五だ。
立派な売れ残りだ。
自分のことは諦めている。
香苗さえ幸せになってくれたら。
「父さん、香苗を送り出してやって。
花嫁の父、やってみたくない?」
父は顔を赤くして立ち上がり、上着を取って出ていった。
行きつけの赤提灯へ向かうのだろう。
困惑する涌井に珠絵は心配ないと説明する。
「上手く云えないけど、根っから反対しているわけではないの。
あなたの為人を知れば、許してくれるわ」
母がいたら、そうとりなしてくれたに違いない。
涌井はホッとした表情を浮かべた。
「なら、珠絵さんにも話があります。
あの日のお弁当、ありがとう」
「あっ」
青くなったのは香苗だ。
「家事が苦手でもいいよ。
お姉さんに仕込まれてるんだろ、今。
どうしても困ったら、うちに来てもらえばいい」
「それも困るぅ」
珠絵は二人のやりとりに破顔する。
この二人は大丈夫。
そんな気がする。
「香苗、おめでとう」
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