3 / 48
プロローグ
五年前の悪夢2
しおりを挟む
・・・・・・・・・・・。
「えへへ・・お肉屋さんのおじさんに良い部位のオーク肉をおまけしてもらっちゃった!沢山買えたし、おばあちゃんも喜んでくれるかな?」
私は今日の戦利品を荷台に載せると、帰路につくために運転席へ腰掛けます。
「よし、帰りも安全うん・・・」
そして、うきうきしながら魔導三輪を走らせようとした、その時・・・。
ドオォォォォン!!
突然、遠くから凄まじい爆発音が聞こえてきました。
「なんだ!?」
「一体何の音だ!?」
突然の出来事に、辺りも騒然となります。
ゴゴゴゴ・・・・。
そして、その直後・・建物の向こうから信じられないものが姿を覗かせました。
「あれはっ!?鬼!?しかも何体もいるぞ!?」
狼狽える男性が指差す先には、確かに瓦葺きの建物よりも遥かに巨大な鬼の姿がありました。
鬼は平均的な体長が十メートルにもなる、頭部に角を持った人型の魔獣です。
私の住む『アーティナイ列島』全域に生息していて、大陸で言う『ゴーレム』と同じく、討伐には複数の上級冒険者が必要となる非常に脅威的な魔獣です。
それが、複数体も同時に町へ現れたのです。
バアァァァン!!
鬼は無慈悲にも、その剛腕で瓦葺きの民家を次々と薙ぎ倒していきます。
この町の民家の殆どは『カームクラン様式』という木造瓦葺きの建物であり、十メートルにもなる鬼はいとも容易くそれらの建物を次々と破壊していきます。
「きゃああああ!」
「ぐべっ!」
そして、逃げ惑う人々を嘲笑うかのように鬼は殺戮と破壊活動を続けています。
「あ・・あ・・あ・・」
あまりの出来事に、私は声を発することができません。
今まで複数の鬼を相手にするような機会は冒険者達にもなかったはずです。
到底、この町の冒険者達では太刀打ちできません。
そして、隣町である『ヨークスカ』の駐在軍や首都『カームクラン』の連邦軍が到着する前に『ライズ』の町が壊滅してしまうことは火を見るよりも明らかでした。
「おいっ!?工場地区が燃えているぞ!?」
「!?」
私は近くのおじさんが叫ぶ声を聞いて、工場地区へと目を向けます。
私とおばあちゃんは裕福ではないので、賃料が安い工場地区内の住居を借りて住んでいます。
そして、その工場地区が燃えている・・。
私は一気に体温が下がった錯覚を感じました。
「おばあちゃん!!」
話を聞いた私は、焦りながら魔導三輪を走らせようとします。
「きゃあああ!!?」
「うわあぁぁぁ」
しかし、街道は逃げ惑う人や壊れた建物の残骸で封鎖されて、とても走れそうにありません。
「っ!!」
私は仕方なく、走って家まで帰ることにしました。
「はあ!はあ!・・・っ!?」
工場地区から逃げる人達に何度もぶつかりながらも私はひたすら走り続けました。
「っ!?ああ!?私たちの家が!?」
夢中で走り続けた私は、漸く自分の家に辿り着きました。
けれど、おばあちゃんと暮らしてきた家は、激しい炎に飲まれながら今にも崩れそうになっていました。
ゴオォォォッ!!
「!?」
その時、近くから凄まじい轟音が聞こえてきました。
それは、間違いなく高出力の『発導機』が稼働する音でした。
ゴウゥゥゥ!!
『おいっ!!ここらはあらかた焼き尽くしたぜ!』
『よし、このまま市街地も焼き尽くすぞ、いいか?皆殺しだ』
『『ライズ』の町は鬼の『大量襲撃』で全滅、それが『黒の君』のシナリオだからな』
その時、轟音のする方から、複数の『拡声魔導』による声が聞こえてきました。
私が声の方に目を向けると、そこには二機の魔導機甲が『火炎魔導』を放っている姿がありました。
『よーし、もういいだろう!とっとと市街地に行ってズラかるぞ!』
『それにしても、本当にこんな田舎の工場町に新型の機体があったなんてな・・確かにこんな機体が量産できたら、『黒の君』の崇高なお望みも叶えられるかもやしれん』
『ああ、この町の住民には悪いが、我々の礎となる為に死んでもらおう』
キイィィィィィ!!
ゴウゥゥゥ!!
「きゃあ!?」
私は二機の魔導機甲が離陸することで発生した暴風で飛ばされそうになるのを必死に耐えました。
先程の魔導機甲がなぜこのような事をするのかわかりませんが、今の私にはおばあちゃんの安否を確認する事が最優先です。
「おばあちゃん!!」
バァン!
不幸中の幸いで先程の暴風によって家を焼く炎が弱まったので、朽ち果てた玄関の引き違い扉を体当たりで破って家の中に転がり込みます。
「ごぼっ!!おばあちゃん!どこにいるの!?」
私は燃え盛る炎による煙に咽せながらも、必死におばあちゃんの姿を探します。
「ア・・アリ・・ア」
「っ!?おばあちゃん!!」
微かな声を頼りに床を這っていくと、家の隅で血を流して倒れているおばあちゃんを見つけました。
「っ!?おばあちゃん!足が!?」
おばあちゃんの足元に目を向けると、そこには崩れた屋根の瓦礫が積み上がっていました。
「今助けるからっ!!」
私は慌てておばあちゃんの上に積み上がった瓦礫に手をかけようとします。
「おばあちゃんはもう駄目だよ・・ごめんね、アリア・・コレを置いていくわけにはいかないから物置まで取りに戻ったんだけど、そのせいで逃げ遅れてしまってねぇ・・」
そう言うと、おばあちゃんは掌に収まっている薔薇をモチーフにしたバレッタを私に手渡しました。
手にしたバレッタはとても精巧に出来ていて、宝石は一切付いていませんが一目で市販のものではない特別な逸品とわかりました。
そして、そのバレッタは高価な純粋魔導銀よりも美しい白銀の色でした。
「コレは一体!?どうしてこんな物のためにおばあちゃんが!!イヤ!!私、おばあちゃんを置いてはいけない!!」
私はすぐにバレッタに興味を無くしておばあちゃんに泣き縋りました。
しかし、おばあちゃんは首を横にふると、血に濡れた手で優しく私を撫でました。
「いいかい?よく聞くんだよ?このバレッタは私達の家系に代々受け継がれたもので、本当はアリアが成人した時に渡そうとした物だよ」
「このバレッタは『神白銀』で出来ていてね、生み出された時から一時も欠かす事なく『収納魔導』が発導し続けているんだよ」
「プラ・・ティウム」
私は、おばあちゃんから聞いた話を俄かには信じられませんでした。
そして、私は受け取ったバレッタが『神白銀』で出来ていると聞いてから、手の震えが止まらなくなってしまいました。
『神白銀』とは、マナ抵抗が全く存在せず永遠に劣化する事が無い、この世界でただ一つの特別な素材なのです。
そして、この『神白銀』を錬金する事ができるのは、この世界ではただ一方だけなのです。
それは・・『女神ハーティルティア』様です。
故に、『神白銀』が用いられた全ての魔導具は『女神様』が手ずから生み出した『神器』と言うことになります。
そして、世界にある全ての『神白銀』は『神聖リーフィア神帝国』によってその所在が厳重に管理されていると聞きます。
しかも、このバレッタは『収納魔導』を常時発動できるほどのマナを出力できる、超小型の発導機なのです。
少なくとも、私なんかがおいそれと持って良い代物では無いはずです。
「ごふっ!!」
「おばあちゃん!!おねがい!もう喋らないで!!」
しかし、おばあちゃんは静かに首を横に振ります。
「このバレッタの中には一機の魔導機甲が収納されているのさ・・だけど、ご先祖様の話によれば動かすためには人間離れした・・それこそ勇者様程の魔導の資質が必要だと言われているんだよ」
「私達はついぞ動かすことは叶わなかったが、おばあちゃんはアリアにならきっと動かせると思っているんだよ」
おばあちゃんは優しく微笑みながら私の頬に手を添えます。
その手を私は必死に握り返します。
「いいかい?もし、これから先アリアが必要と思った時は、そのバレッタから魔導機甲を呼び出すんだよ?」
「きっとそのバレッタがこれからアリアの事を護ってくれる。だから、泣かないで・・アリア・・強く、生きるんだよ」
「おばあちゃんはこれからもずっとアリアの胸の中で生きていくよ。だから・・きっと普通の幸せを掴みんだよ・・愛しのアリア・・」
「イヤだよ!おばあちゃん!ずっと私と暮らしていくんでしょ!?本洗礼の時は一緒に教会へ行ってくれるんでしょ!?」
私は必死におばあちゃんに語りかけます。
「おはあ・・ちゃん?」
しかし、静かに目を閉じたおばあちゃんは、二度と目を開けることはありませんでした。
「嘘・・嘘よ!!おばあちゃん!!おばあちゃーーん!!うわあぁぁぁぁ!!」
そして、私は燃え盛る炎の中でおばあちゃんを抱きしめながらひとしきり泣きました。
ズーン・・ズーン・・。
その時、背後からわずかな揺れと共に大きな足音が聞こえてきました。
「・・っ!鬼・・」
私は後ろ髪を引かれる思いでおばあちゃんを置いて家を飛び出します。
そこには、先程の鬼がいました。
そして、鬼の首元を見ると、そこには無骨なデザインの首輪が嵌っていました。
私の予想が正しければ、鬼は首に嵌められた首輪に操られて『ライズ』の町を襲ったのだと思います。
「そうですか・・全部あの『魔導機甲』の仕業なんですね」
全てを悟った私には、言いようのない怒りが湧き上がってきていました。
「どんな理由か分かりませんが・・なんの罪もない人達を・・『ライズ』の町を・・そして、大切なおばあちゃんを・・」
「私から全てを奪ったあなた達を!私は許しません!!」
私は手にしたバレッタを自分の黒い髪に付けると、考えを巡らせます。
もし、私のご先祖様が遺したこのバレッタが、『女神ハーティルティア』様によって生み出された『神器』と言うのでしたら・・。
このバレッタに収められた魔導機甲・・いえ、『人工女神』の名を、私は知っています。
それは、歴史の中で行方がわからなくなったと言い伝えられている、今から千年前に『女神ハーティルティア』様と共に『邪神デスティウルス』を滅ぼした二機の『人工女神』の一つ。
それは、『白と黒』の一つ。
それは、人智を超えた『神の力』。
私は歴史に刻まれた、伝説の名前を口にしました。
「お願いします!『メルティーナ』!!私に力を貸してください!」
パアァァァァ!!
直後、バレッタから眩い白銀の光が放たれました。
「えへへ・・お肉屋さんのおじさんに良い部位のオーク肉をおまけしてもらっちゃった!沢山買えたし、おばあちゃんも喜んでくれるかな?」
私は今日の戦利品を荷台に載せると、帰路につくために運転席へ腰掛けます。
「よし、帰りも安全うん・・・」
そして、うきうきしながら魔導三輪を走らせようとした、その時・・・。
ドオォォォォン!!
突然、遠くから凄まじい爆発音が聞こえてきました。
「なんだ!?」
「一体何の音だ!?」
突然の出来事に、辺りも騒然となります。
ゴゴゴゴ・・・・。
そして、その直後・・建物の向こうから信じられないものが姿を覗かせました。
「あれはっ!?鬼!?しかも何体もいるぞ!?」
狼狽える男性が指差す先には、確かに瓦葺きの建物よりも遥かに巨大な鬼の姿がありました。
鬼は平均的な体長が十メートルにもなる、頭部に角を持った人型の魔獣です。
私の住む『アーティナイ列島』全域に生息していて、大陸で言う『ゴーレム』と同じく、討伐には複数の上級冒険者が必要となる非常に脅威的な魔獣です。
それが、複数体も同時に町へ現れたのです。
バアァァァン!!
鬼は無慈悲にも、その剛腕で瓦葺きの民家を次々と薙ぎ倒していきます。
この町の民家の殆どは『カームクラン様式』という木造瓦葺きの建物であり、十メートルにもなる鬼はいとも容易くそれらの建物を次々と破壊していきます。
「きゃああああ!」
「ぐべっ!」
そして、逃げ惑う人々を嘲笑うかのように鬼は殺戮と破壊活動を続けています。
「あ・・あ・・あ・・」
あまりの出来事に、私は声を発することができません。
今まで複数の鬼を相手にするような機会は冒険者達にもなかったはずです。
到底、この町の冒険者達では太刀打ちできません。
そして、隣町である『ヨークスカ』の駐在軍や首都『カームクラン』の連邦軍が到着する前に『ライズ』の町が壊滅してしまうことは火を見るよりも明らかでした。
「おいっ!?工場地区が燃えているぞ!?」
「!?」
私は近くのおじさんが叫ぶ声を聞いて、工場地区へと目を向けます。
私とおばあちゃんは裕福ではないので、賃料が安い工場地区内の住居を借りて住んでいます。
そして、その工場地区が燃えている・・。
私は一気に体温が下がった錯覚を感じました。
「おばあちゃん!!」
話を聞いた私は、焦りながら魔導三輪を走らせようとします。
「きゃあああ!!?」
「うわあぁぁぁ」
しかし、街道は逃げ惑う人や壊れた建物の残骸で封鎖されて、とても走れそうにありません。
「っ!!」
私は仕方なく、走って家まで帰ることにしました。
「はあ!はあ!・・・っ!?」
工場地区から逃げる人達に何度もぶつかりながらも私はひたすら走り続けました。
「っ!?ああ!?私たちの家が!?」
夢中で走り続けた私は、漸く自分の家に辿り着きました。
けれど、おばあちゃんと暮らしてきた家は、激しい炎に飲まれながら今にも崩れそうになっていました。
ゴオォォォッ!!
「!?」
その時、近くから凄まじい轟音が聞こえてきました。
それは、間違いなく高出力の『発導機』が稼働する音でした。
ゴウゥゥゥ!!
『おいっ!!ここらはあらかた焼き尽くしたぜ!』
『よし、このまま市街地も焼き尽くすぞ、いいか?皆殺しだ』
『『ライズ』の町は鬼の『大量襲撃』で全滅、それが『黒の君』のシナリオだからな』
その時、轟音のする方から、複数の『拡声魔導』による声が聞こえてきました。
私が声の方に目を向けると、そこには二機の魔導機甲が『火炎魔導』を放っている姿がありました。
『よーし、もういいだろう!とっとと市街地に行ってズラかるぞ!』
『それにしても、本当にこんな田舎の工場町に新型の機体があったなんてな・・確かにこんな機体が量産できたら、『黒の君』の崇高なお望みも叶えられるかもやしれん』
『ああ、この町の住民には悪いが、我々の礎となる為に死んでもらおう』
キイィィィィィ!!
ゴウゥゥゥ!!
「きゃあ!?」
私は二機の魔導機甲が離陸することで発生した暴風で飛ばされそうになるのを必死に耐えました。
先程の魔導機甲がなぜこのような事をするのかわかりませんが、今の私にはおばあちゃんの安否を確認する事が最優先です。
「おばあちゃん!!」
バァン!
不幸中の幸いで先程の暴風によって家を焼く炎が弱まったので、朽ち果てた玄関の引き違い扉を体当たりで破って家の中に転がり込みます。
「ごぼっ!!おばあちゃん!どこにいるの!?」
私は燃え盛る炎による煙に咽せながらも、必死におばあちゃんの姿を探します。
「ア・・アリ・・ア」
「っ!?おばあちゃん!!」
微かな声を頼りに床を這っていくと、家の隅で血を流して倒れているおばあちゃんを見つけました。
「っ!?おばあちゃん!足が!?」
おばあちゃんの足元に目を向けると、そこには崩れた屋根の瓦礫が積み上がっていました。
「今助けるからっ!!」
私は慌てておばあちゃんの上に積み上がった瓦礫に手をかけようとします。
「おばあちゃんはもう駄目だよ・・ごめんね、アリア・・コレを置いていくわけにはいかないから物置まで取りに戻ったんだけど、そのせいで逃げ遅れてしまってねぇ・・」
そう言うと、おばあちゃんは掌に収まっている薔薇をモチーフにしたバレッタを私に手渡しました。
手にしたバレッタはとても精巧に出来ていて、宝石は一切付いていませんが一目で市販のものではない特別な逸品とわかりました。
そして、そのバレッタは高価な純粋魔導銀よりも美しい白銀の色でした。
「コレは一体!?どうしてこんな物のためにおばあちゃんが!!イヤ!!私、おばあちゃんを置いてはいけない!!」
私はすぐにバレッタに興味を無くしておばあちゃんに泣き縋りました。
しかし、おばあちゃんは首を横にふると、血に濡れた手で優しく私を撫でました。
「いいかい?よく聞くんだよ?このバレッタは私達の家系に代々受け継がれたもので、本当はアリアが成人した時に渡そうとした物だよ」
「このバレッタは『神白銀』で出来ていてね、生み出された時から一時も欠かす事なく『収納魔導』が発導し続けているんだよ」
「プラ・・ティウム」
私は、おばあちゃんから聞いた話を俄かには信じられませんでした。
そして、私は受け取ったバレッタが『神白銀』で出来ていると聞いてから、手の震えが止まらなくなってしまいました。
『神白銀』とは、マナ抵抗が全く存在せず永遠に劣化する事が無い、この世界でただ一つの特別な素材なのです。
そして、この『神白銀』を錬金する事ができるのは、この世界ではただ一方だけなのです。
それは・・『女神ハーティルティア』様です。
故に、『神白銀』が用いられた全ての魔導具は『女神様』が手ずから生み出した『神器』と言うことになります。
そして、世界にある全ての『神白銀』は『神聖リーフィア神帝国』によってその所在が厳重に管理されていると聞きます。
しかも、このバレッタは『収納魔導』を常時発動できるほどのマナを出力できる、超小型の発導機なのです。
少なくとも、私なんかがおいそれと持って良い代物では無いはずです。
「ごふっ!!」
「おばあちゃん!!おねがい!もう喋らないで!!」
しかし、おばあちゃんは静かに首を横に振ります。
「このバレッタの中には一機の魔導機甲が収納されているのさ・・だけど、ご先祖様の話によれば動かすためには人間離れした・・それこそ勇者様程の魔導の資質が必要だと言われているんだよ」
「私達はついぞ動かすことは叶わなかったが、おばあちゃんはアリアにならきっと動かせると思っているんだよ」
おばあちゃんは優しく微笑みながら私の頬に手を添えます。
その手を私は必死に握り返します。
「いいかい?もし、これから先アリアが必要と思った時は、そのバレッタから魔導機甲を呼び出すんだよ?」
「きっとそのバレッタがこれからアリアの事を護ってくれる。だから、泣かないで・・アリア・・強く、生きるんだよ」
「おばあちゃんはこれからもずっとアリアの胸の中で生きていくよ。だから・・きっと普通の幸せを掴みんだよ・・愛しのアリア・・」
「イヤだよ!おばあちゃん!ずっと私と暮らしていくんでしょ!?本洗礼の時は一緒に教会へ行ってくれるんでしょ!?」
私は必死におばあちゃんに語りかけます。
「おはあ・・ちゃん?」
しかし、静かに目を閉じたおばあちゃんは、二度と目を開けることはありませんでした。
「嘘・・嘘よ!!おばあちゃん!!おばあちゃーーん!!うわあぁぁぁぁ!!」
そして、私は燃え盛る炎の中でおばあちゃんを抱きしめながらひとしきり泣きました。
ズーン・・ズーン・・。
その時、背後からわずかな揺れと共に大きな足音が聞こえてきました。
「・・っ!鬼・・」
私は後ろ髪を引かれる思いでおばあちゃんを置いて家を飛び出します。
そこには、先程の鬼がいました。
そして、鬼の首元を見ると、そこには無骨なデザインの首輪が嵌っていました。
私の予想が正しければ、鬼は首に嵌められた首輪に操られて『ライズ』の町を襲ったのだと思います。
「そうですか・・全部あの『魔導機甲』の仕業なんですね」
全てを悟った私には、言いようのない怒りが湧き上がってきていました。
「どんな理由か分かりませんが・・なんの罪もない人達を・・『ライズ』の町を・・そして、大切なおばあちゃんを・・」
「私から全てを奪ったあなた達を!私は許しません!!」
私は手にしたバレッタを自分の黒い髪に付けると、考えを巡らせます。
もし、私のご先祖様が遺したこのバレッタが、『女神ハーティルティア』様によって生み出された『神器』と言うのでしたら・・。
このバレッタに収められた魔導機甲・・いえ、『人工女神』の名を、私は知っています。
それは、歴史の中で行方がわからなくなったと言い伝えられている、今から千年前に『女神ハーティルティア』様と共に『邪神デスティウルス』を滅ぼした二機の『人工女神』の一つ。
それは、『白と黒』の一つ。
それは、人智を超えた『神の力』。
私は歴史に刻まれた、伝説の名前を口にしました。
「お願いします!『メルティーナ』!!私に力を貸してください!」
パアァァァァ!!
直後、バレッタから眩い白銀の光が放たれました。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる