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プロローグ
『メルティーナ』の力2
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目の前で殺された親子を目の当たりにした私の心の中に、どす黒い感情が湧き上がっていくのを感じました。
『許し・・ません』
そして、私は『メルティーナ』の掌を男達に向けます。
直後、その掌から魔導式が展開します。
『バカな!?『魔導増幅杖』を使わずに直接魔導を発動するつもりか!?』
私の意図に気付いた魔導機甲が退避行動を取りますが、もう間に合いません。
『ファイヤーボール!!』
そして、怒りの感情に任せて『初球火属性魔導』である『ファイヤーボール』を放とうとした、その時・・。
ドォォォォン!!
『やめるんだっ!』
突如、『ファイヤーボール』の射線上に白銀色をした魔導機甲が降り立ちました。
『っ!?』
私は立ちはだかった魔導機甲を巻き込まない為、咄嗟に掌を逸らして魔導を発動しました。
ギュウウゥゥゥン!!
直後、解除が間に合わずに放たれた火球が明後日の方向に飛んでいきます。
そのまま、火球は遥か彼方の山に命中して・・。
ピカッ!!
激しい閃光と共に、命中した山を消し飛ばしました。
チュドォォォォン!!!
それから数秒遅れて、凄まじい爆音が『メルティーナ』の元まで響いて来ました。
その、あまりに強大な威力に私自身も驚きを隠せません。
目の前に立ちはだかった機体に乗る人物が何者かは分かりませんが、もし私がそのまま魔導を発動していたら、間違いなく『ヨークスカ』の町は焦土と化していたに違いありません。
冷静になってみると、自身のしでかしたことに恐怖を覚えてしまいました。
『まさか・・『メルティーナ』の力がこれ程とは・・な』
『『・・・・・・・』』
そして、たった一撃の『ファイヤーボール』で標高千メートル近い山が蒸発したのを目の当たりにした男達は無言で消えた山を眺めていました。
程なくして、まるで今まで止まっていた時間が動き出すように、魔導機甲に乗った男の一人が声をあげました。
『っ!かっ・・頭ァ!今別働隊から入電があった!無事『ヨークスカ』造船所にあった新型『飛行魔導神殿』の奪取に成功したようだぜ!』
『・・陽動はひとまず成功・・といえるのか・・どちらにせよ潮時だな、この件も『黒の君』に報告しなければ』
『よし、全機退却だ!』
『『了解!』』
キィィィ!!
『っ!?』
私は逃げる為に離陸する魔導機甲を追いかけようとしましたが・・。
『待ってくれ!!』
再び白銀の機体から発せられた声が私を制止します。
『あ・・・』
そうこうしている間に、魔導機甲は遥か彼方まで飛び去ってしまいました。
キィィィン!
イィィィィン!!
そして、飛び去った機体と代わるように、十機程になる複数の魔導機甲が、『メルティーナ』を包囲するように降り立ちました。
それらの肩部装甲には『イルティア自治国』と『アーティナイ連邦軍』の紋章が同数ずつ描かれていました。
『殿下!ご無事ですか!!』
『ああ、問題ない。だが、報告にあった五年前に奪われた魔導機甲は取り逃したようだ』
『・・しかも、魔導機甲の襲撃はどうやら陽動らしい』
『敵の本命は『ヨークスカ』に停泊していた『新造艦』だったようだな・・そして、そちらは既に海路で脱出したらしい』
『・・魔導機甲はまだいいが、『飛行魔導神殿』は機関に神白銀製の発導機を搭載しているから全ての艦が『女神ハーティルティア』様の物となっている・・それが奪われたとなると、気が重くなるな』
『っ!?我々の力不足で申し訳ありません!』
『・・いずれにしても『神帝国』には報告をあげないといけないな』
後からやってきた魔導機甲に搭乗する騎士の恭しい態度と呼び方からすると、恐らく私を制止した方は『神聖イルティア自治国』の王族の方なのでしょう。
でしたら、平民の私は今すぐ『メルティーナ』から降りて膝をつかないといけないのですが・・。
私には今もなお赤熱する地面に降りる勇気がありません。
仕方なく不敬とは思いながらも『メルティーナ』の膝部装甲を地につけようとした時・・・。
ジャキッ!!
華美な装飾と衝槍を携えた機体は近衛騎士のものでしょうか。
『メルティーナ』が動き出した事に気づいた複数の魔導機甲が、装備している槍をこちらに向けて来ました。
『そこの黒い魔導機甲!!勝手に動くことは認めない!!大人しく武装解除して投降しろ!!』
どうやら、『メルティーナ』が黒い機体だからか、先程逃げた魔導機甲の一味と思われているようです。
『何をしている!!アーヴィン!!その機体は私の『プラタナ』と同じ人工女神だ!先程の魔導を見ただろう!お前達が束になってかかっても相手にもならないぞ!』
『それに、『メルティーナ』が本当に遺された資料と同じ性能だとしたら、仮に生身の『騎士』相手でも太刀打ちできない筈だ』
『『プラタナ』・・!』
私はその名を聞いて驚愕しました。
『プラタナ』は世界に二機だけ存在する人工女神のうち、勇者クラリス様によって設計された機体です。
と言うことは、陽の光を反射して輝く白銀の機体は全て神白銀製の筈です。
・・それにしても、この人は私の事をなんだと思っているのでしょうか。
確かに得体の知れない人物だというのは否定できませんが、仮にも女性相手に生身で魔導機甲と戦えるような言い回しは失礼すぎます。
『レディ、私の部下が失礼した。見ての通り、私達は『ヨークスカ』の襲撃を聞いて駆けつけた者だ』
『先程の出来事を君に詳しく聞きたい。それに、君の乗るその機体、『メルティーナ』についてもね』
バシュウ・・・。
すると、突然白銀の機体の背部ハッチが開きました。
ヒュウウウン!!ピトッ!
そして、コクピットの中から発射されたワイヤーの先端が肩部装甲に張り付くと、再びワイヤーが巻き取られていきます。
そして、巻き取られるワイヤーに引かれながら一人の男性が肩部装甲の上に降り立ちました。
『っ!?殿下!!危ないですよ!!』
しかし、降り立った男性は騎士の声を聞き入れずに私の方へと目を向ける。
相手が機体から降りて来た以上、私も姿を現さないといけません。
バシュウ・・ウィィィン!
背部ハッチを解放した私は搭乗した時のように『メルティーナ』の装甲を軽やかに伝いながら肩部装甲の上に立ちました。
『ほぅ・・・』
その様子を見ていたどこかの魔導機甲から感嘆の声が聞こえて来ました。
激しい戦闘で障害物がなくなった機体の上には強い風が吹いています。
その風で靡く黒髪を手で押さえながら、私は相対する男性に目を向けます。
その姿を見て、私は目を見開きました。
機体に乗っていたのは、私と同じ年くらいの男の子でした。
そして、美しいプラチナブロンドの髪は『プラタナ』と同じように陽の光を反射して、遠く離れていても背の高くてスタイルがいいのがよくわかりました。
髪と同じプラチナブロンドの瞳が収まった目は切長で、スッと整った鼻にほっそりとした顔のラインが、まるで教会に描かれる神々のように神々しい美しさを秘めていました。
彼が身に纏っている、まるで乗馬服のような動きやすい服装は、おそらく人工女神に搭乗する為に誂えたオートクチュールと思われます。
そして、いやらしくない程度に各所に施された魔導銀糸の刺繍の意匠を見れば、一目でとてつもない高級品であることがわかります。
そんな、まるで『神族』の生まれ変わりのように美しい姿を見て、私は今までの人生で感じたことのないような胸の高まりを覚えました。
「私の名は『レオンハルト・サークレット・イルティア』!!『神聖イルティア自治国』の第一王子だ!!」
『レオンハルト』と名乗った彼の声は、二機の人工女神同士の遠い距離でもよく通るバリトンボイスの持ち主でした。
「失われた『黒の人工女神』の騎士よ!!!君の名は何という!?」
相手が名前を教えてくれた以上、私も名乗らないと失礼になります。
何より、相手は一自治国の王子様です。
私は『すぅ』と大きく息を吸うと、できる限り大きな声で言いました。
「私の名は・・・・『アリア』です!!!」
私の声を聞いたレオンハルト様は目を大きく見開きました。
その頬は大きな声を上げたからなのか、少し赤くなっています。
もしかしたら、私も顔が赤くなっているかもしれません。
何故なら、自分でもわかるくらい、顔が熱くなっているからです。
そして、この出会いをきっかけに私の運命が大きく変わることになるなんて、この時は知る由もありませんでした。
-Continue to the next chapter....-
『許し・・ません』
そして、私は『メルティーナ』の掌を男達に向けます。
直後、その掌から魔導式が展開します。
『バカな!?『魔導増幅杖』を使わずに直接魔導を発動するつもりか!?』
私の意図に気付いた魔導機甲が退避行動を取りますが、もう間に合いません。
『ファイヤーボール!!』
そして、怒りの感情に任せて『初球火属性魔導』である『ファイヤーボール』を放とうとした、その時・・。
ドォォォォン!!
『やめるんだっ!』
突如、『ファイヤーボール』の射線上に白銀色をした魔導機甲が降り立ちました。
『っ!?』
私は立ちはだかった魔導機甲を巻き込まない為、咄嗟に掌を逸らして魔導を発動しました。
ギュウウゥゥゥン!!
直後、解除が間に合わずに放たれた火球が明後日の方向に飛んでいきます。
そのまま、火球は遥か彼方の山に命中して・・。
ピカッ!!
激しい閃光と共に、命中した山を消し飛ばしました。
チュドォォォォン!!!
それから数秒遅れて、凄まじい爆音が『メルティーナ』の元まで響いて来ました。
その、あまりに強大な威力に私自身も驚きを隠せません。
目の前に立ちはだかった機体に乗る人物が何者かは分かりませんが、もし私がそのまま魔導を発動していたら、間違いなく『ヨークスカ』の町は焦土と化していたに違いありません。
冷静になってみると、自身のしでかしたことに恐怖を覚えてしまいました。
『まさか・・『メルティーナ』の力がこれ程とは・・な』
『『・・・・・・・』』
そして、たった一撃の『ファイヤーボール』で標高千メートル近い山が蒸発したのを目の当たりにした男達は無言で消えた山を眺めていました。
程なくして、まるで今まで止まっていた時間が動き出すように、魔導機甲に乗った男の一人が声をあげました。
『っ!かっ・・頭ァ!今別働隊から入電があった!無事『ヨークスカ』造船所にあった新型『飛行魔導神殿』の奪取に成功したようだぜ!』
『・・陽動はひとまず成功・・といえるのか・・どちらにせよ潮時だな、この件も『黒の君』に報告しなければ』
『よし、全機退却だ!』
『『了解!』』
キィィィ!!
『っ!?』
私は逃げる為に離陸する魔導機甲を追いかけようとしましたが・・。
『待ってくれ!!』
再び白銀の機体から発せられた声が私を制止します。
『あ・・・』
そうこうしている間に、魔導機甲は遥か彼方まで飛び去ってしまいました。
キィィィン!
イィィィィン!!
そして、飛び去った機体と代わるように、十機程になる複数の魔導機甲が、『メルティーナ』を包囲するように降り立ちました。
それらの肩部装甲には『イルティア自治国』と『アーティナイ連邦軍』の紋章が同数ずつ描かれていました。
『殿下!ご無事ですか!!』
『ああ、問題ない。だが、報告にあった五年前に奪われた魔導機甲は取り逃したようだ』
『・・しかも、魔導機甲の襲撃はどうやら陽動らしい』
『敵の本命は『ヨークスカ』に停泊していた『新造艦』だったようだな・・そして、そちらは既に海路で脱出したらしい』
『・・魔導機甲はまだいいが、『飛行魔導神殿』は機関に神白銀製の発導機を搭載しているから全ての艦が『女神ハーティルティア』様の物となっている・・それが奪われたとなると、気が重くなるな』
『っ!?我々の力不足で申し訳ありません!』
『・・いずれにしても『神帝国』には報告をあげないといけないな』
後からやってきた魔導機甲に搭乗する騎士の恭しい態度と呼び方からすると、恐らく私を制止した方は『神聖イルティア自治国』の王族の方なのでしょう。
でしたら、平民の私は今すぐ『メルティーナ』から降りて膝をつかないといけないのですが・・。
私には今もなお赤熱する地面に降りる勇気がありません。
仕方なく不敬とは思いながらも『メルティーナ』の膝部装甲を地につけようとした時・・・。
ジャキッ!!
華美な装飾と衝槍を携えた機体は近衛騎士のものでしょうか。
『メルティーナ』が動き出した事に気づいた複数の魔導機甲が、装備している槍をこちらに向けて来ました。
『そこの黒い魔導機甲!!勝手に動くことは認めない!!大人しく武装解除して投降しろ!!』
どうやら、『メルティーナ』が黒い機体だからか、先程逃げた魔導機甲の一味と思われているようです。
『何をしている!!アーヴィン!!その機体は私の『プラタナ』と同じ人工女神だ!先程の魔導を見ただろう!お前達が束になってかかっても相手にもならないぞ!』
『それに、『メルティーナ』が本当に遺された資料と同じ性能だとしたら、仮に生身の『騎士』相手でも太刀打ちできない筈だ』
『『プラタナ』・・!』
私はその名を聞いて驚愕しました。
『プラタナ』は世界に二機だけ存在する人工女神のうち、勇者クラリス様によって設計された機体です。
と言うことは、陽の光を反射して輝く白銀の機体は全て神白銀製の筈です。
・・それにしても、この人は私の事をなんだと思っているのでしょうか。
確かに得体の知れない人物だというのは否定できませんが、仮にも女性相手に生身で魔導機甲と戦えるような言い回しは失礼すぎます。
『レディ、私の部下が失礼した。見ての通り、私達は『ヨークスカ』の襲撃を聞いて駆けつけた者だ』
『先程の出来事を君に詳しく聞きたい。それに、君の乗るその機体、『メルティーナ』についてもね』
バシュウ・・・。
すると、突然白銀の機体の背部ハッチが開きました。
ヒュウウウン!!ピトッ!
そして、コクピットの中から発射されたワイヤーの先端が肩部装甲に張り付くと、再びワイヤーが巻き取られていきます。
そして、巻き取られるワイヤーに引かれながら一人の男性が肩部装甲の上に降り立ちました。
『っ!?殿下!!危ないですよ!!』
しかし、降り立った男性は騎士の声を聞き入れずに私の方へと目を向ける。
相手が機体から降りて来た以上、私も姿を現さないといけません。
バシュウ・・ウィィィン!
背部ハッチを解放した私は搭乗した時のように『メルティーナ』の装甲を軽やかに伝いながら肩部装甲の上に立ちました。
『ほぅ・・・』
その様子を見ていたどこかの魔導機甲から感嘆の声が聞こえて来ました。
激しい戦闘で障害物がなくなった機体の上には強い風が吹いています。
その風で靡く黒髪を手で押さえながら、私は相対する男性に目を向けます。
その姿を見て、私は目を見開きました。
機体に乗っていたのは、私と同じ年くらいの男の子でした。
そして、美しいプラチナブロンドの髪は『プラタナ』と同じように陽の光を反射して、遠く離れていても背の高くてスタイルがいいのがよくわかりました。
髪と同じプラチナブロンドの瞳が収まった目は切長で、スッと整った鼻にほっそりとした顔のラインが、まるで教会に描かれる神々のように神々しい美しさを秘めていました。
彼が身に纏っている、まるで乗馬服のような動きやすい服装は、おそらく人工女神に搭乗する為に誂えたオートクチュールと思われます。
そして、いやらしくない程度に各所に施された魔導銀糸の刺繍の意匠を見れば、一目でとてつもない高級品であることがわかります。
そんな、まるで『神族』の生まれ変わりのように美しい姿を見て、私は今までの人生で感じたことのないような胸の高まりを覚えました。
「私の名は『レオンハルト・サークレット・イルティア』!!『神聖イルティア自治国』の第一王子だ!!」
『レオンハルト』と名乗った彼の声は、二機の人工女神同士の遠い距離でもよく通るバリトンボイスの持ち主でした。
「失われた『黒の人工女神』の騎士よ!!!君の名は何という!?」
相手が名前を教えてくれた以上、私も名乗らないと失礼になります。
何より、相手は一自治国の王子様です。
私は『すぅ』と大きく息を吸うと、できる限り大きな声で言いました。
「私の名は・・・・『アリア』です!!!」
私の声を聞いたレオンハルト様は目を大きく見開きました。
その頬は大きな声を上げたからなのか、少し赤くなっています。
もしかしたら、私も顔が赤くなっているかもしれません。
何故なら、自分でもわかるくらい、顔が熱くなっているからです。
そして、この出会いをきっかけに私の運命が大きく変わることになるなんて、この時は知る由もありませんでした。
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