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第一章 入学編
『エルフ』の学園長と新しい侍女
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それから程なくして学園併設の港に『サイナード』が着水すると、私達はそのまま学園長室へ案内されました。
私の持ってきた荷物(といってもトランク一つのですが・・)はその間に、私がこれから住む学生寮の自室へ運ばれるそうです。
案内された学長室は重厚かつ格式高い内装で、幾つかの高そうな調度品が置かれています。
その中でも特に目を引くのは、大きな木製の執務机の後ろに飾られた魔導銀製の『女神ハーティルティア像』でした。
学園長室に入室して真っ先に目に入ったその像に釘付けになっていると、執務机の革椅子に腰掛けていた『エルフ』の金髪美女が立ち上がって歩み寄ってきました。
『エルフ』とは、大陸南部に位置する『リーフィアの樹海』の中にある『神帝国』の聖都『リーフィア』という場所にのみ住んでいるとされる希少な種族です。
『エルフ』は千年を超えると言われる長い寿命を持っている種族で、成人した後は死ぬまで見た目の老化は起こらないそうです。
その為、外観からは当人の年齢は全くわからず、総じて非常に魔導に長けていて、男女共に明るい金髪と瞳を持った美しい容姿を持っています。
そして、『エルフ』はハーティルティア様の玉座がある聖都に住んでいること、寿命が長いこと、魔導に長けることから、自分たちが最もかつての『神族』に近い種族であると誇りをもっているそうです。
ですが、基本的に『エルフ』は聖都から外に出ることはなく、聖都に住んでいる人以外が『エルフ』を目にする事は滅多にありません。
もちろん、私も『エルフ』と会うのは初めてです。
「見事な彫刻でしょう?この『女神像』は名工シグルド様の晩年に彫刻された逸品よ」
美女金髪『エルフ』さんは、私が見ていた『女神像』を得意げに説明します。
「えっ!?シグルド様の作品なんですか!?」
「この学園は歴代の『イルティア』国王も学ばれた伝統ある学園だからね、学園内には他にもシグルド様の作品が沢山あるわ」
シグルド様は今よりも『エルフ』の存在が珍しかった千年前に、当時の『魔導帝国オルテアガ』で活躍していた武器職人兼芸術家の男性でした。
そして、ハーティルティア様が『帝都リスラム』に滞在された時、『神剣』を創造する為に必要となった素体となる魔導銀剣を献上し、その礼として『神剣』を賜った伝説の『エルフ』です。
シグルド様はその後生涯に渡り『女神教』普及に尽力し、今から百年程前に老衰で亡くなったのですが、彼の作品は今でも名作として高値で取引されているそうです。
「っと、話が逸れたわね。私は『クローディア』。見ての通り『エルフ』よ」
「まあ、年齢は秘密ということで」
そう言いながら、クローディアさんはウィンクをしました。
「クローディアさんは、私の十代前の先祖が『イルティア自治国』を治めていた時代からこの学園を取り仕切っているんだ」
「殿下!そんなこと言ったら何気に私の年齢がバレますからおやめになってください!」
ぷりぷりと怒るクローディアさんは、どう見ても二十代前半くらいの美女です。
腰まである緩やかなウェーブの髪と、レディーススーツのタイトなミニスカートから伸びる白い足がとってもセクシーで、実年齢がいくつであっても魅力的に見えます。
なによりも、『エルフ』である以上は肉体年齢的にも若々しい筈ですが・・・。
やはり女性は、たとえ長寿な『エルフ』であっても年齢を気にするものなんですね。
「こほんっ!それはさておき・・・」
クローディアさんは咳払いをすると、私の全身を遠目で眺めはじめました。
「?」
私はその様子をみて首を傾げます。
「ああ・・ごめんなさい、不躾だったわね。知っているかもしれないけど、『エルフ』は種族の特性で人の持つ『存在』の『色』を『視る』ことができるのよ」
「試に貴女の『存在』を視させてもらったけど、確かに『邪神』のような黒い『色』を持っているわね」
「っ!?」
私はクローディアさんの話を聞いて、目を見開きました。
「だけど、完全に『邪神』の色というわけではない・・なんだろう、一部に『白銀』が練混ざったような・・そんな不思議な『色』だわ」
「いずれにしてもあなただけが持つ『色』であることは間違いないわね」
「私はあなたの『色』を素敵に想うわ。かつてのナラトス様と『女神様』のように・・『邪神』と『神族』が交じり合った色・・」
「だから、貴女には自分の『存在』に誇りを持ってほしいわ」
「・・ありがとうございます」
私は、クローディアさんの話を聞いて、とても嬉しく思いました。
「アリアさんのことは『イルティア王家』から聞いています。突然の事で戸惑っているかもしれませんが、本学園は責任持って貴女を淑女、そして立派な『騎士』に育てあげます」
「だから、貴女はこれからここでしっかりと学んで行ってね」
「は、はい!宜しくお願いします」
レオンハルト殿下もクローディアさんの言葉に続きます。
「この学園は貴族の子息、令嬢が将来の紳士・淑女となるべく学ぶ学校だ」
「そして、ここでは王族である私でも、只の一生徒となる」
「この学園では、同じ生徒である以上は『親の爵位に関わらずに立場は対等』というのが基本として定められている」
「だが、実際にはそうとはいっても、『見えない上下関係』が生まれているのは事実だ」
「そんな中で、平民から公爵になった君は皆にとって良い刺激となるだろう」
「そして、同時にアリアの事を悪く言う輩も出てくるかもしれない」
「だけど、学園では私が全力で君のことをサポートするから安心してほしい。そして、アリアはせっかく手に入れた学園生活を存分に楽しんでくれ」
「っ!ありがとうございます!」
クローディアさんは、ぺこりと礼をする私とレオンハルト殿下を交互に見ています。
「ふーん・・なるほどね」
「?」
なにが『なるほど』なんでしょうか。
「ふふ・・若いって良いわね。私も三百年若ければなぁ・・あぁ学生時代に戻りたいわ!」
・・クローディアさん、自分で年齢をバラしているみたいなものですよ。
「っと、とりあえず着いたばかりで疲れたでしょう。早速明日から登校してもらうから、今から貴女が暮らす学生寮を案内するわ」
そう言うと、クローディアさんは手持ち式のエーテル通信機を操作しはじめました。
「あ、そうそう。これは『マギ・フォン』という、小型のエーテル通信端末よ」
「学生に一台ずつ貸与されるから、後で貴女の分も届けさせるわ」
発明から千年経って、小型省マナ化されたエーテル通信機ですが、私達庶民にとってはまだまだ高価な代物です。
それを無償で貸与してくれるのは、流石は貴族向けの学校といったところでしょうか。
「あと、これをアリアさんに渡しておくわ」
そう言うと、クローディアさんは一枚のカードを差し出してきました。
受け取ったカードには、私の名前が書かれていました。
「それは学生証よ。貴女の身分証明書と、寮館と自室の鍵を兼ねているわ」
「あと、必要なお金も学園の銀行からそれで引き出せるのよ」
「まあ、基本的には学園内の決済は全てそのカードで行なって、毎月末に一括で支払う仕組みだから、学園内で現金を使う事はないけどね」
「へぇ・・すごいです」
「ちなみに、再発行は大変だからくれぐれも無くさないでね」
「わかりました」
コンコン・・。
その時、学園長室の扉がノックされました。
「どうぞ」
「失礼します」
ガチャ・・・。
クローディアさんの返事で扉が開かれると、一人のメイド服を着た女性が入ってきました。
彼女は私より少し年上くらいに見える、スレンダーな体格の美人な女性でした。
そして、栗色の長髪はポニーテールに結い上げていて、前髪は眉の高さで切り揃えられています。
そんな彼女は私の前にやってくると美しい所作で一礼しました。
「彼女は『モニカ・フォン・ランゲル』、ランゲル子爵家の令嬢でこの学園の卒業生よ」
「そして、これからはアリアの専属侍女として身の回りの世話をしてくれる女性だ」
二人に紹介されたモニカさんは、私の目の前で再び恭しく礼をしました。
「はじめまして、私はモニカと申します。人工女神の『騎士』様の御側に就くことが出来るのを嬉しく思います」
「これから精一杯お世話致しますので、なんなりとお申し付けください」
「は、はい!宜しくお願いします!」
私はモニカさんに合わせて礼をしました。
そして、レオンハルト殿下とクローディアさんはその様子を見ながら微笑んでいました。
私の持ってきた荷物(といってもトランク一つのですが・・)はその間に、私がこれから住む学生寮の自室へ運ばれるそうです。
案内された学長室は重厚かつ格式高い内装で、幾つかの高そうな調度品が置かれています。
その中でも特に目を引くのは、大きな木製の執務机の後ろに飾られた魔導銀製の『女神ハーティルティア像』でした。
学園長室に入室して真っ先に目に入ったその像に釘付けになっていると、執務机の革椅子に腰掛けていた『エルフ』の金髪美女が立ち上がって歩み寄ってきました。
『エルフ』とは、大陸南部に位置する『リーフィアの樹海』の中にある『神帝国』の聖都『リーフィア』という場所にのみ住んでいるとされる希少な種族です。
『エルフ』は千年を超えると言われる長い寿命を持っている種族で、成人した後は死ぬまで見た目の老化は起こらないそうです。
その為、外観からは当人の年齢は全くわからず、総じて非常に魔導に長けていて、男女共に明るい金髪と瞳を持った美しい容姿を持っています。
そして、『エルフ』はハーティルティア様の玉座がある聖都に住んでいること、寿命が長いこと、魔導に長けることから、自分たちが最もかつての『神族』に近い種族であると誇りをもっているそうです。
ですが、基本的に『エルフ』は聖都から外に出ることはなく、聖都に住んでいる人以外が『エルフ』を目にする事は滅多にありません。
もちろん、私も『エルフ』と会うのは初めてです。
「見事な彫刻でしょう?この『女神像』は名工シグルド様の晩年に彫刻された逸品よ」
美女金髪『エルフ』さんは、私が見ていた『女神像』を得意げに説明します。
「えっ!?シグルド様の作品なんですか!?」
「この学園は歴代の『イルティア』国王も学ばれた伝統ある学園だからね、学園内には他にもシグルド様の作品が沢山あるわ」
シグルド様は今よりも『エルフ』の存在が珍しかった千年前に、当時の『魔導帝国オルテアガ』で活躍していた武器職人兼芸術家の男性でした。
そして、ハーティルティア様が『帝都リスラム』に滞在された時、『神剣』を創造する為に必要となった素体となる魔導銀剣を献上し、その礼として『神剣』を賜った伝説の『エルフ』です。
シグルド様はその後生涯に渡り『女神教』普及に尽力し、今から百年程前に老衰で亡くなったのですが、彼の作品は今でも名作として高値で取引されているそうです。
「っと、話が逸れたわね。私は『クローディア』。見ての通り『エルフ』よ」
「まあ、年齢は秘密ということで」
そう言いながら、クローディアさんはウィンクをしました。
「クローディアさんは、私の十代前の先祖が『イルティア自治国』を治めていた時代からこの学園を取り仕切っているんだ」
「殿下!そんなこと言ったら何気に私の年齢がバレますからおやめになってください!」
ぷりぷりと怒るクローディアさんは、どう見ても二十代前半くらいの美女です。
腰まである緩やかなウェーブの髪と、レディーススーツのタイトなミニスカートから伸びる白い足がとってもセクシーで、実年齢がいくつであっても魅力的に見えます。
なによりも、『エルフ』である以上は肉体年齢的にも若々しい筈ですが・・・。
やはり女性は、たとえ長寿な『エルフ』であっても年齢を気にするものなんですね。
「こほんっ!それはさておき・・・」
クローディアさんは咳払いをすると、私の全身を遠目で眺めはじめました。
「?」
私はその様子をみて首を傾げます。
「ああ・・ごめんなさい、不躾だったわね。知っているかもしれないけど、『エルフ』は種族の特性で人の持つ『存在』の『色』を『視る』ことができるのよ」
「試に貴女の『存在』を視させてもらったけど、確かに『邪神』のような黒い『色』を持っているわね」
「っ!?」
私はクローディアさんの話を聞いて、目を見開きました。
「だけど、完全に『邪神』の色というわけではない・・なんだろう、一部に『白銀』が練混ざったような・・そんな不思議な『色』だわ」
「いずれにしてもあなただけが持つ『色』であることは間違いないわね」
「私はあなたの『色』を素敵に想うわ。かつてのナラトス様と『女神様』のように・・『邪神』と『神族』が交じり合った色・・」
「だから、貴女には自分の『存在』に誇りを持ってほしいわ」
「・・ありがとうございます」
私は、クローディアさんの話を聞いて、とても嬉しく思いました。
「アリアさんのことは『イルティア王家』から聞いています。突然の事で戸惑っているかもしれませんが、本学園は責任持って貴女を淑女、そして立派な『騎士』に育てあげます」
「だから、貴女はこれからここでしっかりと学んで行ってね」
「は、はい!宜しくお願いします」
レオンハルト殿下もクローディアさんの言葉に続きます。
「この学園は貴族の子息、令嬢が将来の紳士・淑女となるべく学ぶ学校だ」
「そして、ここでは王族である私でも、只の一生徒となる」
「この学園では、同じ生徒である以上は『親の爵位に関わらずに立場は対等』というのが基本として定められている」
「だが、実際にはそうとはいっても、『見えない上下関係』が生まれているのは事実だ」
「そんな中で、平民から公爵になった君は皆にとって良い刺激となるだろう」
「そして、同時にアリアの事を悪く言う輩も出てくるかもしれない」
「だけど、学園では私が全力で君のことをサポートするから安心してほしい。そして、アリアはせっかく手に入れた学園生活を存分に楽しんでくれ」
「っ!ありがとうございます!」
クローディアさんは、ぺこりと礼をする私とレオンハルト殿下を交互に見ています。
「ふーん・・なるほどね」
「?」
なにが『なるほど』なんでしょうか。
「ふふ・・若いって良いわね。私も三百年若ければなぁ・・あぁ学生時代に戻りたいわ!」
・・クローディアさん、自分で年齢をバラしているみたいなものですよ。
「っと、とりあえず着いたばかりで疲れたでしょう。早速明日から登校してもらうから、今から貴女が暮らす学生寮を案内するわ」
そう言うと、クローディアさんは手持ち式のエーテル通信機を操作しはじめました。
「あ、そうそう。これは『マギ・フォン』という、小型のエーテル通信端末よ」
「学生に一台ずつ貸与されるから、後で貴女の分も届けさせるわ」
発明から千年経って、小型省マナ化されたエーテル通信機ですが、私達庶民にとってはまだまだ高価な代物です。
それを無償で貸与してくれるのは、流石は貴族向けの学校といったところでしょうか。
「あと、これをアリアさんに渡しておくわ」
そう言うと、クローディアさんは一枚のカードを差し出してきました。
受け取ったカードには、私の名前が書かれていました。
「それは学生証よ。貴女の身分証明書と、寮館と自室の鍵を兼ねているわ」
「あと、必要なお金も学園の銀行からそれで引き出せるのよ」
「まあ、基本的には学園内の決済は全てそのカードで行なって、毎月末に一括で支払う仕組みだから、学園内で現金を使う事はないけどね」
「へぇ・・すごいです」
「ちなみに、再発行は大変だからくれぐれも無くさないでね」
「わかりました」
コンコン・・。
その時、学園長室の扉がノックされました。
「どうぞ」
「失礼します」
ガチャ・・・。
クローディアさんの返事で扉が開かれると、一人のメイド服を着た女性が入ってきました。
彼女は私より少し年上くらいに見える、スレンダーな体格の美人な女性でした。
そして、栗色の長髪はポニーテールに結い上げていて、前髪は眉の高さで切り揃えられています。
そんな彼女は私の前にやってくると美しい所作で一礼しました。
「彼女は『モニカ・フォン・ランゲル』、ランゲル子爵家の令嬢でこの学園の卒業生よ」
「そして、これからはアリアの専属侍女として身の回りの世話をしてくれる女性だ」
二人に紹介されたモニカさんは、私の目の前で再び恭しく礼をしました。
「はじめまして、私はモニカと申します。人工女神の『騎士』様の御側に就くことが出来るのを嬉しく思います」
「これから精一杯お世話致しますので、なんなりとお申し付けください」
「は、はい!宜しくお願いします!」
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