邪神令嬢の学園事情

りゅうじんまんさま

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第一章 入学編

実機講習 ~エカテリーナ~

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『アリア、君は私達と一緒だ』

 専用機持ちは同じグループになるように決まっているのか、私はエカテリーナやレオンハルト様達と一緒に講習を受けることになりました。

 そして、私たちの前に片方の肩アーマーだけが赤く塗装された『ラピス・シックス』がやってきました。

 それは、おそらく教官機と生徒の機体を見分けることができるようにする為だと思います。

『本日教官を担当する『ジーク』です。今日はアリア嬢がいるので他の方にはおさらいになってしまいますが、本日の講習内容を説明します』

 ゴゴゴゴゴゴ・・・・。

 直後、私達のいるところから数百メートル離れた地面から、十数本の魔導機甲マギ・マキナくらいの大きさをした円柱状の物体がせり上がってきました。

 私達のいる場所の周囲には魔導機甲マギ・マキナが隠れる程の巨大な岩が多数あり、その影に隠れているものも数えたらもう少しあるかもしれません。

『今、地面から出てきたのは今回の講習で使う、大型魔獣を想定したターゲットです』

『このターゲット魔導機甲マギ・マキナと同じミスリル・アダマンタイト鋼で出来ていまして、『上級防御魔導』が付与されています』

『また、熱や衝撃によって一時的に表面の色が赤く変化する術式が刻まれています』

 今の話を聞いただけで、目の前のターゲットに相当なお金がかかっていることが分かりました。

 流石は貴族の学園と言ったところでしょうか。

『皆さんには今から順番に、指定した範囲内でランダムで出現する十個のターゲットを攻撃してもらいます』

『攻撃の手段は問いません。全てのターゲットが赤色に変化すれば、その時点で終了となります』

『私達が終了までの時間を計測しますので、皆さんはなるべく早く全てのターゲットを狙えるように頑張ってください』

『わかりました!』

『では、まず見本としてどなたかに実践をしてもらいますが・・』

『わたくしがやりますわ!!』

 ジーク教官が言い切る前に『フローレンス』が手を上げました。

『ではエカテリーナ嬢、さっそく準備をお願いします』

『了解しましたわ!!』

『フローレンス』は腰部マウントに装着された二本の小剣を逆手に持ちました。

 ギウゥゥゥゥン・・。

 そして、機体の腰を落とすと、踵部分に折り畳まれたローラーを展開しました。

 ゴゴゴゴゴゴ・・・。

 同時に、地面から十のターゲットが出現します。

『それでは、エカテリーナ嬢。カウントゼロで始めます!』

『承知致しましたわ!』

『五・・四・・三・・二・・一・・始め!!』

『『フローレンス』、行きます!!』

 ギィィィィン!!

 ドォォォォン!

 カウントゼロの瞬間、脚部ローラーから激しい火花を放ちながら、『フローレンス』が猛スピードで滑り出して行きました。

『まず、一つ目!ですわ!』

 ガキィィィン!!

『フローレンス』は早速手短なターゲットをすれ違いざまに斬りつけました。

 すると、瞬く間に青みがかった銀色のターゲットが赤色へと変化して行きました。

 キュイィィィン!!

 一つ目を倒した『フローレンス』は、まるでスケートのようなフォームで地面を滑りながら次のターゲットへと向かいます。

『二つ目!!』

 ガキィィィン!

 そして、二つ目を難なくこなした『フローレンス』でしたが、三つ目は機体の真後ろの方向にあります。

 すると、突然『フローレンス』が腕部を最寄りの岩へと向けました。

 バッシュウ!!

 直後、その腕部からワイヤーフックが発射されました。

 ガッ!

 ギィィィィン!!

 発射されたワイヤー先端にある返のついた楔が岩に突き刺さると、『フローレンス』はそれを軸にして急旋回しました。

『三つ目!!』

 バァァァァン!!

 そして、三つ目のターゲットに迫ると、そのままの勢いで回し蹴りを放ちました。

 ガガガガガ・・・!!

 華麗に着地した後も地面を滑っていく機体の速度を地面に鋭角に押し当てた脚部で殺した『フローレンス』は、その場でしゃがんだ体勢になりました。

 キイィィィィィ!!ズゴォ!!

 直後、真上に飛び上がると同時に、背部飛行ユニットに備わった『飛翔魔導』が発動しました。

 そして、『飛翔魔導』によって高度を上げた『フローレンス』は上空からターゲットの位置を目測すると、小剣を大きく振りかぶりながら急降下しました。

『はぁぁぁぁぁ!!』

 バァァァァン!!

 直後、上空から勢いよく振り下ろされた小剣とターゲットの『防御魔導』が激しく衝突する音が響き渡ります。

 地上と空中を踊るように駆け抜ける真紅の機体は、私の目にとても美しく映ります。

 そして、貴族令嬢のエカテリーナがこれ程までに高い魔導機甲マギ・マキナの操縦技術を持っているという事に驚かされました。

 私の『メルティーナ』とその他の魔導機甲マギ・マキナとは前傾姿勢で跨るタイプと着座に腰掛けるタイプで乗り方の違いがありますが、基本的に両手の操縦レバーとフットペダルを使うという操縦方法自体に大きな差はありません。

 ある程度思考操作による操縦補助もありますが、実際に身体を動かすのとは大きく勝手が違います。

 しかも、生身では到底出来ないような速度と挙動を伴うので、今の『フローレンス』程の動きを実現するには相当な技量が必要になってきます。

 そうこうしている間に九つのターゲットを赤く染めた『フローレンス』がその場で小剣を振りかぶります。

 キュイィィィン!!

『最後ぉぉぉぉ!!』

 ヴォン!!

 そして、脚部のローラーを使って勢いよく機体を回転させた速度を乗せながら、振りかぶっていた小剣を投擲しました。

 イィィィィン!!バァァァァン!!

 勢いよく飛び出した小剣は、そのまま吸い込まれるように最後のターゲットに命中しました。

『そこまで!!』

 同時に、ジーク教官が終了の号令をかけました。

『はぁ・・はぁ・・』

 エカテリーナの思考を読み取っているのか、『騎士ランナー』の呼吸に合わせて『フローレンス』が肩で息をしているように動きます。

『フローレンス嬢、只今の所要時間は四分五十秒です』

『やりましたわ!わたくし、五分をはじめて切りましたわ!!』


 ジーク教官の言葉を聞いた『フローレンス』がガッツポーズをしました。

『最後の移動時間を短縮する為に一か八かで小剣を投擲したのが功を奏しましたわ!!』

 ズシィン・・ズシィン。

『エカテリーナ、すごかったです!』

 私は、帰ってきた『フローレンス』のマニピュレーターを握りました。

『ランガース家の娘として当然ですわ!』

 そして、私達が話をしている間に、数機の教官機が『フローレンス』の攻撃したターゲットを再整備していました。

 それから数分程度の準備時間を挟んだ後、再びジーク教官の機体が私達の元へ戻ってきました。

『準備完了しました。では続いてユイ嬢、準備をお願いします』

『わかりました!』

 ジーク教官に促されて、次はユイちゃんの搭乗する『アラクネ』が配置につきました。




~設定資料~

高機動近接戦闘用魔導機甲『フローレンス』

魔導機甲生産大手の『ランガースインダストリー』を抱えるランガース侯爵家の令嬢、エカテリーナが搭乗する専用機。

脚部には陸上走行用のローラーが装備されていて、飛行しなくても高機動で戦闘可能になっている。

搭載発導機は標準機に採用されたものから出力向上を実現した第七世代クラマ式発導機を採用している。

また、高機動を実現する為にマナ出力配分は『飛翔魔導』に重きを置いた設定になっている。

武装は主に近接戦闘向けの小型双剣を使う。



~スペック~

高機動近接戦闘用魔導機甲『フローレンス』

全高19.1メートル

乾燥重量 57.8トン システム重量 62.2トン

動力 単発式七型クラマ式発導機(ヒヒイロカネ・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター)

動力伝達系 流体ミスリル

装甲 ミスリル・アダマンタイト鋼

定格出力 5640サイクラ 最大 5990サイクラ

最高飛行速度 時速1160km/h

想定耐用時間24,000時間(定格出力稼働による)

搭載魔導

飛翔魔導 上級防御魔導 

武装

近接戦闘用小型双剣

左腕部高圧風魔導式テーザーアンカー(右腕部は通常のワイヤーフックを装備)

中距離戦闘用90mmマギ・ライフル(追加装備時)

設計・開発
ランガースインダストリー


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