邪神令嬢の学園事情

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
23 / 48
第一章 入学編

実機講習 〜ユイ〜

しおりを挟む
 ガショーン!!ガショーン!!

 重装型魔導機甲マギ・マキナの『アラクネ』は、移動する度に地面を大きく揺らします。

 そして、スタート地点についた『アラクネ』は銃口のついた両腕を構えました。

『ではユイ嬢、カウントゼロで始めてください』

『了解しました!』

『それでは、カウントスタート!五・・四・・三・・二・・一・・始め!!』

 キィィィィン!!ズゴオォォォォォ!!

 カウントゼロの瞬間、『アラクネ』は『飛翔魔導』を発動して天高く舞い上がりました。

 ズウゥゥゥゥン!!

 そして、十個のターゲットがあると見られる範囲の数百メートル手前の地点に、大地を激しくめくり上げさせながら着地しました。

 ウィィィン・・。

『アラクネ』はそのままの状態で周囲を見渡しました。

『左方向に二、右に三、正面に一、あとは障害物の向こう側か・・・よし!!』

 ギウゥゥゥゥン!!

『アラクネ』は周囲の索敵を終えると、腕と一体化した銃口をそれぞれ別方向のターゲットに向けました。

 ドゥルルルルルルル!!

 直後、両腕部の銃口から凄まじい連射速度で弾丸のようなものが発射されました。

 発射に伴って『魔導莢カードリッジ』がパージされないので、おそらく通常の『マギ・ライフル』とは異なり、発導機に直結したマナを直接収束して撃ち出すような武器だと思われます。

 ドガガガガガガガガ!!!

 目にも留まらぬ勢いで発射される魔弾の雨は、射線上のターゲットを赤く染めるだけにと留まらずに障害物の岩まで削り取って行きます。

 ウィィィィィン・・・ドゥルルルルルルル!!

 そして、『アラクネ』は下半身を動かさずに腰の部分で上半身全体を砲塔のように回転させながらターゲットを掃討していきます。

 その姿は、まるで動く砲台のようです。

『魔導測距儀で落下地点を計測・・弾道修正・・入力完了!!』

 ゴゴゴゴゴゴ・・・。

 更に、『アラクネ』の巨大な両肩アーマーの前面が展開します。

 そこには無数の穴が空いていて、それぞれの穴の中には『魔導誘導弾』らしきものが収まっています。

『一番から五番の『地対地魔導誘導弾フレアビス』、弾道軌道バーティカルモードで発射!フォックス・ワン!!』

 バシュバシュバシュバシュバシュッ!!

 直後、『アラクネ』の肩アーマーから五発の『魔導誘導弾』が打ち上げられました。

 ドゥルルルルルルル!!

 その間も、腕部の銃口は火を吹き続けています。

 イィィィィン!!

 発射された五発の弾頭は、それぞれ別々の落下地点に綺麗な弾道軌道を描いて着弾しました。

 ドゴォォォォン!!

 ドゴォォォォン!!

 そして、着弾の瞬間に弾頭に刻まれた『爆裂魔導』が発動して、あちこちで大爆発が発生しました。

 もはや、ユイちゃんがいくつのターゲットを攻撃できたのかは、私達の方からは全くわかりません。

『っ!まだ終了の号令がない!ということは岩の影にまだターゲットがいるはず!!だったら!!』

 ユイちゃんがそう言うと、『アラクネ』が六本の脚部をアウトリガーのように広げて、しっかりと地につけました。

 ギュイイン!!ガガッ!!

 そして、それぞれの脚部の先端に設けられたアンカーが地面を穿ちます。

 ウィィィィィン!ゴゴゴ・・・!!

 同時に、補助腕に装備されて天を向いていた二門の巨大な砲身の先端が、両肩アーマーに乗って前方へと向けられました。

 ズゴォォォォォォ!!

 直後、出力を一気に上げた発導機が唸ります。

 ウィィウィイウィィ・・・。

「補助発導機の全出力ラインを火器系統へ直結!!発導機からのマナ供給ライン正常動作、各一次テンポラリー魔導結晶マナ・キャパシタマナ充填率上昇中!充填率三十パーセント・・四十パーセント・・!!」

「ちょっ!?まさか!?ユイ!!?」

 すると、『アラクネ』の様子を見ていたエカテリーナが慌て始めました。

 シュンシュンシュンシュン・・!!

 しかし、その間にも高出力のマナが収束していく音が響き渡ります。

「砲身マナ収束ライフリング術式発動!!高収束用魔導結晶体レンズ、焦点調整!!」

「っ!?『魔導結晶体収束砲』!?」

 ユイちゃんの言葉を聞いて、私もエカテリーナが慌てる理由を悟りました。

『魔導結晶体収束砲』は『飛行魔導神殿』に搭載されたと同じ兵器で、高出力・高威力の一般的な『魔導収束砲』の装置とは別に、高純度の魔導結晶をレンズ状に加工したものを用いて、複数の収束マナを更に束ねることで威力を増加させたものです。

 いくら魔導機甲マギ・マキナ用に小型化されているとは言え、その威力は計り知れません。

「各術式正常!マナの焦点部再収束開始!収束率三十パーセント・・四十パーセント・・五十・・・」

 ウィウィウィウィウィウィィィィ!

「収束率九十パーセント・・百パーセント!発射準備完了!!」

「あーはっはっはっ!!何もかも消し飛べぇぇぇぇ!!」

「『二連装魔導結晶体収束砲』!!発射!!」

 ピカッ!!

 ユイちゃんの高笑いと同時に、激しい閃光が広がりました。

 ビシュウゥゥゥゥゥゥ!!

 チュドォォォォン!!

「っ!?」

「きゃあ!?」

「うわあぁぁぁ!!」

 そして、辺りを巻き込む大爆発と共に、凄まじい爆風が私達を襲いました。

「あはははは!あはははは!」

 しばらくして『アラクネ』の砲撃が収まると、今までターゲットがあった一帯は陽炎が立ち込める焦土となっていました。

 シュウゥゥゥゥ・・・。

 砲撃を終えた砲身はあまりの高熱に赤熱していて、激しい湯気が立っています。

 パスンッパスンッ!!カランカラン・・。

 そして、砲身後部がリロードされると、冷却に使われたと思われる『冷気魔導』が刻まれた大型の『魔導莢カードリッジ』がパージされました。

『『『・・・・・』』』

魔導莢カードリッジ』が地に転がる音が虚しく響き渡る中、しばらく沈黙が続きました。

『やったの?』

『『やったの?』じゃないわよ!ターゲットごと消しとばしてどうするのよ!!』

 ユイの言葉にエカテリーナがツッコミを入れました。

『ユイ嬢・・確かに私は『攻撃の手段は問いません』と言いましたが、ターゲットを消し飛ばせとまでは言っていません!!』

 ジーク教官もエカテリーナの言葉に続きます。

『はい・・すみません、それで・・あのぉ・・』

『はぁ・・なんでしょう?』

『ちなみに、私の結果は何分だったのでしょうか?』

『・・・計っているとお思いですか?』

『・・ですよね』

 ジーク教官の声を聞いて、ユイちゃんは項垂れました。

 どうやら、ユイちゃんは魔導機甲マギ・マキナに乗ると人格が変わるようです。





~設定資料~

多脚重装魔導機甲『アラクネ』

 ロングレンジからの銃火器攻撃を目的に開発された、ユイの専用魔導機甲。

 また、高出力兵器である『魔導結晶体収束砲』のマナを賄う為に二基の発導機を備える。

 それによって増大した自重と砲撃による反動を受け止める為に魔導機甲としては珍しい多脚構造をもつ。

 『魔導結晶体収束砲』発射時は二基の内一つの発導機を砲身に直結する。

 しかし、発射時はアンカー固定で身動きが取れないこと、冷却の為に連射ができないこと、一発毎に冷却用のカードリッジを使い捨てるという制約から、使い所が難しい兵器である。

 



~スペック~


多脚重装魔導機甲『アラクネ』

全高21.0メートル

乾燥重量 82.9トン システム重量109.9トン

動力 双発式六型クラマ式発導機(ヒヒイロカネ・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター)

動力伝達系 流体ミスリル

装甲 ミスリル・アダマンタイト鋼

定格出力 9080サイクラ 最大 9700サイクラ

最高飛行速度 時速920km/h

想定耐用時間12,000時間(定格出力稼働による)

搭載魔導
飛翔魔導 上級防御魔導 

武装
腕部二連装105mm直射型マギ・ライフル
地対地魔導誘導弾『フレアビス』四十発
二連装魔導結晶体収束砲

設計・開発
シノサキ重工
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

能天気な私は今日も愛される

具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。 はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。 ※表紙はAI画像です

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...