邪神令嬢の学園事情

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
47 / 48
第二章 生徒会編

濃紺の魔導機甲(マギ・マキナ)~レヴァンデ視点~

しおりを挟む
 アリア達がラビッシュ近郊の森林地帯で校外実習を行っているのと同時刻・・。

 ラビッシュから北に千キロ程離れた場所に位置する、周囲百五十キロ程の孤島に建造された巨大な施設に存在する魔導機甲マギ・マキナ用の駐機場で、レヴァンデは佇んでいた。

「・・・いよいよですね」

 レヴァンデは小さく呟きながら微笑む。

 その微笑みは無邪気な青年のようで、多くの女性を虜にするような美しいものであった。

 そして、微笑みながら見上げた彼の視線の先には、一機の濃紺色をした魔導機甲マギ・マキナが聳え立っていた。

 その機体は全高二十メートルにも達する大型なもので、左右に大きく張り出した鋭利な形状をした大型の肩部装甲が特徴的で、人間でいう膝部分からは大きな角のような装甲が張り出している。

 そのフォルムは全体的に無骨かつ大型で、巨大な一角を生やした頭部に埋め込まれた『人工魔眼』は、血塗られたような紅色であった。

 同じく、濃紺がメインである機体の所々には紅色のワンポイントで塗り分けられており、その造形はまるで古の邪龍のように禍々しい。

 そして、背面から乗り込むのが通常であるはずのコクピット部分は機体胸部前面にあって、そのハッチが大きく解放されており、コクピットからせり出した単座シートにはリリアーナが座していた。

 リリアーナは美しい真紅の長髪をハーフアップに纏め、黒をベースとして赤色のラインが随所に入った『騎士服』ランナー・スーツを身に纏っていた。

 その『騎士服』ランナー・スーツは学園のものと同じくタイトなシルエットで、つり上がった目じりにかけて引かれた紅色のアイラインも相まって、彼女は全身から妖艶な雰囲気を醸し出していた。

 ピピピ・・・。

 リリアーナが人形のような無表情をしながら、白くてしなやかな指先を単座シートのコンソールに走らせると、彼女はそのままコクピットの中へと呑み込まれていった。

 バシュウゥゥゥ・・・。

 そして、重々しい音を発しながら、巨大なコクピットハッチが固く閉ざされた。

 シュイィィィィィン・・・!!!

 直後、機体背面に搭載された発導機が始動し、眩いマナの光を放ちだした。

 始動した発導機はすぐさま機体の各所に膨大なマナを送り出し、起き上がった頭部に収まった『人工魔眼』が紅く輝きだした。

「素晴らしい!!」

 その一部始終を見ていたレヴァンデは、両手を伸ばしながら歓喜の声をあげた。



 ・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・。



 ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。

「まさか、わたくしが魔導機甲マギ・マキナを操縦する日が来るなんて、思いもしませんでしたわ」

 そう言いながら、リリアーナは光魔導スクリーン越しにレヴァンデを見下ろした。

『先の訓練でリリアーナ嬢は十分に魔導機甲マギ・マキナを操ることができると判断していましたからね』

『それに、その機体には『黒の君』によって生み出されたな発導機が搭載されています。まだ機体そのものは不完全なものですが、稼働には十分耐えうるでしょう』

『今回は実戦を兼ねた実験です。そして、『黒の君』も貴方の戦いぶりをご覧になるはずです』

『『黒の君』が生み出したこの機体は、必ずや貴方の怨敵アリアを打ち破ることが出来るでしょう。期待していますよ、リリアーナ嬢』

「・・レヴァンデ様の御期待に応えて見せますわ」

 リリアーナはレヴァンデの言葉へ静かに応えると、操縦レバーを握る。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。


 バシュゥゥゥゥ!!

 ズシィィン!ズシィィン!

 そして、機体がハンガーからパージされたのを確認してから、駐機場に併設されている射出機レールガンへとゆっくり歩みを進ませた。

 ギウゥゥン・・ガシャン!ガシャン!

 両脚部が射出機レールガンの踏み台に固定されたのを確認したリリアーナは機体の腰をゆっくりと落としながら、視線の先にある大空を見据えた。

 シュウゥゥゥゥゥ・・!!

射出機レールガン、射出準備完了!リリアーナ様、カウントを始めます』

 管制のアナウンスを聞きながらリリアーナの搭乗する機体を眺めていたレヴァンデはニヤリとわらった。

「まったく愚かなものです・・」

「千年前に平定されたこの巨大な・・いえ、あまりにも人類帝国で、人々は『女神』こそが絶対の存在と信じてやみません」

『カウント、十・・・九・・・』

「しかし、その平定も・・漸く終わる日がくるのです!」

「とうとう、『黒の君』は『女神』と神白銀プラティウム』を錬金する力を手に入れました・・」

『八・・・七・・・』

「そして、自ら神白銀プラティウムを生み出すことができるようになった私達は、『女神』にその力を頼らなくても良くなるのです・・っ!!」



 ・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。



 ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。

『五・・・四・・・』

 管制による残りのカウントが『五』を切ったところで、リリアーナは操縦レバーを大きく捻って機体のマナ出力を上げ始める。

 シュイィィィィン!!!!

「っ!?」

 すると、コンソールに表示された円状のマナ出力表示が一気に跳ね上がった。

 その数値は既に二十万サイクラをゆうに超え、に達しようとしていた。

 その桁外れのマナ出力は、まさに『女神ハーティルティア』が生み出した『プラタナ』をも勝るものであった。


 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・。



 シュウゥゥゥゥ・・・・!

『三・・・二・・・』

 カウントがゼロに近づくにつれて、大量の水蒸気が辺りを充満し始める。

 レヴァンデは水蒸気によって視界を呑み込まれながらも、その手を濃紺の魔導機甲マギ・マキナへと伸ばした。

「さあ!人工女神アーク・イルティアと同じく神白銀プラティウムを持つ絶対的な力よ・・!!!」

「いまこそ、人類の歴史に大きな『転機』を生み出すのです!!!」

『一・・・・』

「そして、私達人類は・・『黒の君』と共に『女神』の力を越えるのです!!!」

『リリアーナ!!『人工邪神アーク・デスティアバイアティス』!!発進しますわ!!』

 バシュウゥゥゥゥゥゥ!!!!

 高らかに声を上げた直後、射出機レールガンによって大空に向けて撃ち出された『バイアティス』を見送るレヴァンデの表情は、狂気に歪んでいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

能天気な私は今日も愛される

具なっしー
恋愛
日本でJKライフを謳歌していた凪紗は遅刻しそうになって全力疾走してたらトラックとバコーン衝突して死んじゃったー。そんで、神様とお話しして、目が覚めたら男女比50:1の世界に転生してたー!この世界では女性は宝物のように扱われ猿のようにやりたい放題の女性ばっかり!?そんな中、凪紗ことポピーは日本の常識があるから、天使だ!天使だ!と溺愛されている。この世界と日本のギャップに苦しみながらも、楽観的で能天気な性格で周りに心配される女の子のおはなし。 はじめて小説を書くので誤字とか色々拙いところが多いと思いますが優しく見てくれたら嬉しいです。自分で読みたいのをかいてみます。残酷な描写とかシリアスが苦手なのでかかないです。定番な展開が続きます。飽き性なので褒めてくれたら続くと思いますよろしくお願いします。 ※表紙はAI画像です

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

男女比バグった世界で美女チート無双〜それでも私は冒険がしたい!〜

具なっしー
恋愛
日本で暮らしていた23歳喪女だった女の子が交通事故で死んで、神様にチートを貰い、獣人の世界に転生させられた!!気づいたらそこは森の中で体は15歳くらいの女の子だった!ステータスを開いてみるとなんと白鳥兎獣人という幻の種族で、白いふわふわのウサ耳と、神秘的な白鳥の羽が生えていた。そしてなんとなんと、そこは男女比が10:1の偏った世界で、一妻多夫が普通の世界!そんな世界で、せっかく転生したんだし、旅をする!と決意した主人公は絶世の美女で…だんだん彼女を囲う男達が増えていく話。 主人公は見た目に反してめちゃくちゃ強いand地球の知識があるのでチートしまくります。 みたいなはなし ※表紙はAIです

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

処理中です...