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第二章 魔導帝国オルテアガ編
人工女神『プラタナ』発進
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二人がクラリスにレゾニア男爵家の滞在を迫られてから一週間。
ほぼ不眠不休でこき使われた二人は魔導機甲の完成を見届けると意識を失うように眠りについた。
そして次の日の朝・・。
コンソールにつながるケーブルや書類に埋れて寝ていた二人はクラリスの声に叩き起こされた。
「二人とも!朝よ!おきなさい!」
「ううん・・おはよう。クラリスは元気ね」
「まったく、人使いが荒いですね」
ちなみに不眠不休で一週間共に魔導機甲開発に当たった三人はすっかり打ち解けて、ハーティもクラリスに敬語を使うことを辞めていた。
ユナは元々誰に対しても敬語なので変わらなかったが、対等な立場として接するようになった。
ハーティは今まで対等なお友達が少なかったのでクラリスと仲良くなることをとても嬉しく感じていた。
「当たり前よ!今日いよいよあたしの長年の夢が叶うのよ!」
「目が冴えて仕方ないわ!」
そう言うクラリスは既に魔導機甲用のパイロットスーツに着替えていた。
彼女のパイロットスーツは白をベースとしたワンピースタイプの水着のような服に魔導銀で作られた胸当てを装着し、グローブとサイハイブーツを装着するというような動きやすいデザインであった。
そして、腰ベルトの背中部分のホルスターには独特なグリップ形状をした短剣が二本交差するように収まっていた。
この短剣もハーティが練金して制作した神白銀製である。
この短剣はクラリス自身のマナ出力をハーティによって底上げすることが難しいことと、その使用目的からユナやハーティの剣とは違って付与した魔導式は全くないタイプのものである。
クラリスは執事に指示していまだ眠そうにする二人に朝食を渡すと、食事が終わった後にレゾニア家の広大な中庭に案内した。
そこには、やや白みがかった銀色をした高さ十九メートルにもなる魔導機甲が聳え立っていた。
「さあ、二人に紹介するわ!あたし達が力を合わせて実現させた人工女神『プラタナ』よ!」
クラリスが指差した人工女神はニアールの魔導機甲が丸みを帯びた全身鎧のようなデザインだったのに対して、全体的に直線的なデザインであった。
その胸部の中心には動力となるマギ・ジェネレーターの球体状の駆体が露出しており、その左右には横長の長方形をした排熱ダクトがある。
人間で言うウエスト部分は細くくびれており、可動部がむき出しとなった股関節から両脚が接続されている。
肩にあたる部分には装甲版を組み合わせて作ったアーマーが備わっており、後頭部からはツインテールを模したような下半身まで伸びる大型のスタビライザーが付いていた。
そして最も特徴的なのは背面の左側に持ち手を下にして縦向きに収まった大剣と、ボディの半分ほどにもなる大型でブレードのような形をした六枚の可動する翼が折り畳まれていることであった。
「こうして見ると、今までの魔導具の常識を根底から覆すデザインですね・・」
「かっこいいでしょう!あなたたちのおかげで諦めていた装備を全て搭載できたわ!」
「塗装だけが間に合わなかったけど、これはこれで素材の色が出ていいわね!このままいきましょう!」
「じゃあ、早速動かしましょう!みんな乗ってくれる?」
そう言ってクラリスとユナは『プラタナ』の背面にあるタラップへ向かう。
しかしハーティだけはその場に立ち止まった。
「ハーティ?」
「わ・・私は遠慮するわ」
そういうハーティの顔はどことなく青ざめていた。
「ハーティさんは馬車以外の乗り物に乗れないんですよ」
「その・・信じてはいるんだけどね?何かに乗って飛ぶって言うのが無理なの・・」
「え!?じゃあせっかくの初飛行を見れないじゃない!」
「あ、私は自分で飛ぶから大丈夫!」
「あたしは人間が生身で飛ぶ方が信じられないわ・・まあ、ハーティだものね・・まあわかったわ。じゃあこれを付けて!」
そう言うとクラリスはハーティにピアスを手渡した。
「これはあたしが開発した魔導通信機よ。まだ試作で短距離しかむりだけどね。ピアスにマナを込めながら話すと相方となるピアスをつけた相手に言葉が伝わるのよ」
「要はマナを使って音となる空気の振動をエーテル振動に変換して相手まで伝達、それを再び空気の振動にかえて通信するってわけ。あたしはこれを『エーテル通信』と名付けたわ」
「まあ、エーテル・マナ変換の研究で生まれた副産物ってやつね!」
「うーん、なるほどわかった!」
「・・あなたが全くわかってないのがわかったわ・・まあとりあえず付けてみて」
そう言われてハーティは渡されたピアスを右耳に装着した。
『聞こえる?』
「きこえるよーー!」
通信テストをする為にハーティとクラリスは離れて会話していたのだが、ハーティはわざわざ直接声が届くように大声をだしていた。
『うっさいわよ!耳が潰れるわ!』
『あ・・ごめん』
「・・とにかく、乗り込むわよ!」
クラリスはタラップを上ると『プラタナ』の背面にあるハッチを解放する。
パシュウ・・。
そこには縦横百五十センチ、高さ二百五十センチほどの空間があり、その中心部分の床には大きな単座シートが備わっていた。
『メルティーナ』よりかなり広いコクピットにクラリスが乗り込んで着座すると、ユナはシートの横に立った。
「いよいよ・・行くわよ!」
クラリスは腰のホルスターから神白銀の短剣二本を引き抜くと、刃の刃先部分を肘掛に縦向きに刻まれたスリットに合わせた。
そして短剣を鞘に収めるように差し込んだ。
ジャキン!
すると、短剣の刃の部分が全て肘掛に収まり、持ち手部分がそのまま操作レバーになった。
「そうやって使うんですね」
「発導機始動用の術式を発動させるためのマナをここから込めるのよ。だからマナ抵抗がない神白銀を材料に使ったわけ。刃の形がそのまま鍵になってるから、この短剣を座席に差し込まないと『プラタナ』は動かせないようになってるわ」
「万が一『プラタナ』が帝国に搾取されてもあたし以外が動かせないようになっているわ。きっとこれの性能はそのくらいのことをしないといけないくらいの代物になるわ!」
「じゃあ・・いよいよ行くわよ!」
「ハーティも準備はいい?」
『いいよ!』
ハーティの声がピアスから聞こえてきたのを確認すると、クラリスは短剣にマナを込め始めた。
「人工女神『プラタナ』始動!」
シュィィィン!
クラリスがマナを込めると同時に『プラタナ』の胸部にある球体がマナによる白銀の光を放出させるのが外部からでも確認できた。
クラリスが開発した『プラティウム・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』から膨大なマナが供給されて、各部の魔導式が順番に発動してゆく。
コクピットの前と横の壁面に刻まれた光魔導も発動して、外部の景色が投影されはじめる。
「神白銀ケーブルによる各部マナ伝達正常、エーテル・マナ変換問題なく安定しているわ!」
ギュイィン。
クラリスが座席のレバーを操作すると、それに連動して『プラタナ』の腕部も動く。
「駆動系も問題なし!」
「こうして見ると、とてつもないものを作りましたね」
「驚くのはこれからよ!いよいよ『飛行実験』よ!!」
「ハーティ、いまから飛ぶわよ!そっちはどう?」
『いつでもいいよ!』
ハーティの言葉を聞いたクラリスは座席のフットペダルを操作する。
ズウィーン、ズシーン・・ズウィーン、ズシーン。
数十トンもある『プラタナ』が駆動音を鳴らしながら歩み始めて離陸の為に屋敷とハーティから安全距離をとる。
『プラタナ』が一歩歩くごとに地面が沈んで地震のような揺れが中庭に伝わった。
「背部飛行用『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開!」
クラリスがコンソールを操作すると、『プラタナ』の背面にある六枚の翼が放射状に展開する。
よく見ると、その翼両面一面にはびっしりと魔導式が刻まれていた。
この翼部分は神白銀が使われており、他の部分より一際美しい白銀色に光輝いていた。
「さあ!行くわよ!人工女神『プラタナ』発進!」
クラリスが掛け声と共にレバーを握り込んで一気に前方へ押しやる。
シュィィィン!
同時にコンソールに円グラフで表示された発導機のマナ出力レベルが定格値まで振り切れる。
マナ出力上昇と共に胸部発導機の発光が増すと、六枚の翼も白銀の粒子を放出しながら光り輝いた。
キィィィィィン!ズビュウウウン!!
そして『プラタナ』は地面に大きなクレーターを生みながら、まるで大砲に打ち出されたように凄まじい初速で上空に向かって飛び出した。
~設定資料~
クラリス・フォン・レゾニア 設定イメージ
ほぼ不眠不休でこき使われた二人は魔導機甲の完成を見届けると意識を失うように眠りについた。
そして次の日の朝・・。
コンソールにつながるケーブルや書類に埋れて寝ていた二人はクラリスの声に叩き起こされた。
「二人とも!朝よ!おきなさい!」
「ううん・・おはよう。クラリスは元気ね」
「まったく、人使いが荒いですね」
ちなみに不眠不休で一週間共に魔導機甲開発に当たった三人はすっかり打ち解けて、ハーティもクラリスに敬語を使うことを辞めていた。
ユナは元々誰に対しても敬語なので変わらなかったが、対等な立場として接するようになった。
ハーティは今まで対等なお友達が少なかったのでクラリスと仲良くなることをとても嬉しく感じていた。
「当たり前よ!今日いよいよあたしの長年の夢が叶うのよ!」
「目が冴えて仕方ないわ!」
そう言うクラリスは既に魔導機甲用のパイロットスーツに着替えていた。
彼女のパイロットスーツは白をベースとしたワンピースタイプの水着のような服に魔導銀で作られた胸当てを装着し、グローブとサイハイブーツを装着するというような動きやすいデザインであった。
そして、腰ベルトの背中部分のホルスターには独特なグリップ形状をした短剣が二本交差するように収まっていた。
この短剣もハーティが練金して制作した神白銀製である。
この短剣はクラリス自身のマナ出力をハーティによって底上げすることが難しいことと、その使用目的からユナやハーティの剣とは違って付与した魔導式は全くないタイプのものである。
クラリスは執事に指示していまだ眠そうにする二人に朝食を渡すと、食事が終わった後にレゾニア家の広大な中庭に案内した。
そこには、やや白みがかった銀色をした高さ十九メートルにもなる魔導機甲が聳え立っていた。
「さあ、二人に紹介するわ!あたし達が力を合わせて実現させた人工女神『プラタナ』よ!」
クラリスが指差した人工女神はニアールの魔導機甲が丸みを帯びた全身鎧のようなデザインだったのに対して、全体的に直線的なデザインであった。
その胸部の中心には動力となるマギ・ジェネレーターの球体状の駆体が露出しており、その左右には横長の長方形をした排熱ダクトがある。
人間で言うウエスト部分は細くくびれており、可動部がむき出しとなった股関節から両脚が接続されている。
肩にあたる部分には装甲版を組み合わせて作ったアーマーが備わっており、後頭部からはツインテールを模したような下半身まで伸びる大型のスタビライザーが付いていた。
そして最も特徴的なのは背面の左側に持ち手を下にして縦向きに収まった大剣と、ボディの半分ほどにもなる大型でブレードのような形をした六枚の可動する翼が折り畳まれていることであった。
「こうして見ると、今までの魔導具の常識を根底から覆すデザインですね・・」
「かっこいいでしょう!あなたたちのおかげで諦めていた装備を全て搭載できたわ!」
「塗装だけが間に合わなかったけど、これはこれで素材の色が出ていいわね!このままいきましょう!」
「じゃあ、早速動かしましょう!みんな乗ってくれる?」
そう言ってクラリスとユナは『プラタナ』の背面にあるタラップへ向かう。
しかしハーティだけはその場に立ち止まった。
「ハーティ?」
「わ・・私は遠慮するわ」
そういうハーティの顔はどことなく青ざめていた。
「ハーティさんは馬車以外の乗り物に乗れないんですよ」
「その・・信じてはいるんだけどね?何かに乗って飛ぶって言うのが無理なの・・」
「え!?じゃあせっかくの初飛行を見れないじゃない!」
「あ、私は自分で飛ぶから大丈夫!」
「あたしは人間が生身で飛ぶ方が信じられないわ・・まあ、ハーティだものね・・まあわかったわ。じゃあこれを付けて!」
そう言うとクラリスはハーティにピアスを手渡した。
「これはあたしが開発した魔導通信機よ。まだ試作で短距離しかむりだけどね。ピアスにマナを込めながら話すと相方となるピアスをつけた相手に言葉が伝わるのよ」
「要はマナを使って音となる空気の振動をエーテル振動に変換して相手まで伝達、それを再び空気の振動にかえて通信するってわけ。あたしはこれを『エーテル通信』と名付けたわ」
「まあ、エーテル・マナ変換の研究で生まれた副産物ってやつね!」
「うーん、なるほどわかった!」
「・・あなたが全くわかってないのがわかったわ・・まあとりあえず付けてみて」
そう言われてハーティは渡されたピアスを右耳に装着した。
『聞こえる?』
「きこえるよーー!」
通信テストをする為にハーティとクラリスは離れて会話していたのだが、ハーティはわざわざ直接声が届くように大声をだしていた。
『うっさいわよ!耳が潰れるわ!』
『あ・・ごめん』
「・・とにかく、乗り込むわよ!」
クラリスはタラップを上ると『プラタナ』の背面にあるハッチを解放する。
パシュウ・・。
そこには縦横百五十センチ、高さ二百五十センチほどの空間があり、その中心部分の床には大きな単座シートが備わっていた。
『メルティーナ』よりかなり広いコクピットにクラリスが乗り込んで着座すると、ユナはシートの横に立った。
「いよいよ・・行くわよ!」
クラリスは腰のホルスターから神白銀の短剣二本を引き抜くと、刃の刃先部分を肘掛に縦向きに刻まれたスリットに合わせた。
そして短剣を鞘に収めるように差し込んだ。
ジャキン!
すると、短剣の刃の部分が全て肘掛に収まり、持ち手部分がそのまま操作レバーになった。
「そうやって使うんですね」
「発導機始動用の術式を発動させるためのマナをここから込めるのよ。だからマナ抵抗がない神白銀を材料に使ったわけ。刃の形がそのまま鍵になってるから、この短剣を座席に差し込まないと『プラタナ』は動かせないようになってるわ」
「万が一『プラタナ』が帝国に搾取されてもあたし以外が動かせないようになっているわ。きっとこれの性能はそのくらいのことをしないといけないくらいの代物になるわ!」
「じゃあ・・いよいよ行くわよ!」
「ハーティも準備はいい?」
『いいよ!』
ハーティの声がピアスから聞こえてきたのを確認すると、クラリスは短剣にマナを込め始めた。
「人工女神『プラタナ』始動!」
シュィィィン!
クラリスがマナを込めると同時に『プラタナ』の胸部にある球体がマナによる白銀の光を放出させるのが外部からでも確認できた。
クラリスが開発した『プラティウム・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』から膨大なマナが供給されて、各部の魔導式が順番に発動してゆく。
コクピットの前と横の壁面に刻まれた光魔導も発動して、外部の景色が投影されはじめる。
「神白銀ケーブルによる各部マナ伝達正常、エーテル・マナ変換問題なく安定しているわ!」
ギュイィン。
クラリスが座席のレバーを操作すると、それに連動して『プラタナ』の腕部も動く。
「駆動系も問題なし!」
「こうして見ると、とてつもないものを作りましたね」
「驚くのはこれからよ!いよいよ『飛行実験』よ!!」
「ハーティ、いまから飛ぶわよ!そっちはどう?」
『いつでもいいよ!』
ハーティの言葉を聞いたクラリスは座席のフットペダルを操作する。
ズウィーン、ズシーン・・ズウィーン、ズシーン。
数十トンもある『プラタナ』が駆動音を鳴らしながら歩み始めて離陸の為に屋敷とハーティから安全距離をとる。
『プラタナ』が一歩歩くごとに地面が沈んで地震のような揺れが中庭に伝わった。
「背部飛行用『フライ・マギ・ブースト・ウィング』展開!」
クラリスがコンソールを操作すると、『プラタナ』の背面にある六枚の翼が放射状に展開する。
よく見ると、その翼両面一面にはびっしりと魔導式が刻まれていた。
この翼部分は神白銀が使われており、他の部分より一際美しい白銀色に光輝いていた。
「さあ!行くわよ!人工女神『プラタナ』発進!」
クラリスが掛け声と共にレバーを握り込んで一気に前方へ押しやる。
シュィィィン!
同時にコンソールに円グラフで表示された発導機のマナ出力レベルが定格値まで振り切れる。
マナ出力上昇と共に胸部発導機の発光が増すと、六枚の翼も白銀の粒子を放出しながら光り輝いた。
キィィィィィン!ズビュウウウン!!
そして『プラタナ』は地面に大きなクレーターを生みながら、まるで大砲に打ち出されたように凄まじい初速で上空に向かって飛び出した。
~設定資料~
クラリス・フォン・レゾニア 設定イメージ
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