転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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第三章 商業国家アーティナイ連邦編

ミウの内情

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 ハーティ達が馬車に乗って市街地に繰り出すと、そこには賑やかな街並みが広がっていた。

 首都『カームクラン』の街は全体が都市計画によって整備されたもので、その道路全てが規則正しい碁盤目状に整備されている。

 そして、その道路は全て石畳で整備されており、その道路を挟むように一階ないし二階建ての木造建築が規則正しく並んでいた。

 その街道は市民や商人で賑わっており、『カームクラン民族』特有の着物姿の人間が多数だが、一部それとは違う数々の民族衣装を着た人々も行き交っていた。

「さて、そちらの邸に到着するまでまだしばらくかかるし、ここらで『アーティナイ連邦』という国について説明しようかの」

 馬車でハーティ達三人に対面する形で座っていたミウが徐に自分の国についての話題を切り出した。

「そうね。これからしばらくこの国にお世話になると思うし、お願いするわ」

「うむ。この国はご存じの通り島国での、この首都である『カームクラン』がある本島とは別に三つの島で形成される『アーティナイ列島』すべてが国土になるのじゃ」

「それぞれの島にはそれぞれ異なる民族が太古より存在していて、それらは『自治区』として、いわば一つの国に匹敵する機能を有しておるのじゃ」

「まずはこの本島を自治区とする『アーティナイ民族』、そして北東に位置する二番目に大きい島を自治区とする『大華民族』、本島の南に位置する『モンゴラル民族』、最後に南南西に位置する複数の小さな島々からなる区域を自治区とする『サワディルカ民族』じゃ」

「これら四つの民族すべてを合わせたのが『商業国家アーティナイ連邦』と言うわけじゃ」

「各自治区には各民族の代表が存在しており、その下には『民族投票』という成人した民族による選挙によって選ばれた議員が存在するのじゃ」

「対外的な国として機能する『アーティナイ連邦』の政策や方針を決めるには『連邦議会』というものが存在し、ここで決定された憲法を基に各自治区の法律なども整備されておる」

「そして、この『連邦議会』に参加する議員には任期が存在しており、五年の任期を満了した時に次代の議員を決める『民族投票』が再度行われるのじゃ」

「ちなみに、『商業国家アーティナイ連邦』の国家元首たる『大統領』だけは直接『民族投票』で決めるのではなく、『連邦議会』に属する議員による投票で決めるのじゃ」

「まあもっとも、『連邦議会』の議員は、『アーティナイ連邦』で人口が最も多く現在の首都も存在しておる『カームクラン民族』の比率が圧倒的に多いので、自ずと『大統領』は『カームクラン民族』の代表が選ばれるのじゃがな」

「そして、その『カームクラン民族』の代表こそがわらわ、『ミウ・シノサキ』と言うわけじゃ!」

 一通り説明し終わったミウはつつましい胸を張って威張っていた。

「聞けば聞くほど私たちの国とは違うのね。頑張って政治の世界に入っても最長で五年しかいられないというのは厳しいわね」

「そんなこともないぞえ?五年の任期が満了しても要はまた選ばれればいいのじゃ。良い政治家というのは自ずと数期に渡って当選したりするしのう」

「じゃあ、この国はそもそも身分制度というものが無いの?」

 自身も帝国貴族であるクラリスは、ミウにそんな質問を投げかけた。

「そうじゃな。まあ、わらわのように肩書きなどによる上下関係は存在するが、確かに『アーティナイ連邦』には身分制度というものは存在しない。『国民総平民』じゃ」

「『国民総平民』、私たちの感覚からいえばありえないですね」

「うむ。元々が多数の民族の寄せ集めじゃからな。この国においてそんなものは些細な問題と言うことじゃ」

「それにしても、その年齢で国家の代表に選ばれるって凄いわね!あたしなんかじゃ勤まらないわ」

 クラリスの言葉にハーティとユナもうんうんと頷いた。

「まあ、それは何というか・・・いろいろな事情があってのう・・」

 そう呟いたミウの表情は少し暗い様子であった。

「さっきも少し話を出したのじゃが、わらわの家は歴史ある名家なのじゃ。『シノサキ財閥』と言えばわかるかえ?」

 ミウの言葉を聞いたクラリスが目を見開いた。

「『シノサキ財閥』と言えば、世界でも有数のお金持ちの家じゃない!!」

「それこそうちの魔導具を輸入している上得意様だし、傘下の『シノサキ商会』は日用品から軍用兵器まで世界中に輸出している世界一の商会よ!!」

「他にも帝国の『魔導外輪船』の船体は『シノサキ造船』、魔導路面列車マギ・トラムの車体は『シノサキ重工』製よ!まあ、発導機は『レゾニア商会』のものだけどね!」

「なんでそこで張り合うのよ・・」

「何せ『安心と信頼のカームクラン製』と言えば殆どが『シノサキ財閥』絡みの工業製品よ」

 興奮しながら説明するクラリスを見て、ミウは少し気恥ずかしそうにしていた。

「ご名答。流石は『レゾニア男爵家』のご令嬢じゃな。まあ、わらわの家はそんな事情があるのでこと政治について影響力があっての」

「父上は『シノサキ財閥』の総裁という立場があるので身動きが取れぬ。故に前大統領である祖父が引退した後を引き継ぐ形で、わらわが『カームクラン民族』の代表になったのじゃ」

「・・まあ、いわゆる『世襲』の二世議員というやつじゃの・・」

 ミウは自身の事を皮肉めいた様子で語っていた。

「・・まあ、ミウさんが『世襲』でも『二世』でもいいじゃないの。私のいた『イルティア王国』なんてそれこそ世襲が当たり前よ。何せ『貴族』ですもの。本人が優秀なら何も問題ないわ」

「寧ろ『貴族』なんて、女性は爵位も継ぐことが出来ないんだから、そう考えれば『アーティナイ連邦』の考え方は進んでいるって言っても過言じゃないわ」

「そう言ってもらえると少しは心が穏やかになるのう・・・まあハーティさんも大変じゃろうしのう」

「それは・・まあ」

 ハーティはミウの言葉を聞いて気まずそうに頬を掻いた。

「いくらこの国が東の最果てとは言え、これだけ国家間貿易が盛んな国じゃ。そろそろそちらが『イルティア王国』や『帝都』で行ったことがこちらに伝わってくる頃じゃろう」

「特に各国の『女神教会』へは『イルティア王国』での事件後、即座に通達が行っているはずじゃ」

「何せ『女神教会』にとって『女神ハーティルティア』が王都を救ったという話は最も重要で喜ばしいことじゃからの。必死に言い伝えて記録に残すはずじゃ」

「うぐっ・・」

 その言葉を聞いてハーティはぐぐもった声をあげた。

「おそらく『アーティナイ連邦』の『女神教会』支部である『神社庁』にも通達は既に到着しているじゃろうな」

「まあ、そちらの方はわらわから箝口令を敷いておく故、安心して良いぞ」

「・・感謝するわ」

「じゃが、さすがに市民の口にまで戸は建てられないからのう」

「私の正体がばれるのも時間の問題というわけね・・」

「それはとても素晴らしいことですね。いっそハーティさんは常に『女神化』されては?」

「嫌に決まってるでしょ!」

「どうかこの国ではませんように・・」

 そんな会話を繰り広げている間に馬車は目的地へと到着したのであった。
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