転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

文字の大きさ
126 / 229
第三章 商業国家アーティナイ連邦編

メルティーナ・リバイヴ

しおりを挟む
 キィィィン・・・。

 ハーティ達と和解したナラトスと二アールは『白銀の剣』のメンバーとして行動を共にする事になった。

 そこで『ヨークスカ』で潜伏していた宿から『白銀の剣』の拠点へと生活の場を移す為に、一同は早速拠点まで飛翔魔導で蜻蛉とんぼ返りしていた。

 因みに、クラリスは最後まで『プラタナ』で帰ると聞かなかった為、ユナに荷物のように抱えられて帰る羽目になった。

「へえ、流石天下の『一級冒険者』様ね。いいところに住んでいるじゃない」

 二アールは眼下に見えるハーティ達の拠点を眺めながら、自分を横抱きにしているナラトスの胸元に顔を埋めた。

「二、二アールよ・・そんなにくっつく必要があるのか?」

  「ナラトス様・・私、高いところが苦手なのです。すりすり」

「ひぃぃぃ!あなた、さっきまで平然としていたでしょうが!怖いのはあたしの方よ!」

「ふん!根性ないわね!きゃあ!こわいですラナトスさまぁー!」

「こんの色ボケ女が!」

「そろそろ降下しますよ!喋ると舌を噛みますよ」

「ちょっ!まっ!ユナ!ひぃぃぃ!」

 クラリスの叫び声と共に一同は中庭の駐機場へ着陸した。

「はぁはぁ・・絶対に自分が飛ぶ為の乗り物を作ってやるわ・・」

 漸く地に足着いて肩で息をしながらクラリスがぼやいていると、マルコと侍従がハーティ達の元へとやってきた。

「おかえりなさいませ」

「ただいまマルコ!そうそう!今日から新しいパーティメンバーが二人増えたのよ!この屋敷で一緒に暮らすからよろしくね!」

「かしこまりました、わたくし当邸の執事長である『マルコ』と申します。御用がありましたら何なりとお申し付けください」

「私は『二アール・フォン・ソフィミア』よ。一応は帝国貴族よ。まあ家は捨てたようなものだから、あまり畏まらないでね」

「私は名を『ナラトス』と言う。よろしく頼む」

 三人が互いに挨拶を終えると、クラリスは何かを思い出したかのように掌を叩いた。

「あっ!そうだ!二アールに見せたい物があるのよ!付いてきて!」

 クラリスはそう言うと、スタスタと研究施設のある建物へと歩き出した。

「うん?」

 二アールは首を傾げながらもそれについて行く。

 その二人を見てハーティとユナは顔を見合わせて微笑んだ。

 スタスタ・・。

「随分大きな建物ね、魔導具の研究設備があるみたいだけど・・・」

 そして、しばらく歩いたクラリス達は研究施設にある格納庫の一角で歩みを止めた。

「見せたかったのはこれよ!二アールの『大切な物』でしょ?いつか再会した時のために私が修復しておいたのよ!」

「っ!これは!?」

 二アールはクラリスが見せた物を見て、思わず瞳を潤ませた。

「・・『メルティーナ』!」

 二アールの視線の先には、ハンガーに固定された漆黒の魔導機甲マギ・マキナがあった。

「これは二アールが作った機体だから、なるべく修復したわ。ただ、躯体の素材は魔導銀ミスリルから神白銀プラティウムに変えさせてもらったけどね。そのままだと機体色が白銀色になっちゃうから、わざわざ帝国出身の技術者に元々の黒色へ全塗装してもらったのよ!」

「え!?神白銀プラティウム!?あの空想の素材!?へ!?」

「二アールは『メルティーナ』が無事であった事、神白銀プラティウムが実在した事に驚きを隠せないようであった」

「あたしの『プラタナ』の動力はハーティが錬金した神白銀プラティウム製の発導機からマナを供給するのよ」

「どうりであんな馬鹿みたいな出力が出るわけだわ・・」

「なんか理解してるよ!すごい!」

 研究者同士の二人が理解しあっているのに対してハーティは感心していた。

「ただ、『メルティーナ』にあたしの『プラティウム・マギフォーミュラ・マナ・ジェネレーター』を積むのはあなたのプライドが許さないだろうから、この機体のマナ供給方法はを取ったわ!」

「・・それで胴体部分は以前と少し違うデザインなのね。でも、前回は『黒の魔導結晶』があったから『メルティーナ』は動いたのよ?それを無くしてどうやってマナを供給するのよ?」

 二アールの質問に対して、クラリスは『チッチッチ』と舌を鳴らしながら指を立てた。

「言ったでしょ?『あなたの思想に基づいた』って。まあ、を見たほうが早いわ。ちょうどテストもしたかったしね。じゃあ二アール、ナラトス!ついてきて!」

「私もか?」

「当たり前よ!」

 そう言うと、クラリスはスタスタと『メルティーナ』のハンガーに歩み寄ると、備え付けられたタラップを登って機体の背面へ近づいた。

「「うん?」」

 二アールとナラトスの二人は首を傾げながらもそれについて行った。

「じゃあ開けるわよ!」

 二人が自分に追いついた事を確認すると、クラリスは『メルティーナ』背面ハッチの近くにある小さな魔導式に触れてマナを込めた。

 パァァァ・・。

 クラリスが触れた部分の魔導式がマナによって光り出すと、その光がハッチ同士の合わせ目へと伝わっていく。

 バッシュウ・・・!

 そして、空気が漏れるような音を鳴らしながら重々しいハッチが開いた。

 ウィィィン・・・。

 ハッチが開き切ると、続いてコクピットと思わしき空間から外部に向かって操縦座席が丸ごとせり出してきた。

 それを見た二アールは驚愕に目を見開いた。

「っつ!?『複座式』ですって!?」

 二アールが言うように、その操縦座席は縦並びに二席が一体となって連なっており、前の座席は今までの『メルティーナ』同様にスポーツバイクのようなセパレートレバーの前傾姿勢タイプとなっており、後部座席は通常の着座姿勢で座る椅子のようになっていた。

「『メルティーナ』はあなた達が『人造ゴーレム』の時に用いた技術を応用したわ。つまり、前の座席に座る操縦者が主に機体を操作して、後部座席に座る人間が生成したマナから機体の動力を賄うってわけ」

「元々はいつも生身で戦うユナが後ろに乗ってマナを供給するつもりだったのよ?」

「え!?初耳なのですが・・・」

 どうやら、ユナは本人の知らぬ間に『メルティーナ』の動力源にされる予定であったようだ。

「ユナはあなたたちが獣人に施した方法と同じような形で人工的に『潜在する膨大なマナ出力』を活用できるようにした人間だからね」

 クラリスの言葉を聞いた二アールとナラトスは顔を見合わせた。

「「ということは・・・」」

 その様子を見たクラリスは『ふんっ!』と得意げに鼻を鳴らした。

「そうよ!ナラトス、あなたにはこの人工女神アーク・イルティア『メルティーナ・リバイヴ』の『動力源マナ・キャパシタ』になってもらうわ!」

 そう言いながら、クラリスはナラトスを指さした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!

カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地! 恋に仕事に事件に忙しい! カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

処理中です...