転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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第三章 商業国家アーティナイ連邦編

黒竜襲来

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『じゃあ、『メルティーナ』のテストも終わった事だし、拠点に帰りましょうか』

「・・それにしても、これだけド派手な魔導を放ったら、また騒ぎになってミウさんに迷惑がかかりそうですね」

『ぐぅっ!』 

 ユナの言葉にクラリスが言葉を詰まらせた。

 そして、その言葉を聞いてクラリスが乗った『プラタナ』が頭を抱えていた時・・。




 ヴォンヴォン・・・。

 キラッ!

「うん?」

 ちょうど『プラタナ』の向かいにいた『メルティーナ』の光魔導スクリーンが、遥か北の空で僅かに輝いた光を捉えた。

「!!二アール!『プラタナ』の前へ!全力で防御魔導をかける!」

「え!?あ、はい!!」

 その光を見たナラトスが焦って二アールに指示を出し、二アールはナラトスの指示の意味を理解する前にその指示通りの動きをした。

 そして、『メルティーナ』は『プラタナ』の前に出ると機体を大の字にした。

『ちょ!?二アール!?どうし・・』

 ビシュウウウウン!!

 バリーン!!

 クラリスが言葉を言い切る前に、まるでビームのような光条が、遥か北の山から飛来してきた。

 その光条は先程ハーティが展開していた広域防御魔導を容易く突破すると、『メルティーナ』へと命中した。

 ズギャアアアア!!

『くっ!』

『メルティーナ』の防御魔導と光条が競り合っている中、マナを供給するナラトスが力む声が聞こえていた。

『二アール!!』

 そして、防御魔導と光条の競り合いが数秒続いた後、やがて勢いを失った光条は白銀の光の粒子となって霧散した。

「二アール!ナラトス!大丈夫!?」

『はあ、はあ、何とか防いだか・・・』

「一体なんなの!?今のは!?」

「どうやらハーティさんの魔弾に似た攻撃のようですね。この威力にして射程・・ただの魔獣による攻撃ではないですね」

 キラッキラッ!

 その時、再び北の方角で複数の光が見えた。

『次が来るわ!』

 その光を視認したクラリスが北の方角を指さした。

「払うわ!」

 クラリスの言葉に対して即座に反応したハーティが全員を包み込むように上級防御魔導を展開する。

 ギュウン!ギュゥン!ギュゥン!

 直後、次は複数の球状をした魔弾がハーティの防御魔導に命中した。

 チュドォォォン!チュドォォォン!

 ハーティの防御魔導に弾かれた魔弾の軌道が逸れて後方の大地に命中すると、大爆発を起こしながら地面を穿った。

「この威力!やはり『邪神』からの攻撃なの!?」

 ハーティが狼狽える中、クラリスは『プラタナ』の光魔導スクリーンによる望遠機能で魔弾の元を辿った。

『っつ!?あれは!?』

 初めにクラリスが視認した『巨大な黒い影』は瞬く間に『白銀の剣』のメンバー全員が目視できる距離まで迫ってきた。

 ゴウゥゥ!



「グルルルアァァァァァァ!!」




「こいつは・・・・」

「まさか!?そんな!?」

『嘘でしょ!?』


 突如ハーティ達の前に飛来して来た『巨大な黒い影』を目の当たりにした全員が息を呑んだ。

『『黒竜バハムート』・・一体どうして・・・!?』

「グルルルアァァァァァァ!!」

 そこに現れたのは、全長三十メートルを超える巨体を持った一体の『ドラゴン』であった。

 その姿を見たユナが戦慄しながら語り出した。

「『黒竜バハムート』・・諸説ありますが、『エルフの国リーフィア』の現女王と同じく、およそ五千年以上・・この世界が女神ハーティルティア様によってもたらされた時代から生きるとされる、伝説の存在・・」

「エルフの女王と同じくこの世界で最も『神族』に近い存在と言われ、その長い時を経て取り込まれたマナによりあらゆる魔導を扱い、如何なる生物も退ける絶対的な強者・・しかし、その実は決して『アーティナイ列島』の霊峰からは出てこずに世界の行く末を静観するのみと言われている・・そんな存在が・・どうしてこんな所に!?」

「グルルルアァァァァァァ!!」

「ユナが言うような『お利口さん』には見えないけど!?」

 間近で繰り出された『黒竜バハムート』の咆哮は、ハーティ達の身体を激しく突き抜けて大空を震わせた。

『女神ハーティルティアよ!やつの首元を見よ!』

 ナラトスに促されたハーティは『黒竜バハムート』の首元へ目をやった。

 そこには明らかに人工物に見える枷が付けられていた。

 そして、その枷には見覚えのあるものが嵌っていた。

「あれは!?・・『黒の魔導結晶』!!」

「やはり、『邪神』によって『黒竜バハムート』が正気を失っていると見て間違いないようですね!」

 ユナはそう言いながら、『女神イルティア・レ・ファティマ』を展開した。

 それぞれが突如現れた『黒竜バハムート』を前にして緊張していた時・・。

「ウフフフフ!アハハ!」

 そんな緊迫した場に全く合わない笑い声が、何処からか聞こえて来た。

「わたくしとこの『黒竜バハムート』の攻撃を防ぐなんて、『人間共下等生物』にしてはやるじゃあない?」

「誰!?」

 ハーティの問いに応えるように、『黒竜バハムート』の背後から空中に浮遊する一人の妖艶な女性が現れた。

『貴様!!』

 その姿を見たナラトスが声を上げた。

「あら、その声・・・その『黒いおもちゃ』に乗っているのは・・まさかナラトスじゃあないの?」

「ああ懐かしい!神界以来ねぇ・・あは!なあにやってるの?『人間共下等生物』と戯れて仲良しごっこでもしちゃってるわけ?あはは!おっかしぃー!」

 エメラダは胸を寄せて腹を抱えながら笑った。

『っく!なんてけしからん身体なの!?』

「え!?いや、今そんなこと言っている場合じゃないでしよ!?」

 クラリスの場違いな言葉にハーティは突っ込まずにいられなかった。

「ちよっと、『人間共ゴミムシ』の癖に勝手に和まないでくれる?」

 クラリスの言葉を聞いたエメラダは笑顔をやめて額に青筋を浮かべていた。

「ふん、『人間共下等生物』の癖に気に食わないわぁ・・はあ、なんだかやる気がなくなったわね」

「あなたは一体何者なの!!」

 急に気怠げになったエメラダにハーティが指差しながら声をかけた。

「あん?『人間共クソザコ』の癖に指差すんじゃあないわよ!・・あら?」

 そして、そのハーティを見たエメラダは何かに気づいたように首を傾げた。

「あんた・・もしかして『女神ハーティルティアクソビッチ』じゃあないの?そうね!そうなのね!!」

「クソビッチ・・・」

「まさか!まさか!こんな日が来るとはねぇ!アハ!アハハ!アハハハハハ!!」

 エメラダがハーティを『女神ハーティルティア』と認識した瞬間、その目を血走らせて口角に泡を飛ばしながら笑い出した。

『ちょっと・・今まであたし達が戦った『邪神』の中で一番イカれてるんじゃないの!?』

「あーはっはっは・・・ふぅ・・・」

「ハーティルティアアアーー!!てめぇはこの『邪神エメラダ』がバラバラに刻んでぶち犯してやるわぁぁぁ!」

 そう言いながら、エメラダは目を血走らせながらハーティへと迫った。
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