転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい

りゅうじんまんさま

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最終章 決戦!『デスティウルス』編

デスティウルス

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 ヒュウウウ・・ドゥン!!

 甲板から飛び降りた二人は、『マナドゥ』が放つ魔弾を巧みに躱しながら『サウスポイント』へと向かっていた。

 そして、飛翔する二人が大地の大孔上空に迫ろうとする時、見覚えのあるが、その底知れない漆黒の孔からゆっくりと浮き上がってきた。

 その人影は、ハーティ達へ視線を向けると邪悪にわらった。

「やハり来たか。愚かな『女神』ヨ」

 デスティウルスはハーティの隣で浮いているユナを一瞥すると、その首を傾げた。

「うン?貴様も『女神』なのカ?・・まァいイ
 ・・今更『女神』が一柱増えタところでどウと言うことはナい」

「黙りなさい!ハーティルティア様が創造なされた安寧を脅かす『邪神』め!貴様らはこの『聖騎士』ユナ・エインヘリアルが滅します!」

 ユナがデスティウルスに鋒を突き付けながら叫ぶと、デスティウルスはつまらなさそうな表情を向けた。

「無駄ダ・・貴様ラは我を滅ぼス事はでキぬ」

「そんなの、やってみないとわからないわ!!『ニーヴァルテ』!!」

 ゴウゥゥゥゥ!!

『聖剣』を構えたハーティがその力を解放すると、視認できるほどの膨大なマナが『光の刃』となって、鋒から果てしなく伸びていく。

 ハーティが構えた『聖剣』を見たデスティウルスは不敵な笑みを浮かべた。

『ホぅ、これはまたを持ってきタな・・ならバ・・その『玩具』ゴと貴様を滅ボすとしよウ!』

 デスティウルスはそう言うと、両腕を真横に伸ばした。

 ズズズ・・・。

 すると、その腕の先から黒い霧が渦巻き始め、やがてその霧は腕全体を包み込み始めた。

 そして、その霧はそのまま紫電を纏う漆黒の刃となってデスティウルスの腕と一体化した。

「・・・・・」

「っ!?ユナ!横に避けて!!」

「っ!?」

 ドゥン!

 ハーティに声をかけられた瞬間、ユナは反射的に真横へ移動した。

 シュピッ!

 それと時を同じくして、デスティウルスは一切の予備動作も無しにその場で腕の刃を振るった。

 スブシュウウウ!!

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

 すると、デスティウルスの刃からかなり距離を置いているにもかかわらず、ユナの胴が斬りつけられて真っ赤な鮮血が噴き出した。

「『ヒール』!!」

 ハーティはすかさず発動時間が短い『初級治癒魔導ヒール』を、なるべく多くのマナを込めて発動した。

 パアァァァ!

「ゴバッ!ハァハァ・・あ・・ありがとうございます」

 ユナは口腔内の血を吐き捨てると、自分の脇腹に出来た傷の回復を確認した。

「ユナ、気をつけて!あれは『次幻斬』という神技わざよ。『邪神』が使う神技の一つで、『還元』を任意の場所に放つ事ができるわ!だから、そのまま攻撃を受けると防御魔導の一切が通じないのよ!」

「ハァハァ・・ハーティルティア様の言葉がなければ、今頃胴が二つに別れていましたね」

「ほウ、この攻撃を交ワすか・・ならバ・・」

 シュピピピピ!!!

「ユナっ!!」

 デスティウルスは再びユナに向かって腕の刃を振るった。

 しかも、次は両腕を駆使して複数の斬撃を放っていた。

 ヴォン!!

 ガキャキャキャキャ!!

 しかし、ユナは『女神イルティア・レ・ファティマ』を振るい、それら全てを受け止めた。

「ふんっ!『次幻斬』が結論『還元』だと言うのでしたら、私の『還元』で受け止めるのみ!『女神化』のおかげで僅かな動きから太刀筋を見切ることができます。そう何度も同じ技は受けません!」

「ユナ・・あなた私より人間離れしてない??まさか二撃目から『次幻斬』を見切るなんて・・」

 ハーティはユナの持つ潜在能力にただ驚くばかりであった。

「ふん、小癪ナ・・」

『次幻斬』を見切られたデスティウルスは、両腕の刃を一つに揃えて、その鋒をハーティ達へ向けた。

 キィィィィィ!!

 直後、その束ねられた二つの刃の間に膨大なマナが収束され始める。

 ビシュウゥゥゥゥゥ!!!

 そして、『マナドゥ』の魔弾とは比べ物にならない程高出力の光条が、真っ直ぐハーティ達へと伸びていった。

「はあぁぁぁぁぁ!」

 ヴォン!!

 ハーティは、まるでその光条を打ち返すかのように『聖剣ニーヴァルテ』を振るった。

 スバッシャアアアア!!

 直後、高出力のマナを纏ったハーティの『光の刃』は、デスティウルスから放たれた魔弾の光条を丸ごと呑み込む。

「!?」

 そして、魔弾を呑み込んで尚伸びる『光の刃』は、とうとうデスティウルスの肉体を縦割りにした。

 ズブシュウウウ!!

 真っ二つとなったデスティウルスは血潮と臓腑、黒い霧を噴き出しながら二つの肉塊に分かれていく。

 ズズズズ・・・。

 しかし、すぐさま二つの肉塊を黒い霧が結びつけたかと思えば、まるで今までの時間を巻き戻すかのように驚異的な速度でデスティウルスの肉体が再生した。

「ふむ、やハり我の『存在』とこの肉体がなジんできたよウだナ」

 デスティウルスは首をゴキゴキと鳴らすと『ニヤリ』とわらった。

「そんなっ!?これ程の再生能力がある相手を一体どうやって滅したら・・」

 デスティウルスの再生を目の当たりにしたユナが絶望の表情を浮かべる。

「とにかく・・何か方法を考えないと・・」

「ふはハはははハは!」

 ハーティ達が悔しさで顔を歪ませていると、突然デスティウルスが高笑いを始めた。

「っ!?貴様!何がおかしいのです!!」

「ふハは・・無駄ダむダだ無駄ダ!!仮に貴様らが今の我ヲ完全に滅しタ所デ、我はいくらデも復活できル!!」

「なにっ!?」

「何故ナら・・我の『存在』を分けた三柱の『眷属』が、今ごロ貴様らの大切ナ『国』とやらを滅しているかラな!そして、『眷属』がいるかギり、我は何度デも復活する!」

「そして、貴様らハたかが『女神』が数柱と『玩具』の寄せ集メ・・・・どう足掻いたところで貴様ラに未来ハ無い!」

「そんなっ!?」

 デスティウルスの言葉を聞いたユナはますます顔色を無くしていく。

 ハーティは『ギリッ』と歯を食いしばった。

「ハーティルティア様・・私達はどうすれば・・」

「・・っ!大丈夫よ!『眷属』である以上、デスティウルス本体よりも能力は高くないはずっ!きっと何が『眷属』を滅ぼす手段があるはずだわ!」

「・・・わかりましたっ!」

「とにかく、私達は目の前のデスティウルス討伐に集中しなければならないわ!たから、とりあえず各地に散らばった『眷属』のことはマクスウェルに頼んで各国の代表へ通達してもらうわ!」

 そう言うと、ハーティは身につけたピアスに指先を当てた。
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